Actualités japonaises: 地域ぐるみで育む「子ども会」ピークの3分の1近くまで激減

盆踊ぼんおどりやラジオ体操たいそうなど、さまざまな活動かつどうを通をつうじて地域ちいきぐるみで子こどもを育はぐくむ「子こども会かい」が、ピークだった40年ねん前まえに比くらべて全国ぜんこくで3分ぶんの1近ちかくにまで激減げきげんしていることがNHKの取材しゅざいでわかりました。専門せんもん家かは「子こどもの成長せいちょうに大切たいせつな原げん体験たいけんを、提供ていきょうする機会きかいがなくなるおそれがある。運営うんえいする保護ほご者しゃの負担ふたん軽減けいげんなど、地域ちいきの事情じじょうに合あわせた取り組とりくみが必要ひつようだ」と指摘してきしています。

「子こども会かい」は盆踊ぼんおどりやラジオ体操たいそう、それに清掃せいそう活動かつどうなど、さまざまな活動かつどうを通をつうじて保護ほご者しゃを中心ちゅうしんとして地域ちいきぐるみで子こどもを育はぐくむ団体だんたいです。

この子こども会かいの数かずが、全国ぜんこくで少すくなくとも15万まん2000ほどあったおよそ40年ねん前まえをピークに減へり続つづけ、昨年度さくねんどは5万まん3000余あまりと3分ぶんの1近ちかくにまで激減げきげんしていることが「全国ぜんこく子こども会かい連合れんごう会かい」への取材しゅざいでわかりました。

子こどもの加入かにゅう数すうも昨年度さくねんどは145万まん人にん余あまりで、4分ぶんの1以下いかにまで減へっているということです。

全国ぜんこく子こども会かい連合れんごう会かいは少子しょうし化かが進すすみ、共働ともばたらき世帯せたいが増ふえて、子こども会かいの運営うんえいを担になう保護ほご者しゃの負担ふたんが増まし、担い手にないて不足ふそくに陥おちいっていることが背景はいけいにあるとしたうえで、コロナ禍かで活動かつどうが制限せいげんされたことが「子こども会かい離ばなれ」に拍車はくしゃをかけたと分析ぶんせきしています。

子こども会かいとは

子こども会かいはいつ、どういう目的もくてきで誕生たんじょうしたのでしょうか。

全国ぜんこく子こども会かい連合れんごう会かいによりますと、戦後せんごの混乱こんらん期きに青少年せいしょうねんの犯罪はんざいが多発たはつしたことを受うけて、国くにが子こどもを健すこやかに育そだてることを目的もくてきに結成けっせいを促うながし、全国ぜんこくに広ひろまったとされています。

子こども会かいは0歳さいから18歳さいまでの子こどもが加入かにゅうし、学校がっこうや家庭かていでは体験たいけんできない活動かつどうを通をつうじて、コミュニケーション力りょくの向上こうじょうなどが期待きたいされています。

その活動かつどうは夏なつ祭まつりや運動会うんどうかい、ラジオ体操たいそうなどの地域ちいきの行事ぎょうじへの参加さんかをはじめ、工場こうじょうや福祉ふくし施設しせつなどの見学けんがく、清掃せいそう活動かつどうや天体てんたい観測かんそくといった教育きょういく活動かつどうなど多岐たきにわたり、会費かいひを集あつめて保護ほご者しゃを中心ちゅうしんとした地域ちいきの大人おとなたちが運営うんえいを担になっています。

夏なつの盆踊ぼんおどり運営うんえい担になう保護ほご者しゃたち

夏なつを象徴しょうちょうする盆踊ぼんおどりが今月こんげつ16日にちに宮崎みやざき県けん延岡のべおか市しで行おこなわれ、およそ30人にんの子こどもたちが楽たのしみました。

「子こどもたちに少すこしでも楽たのしんでもらえれば」と、焼やきそばやかき氷かきごおりの屋台やたいの運営うんえいに汗あせを流ながしていたのは、子こども会かいに所属しょぞくする保護ほご者しゃたちです。

子こどもたちは太鼓たいこをたたいたり、地域ちいきの大人おとなと一緒いっしょになって踊おどったりして会場かいじょうは笑顔えがおであふれました。

小学しょうがく3年生ねんせいの女の子おんなのこは「地域ちいきの人ひとたちと一緒いっしょに盆踊ぼんおどりをしたのが楽たのしかったです。夏休なつやすみの宿題しゅくだいの絵日記えにっきに書かきたいです」と話はなしていました。

盆踊ぼんおどりに参加さんかした男性だんせいは「最高さいこうです。やはり子こどもたちの笑顔えがおって、地域ちいきの皆みなさんを元気げんきにしてくれるんだと改あらためて感かんじました」と話はなしていました。

子こども会かいの減少げんしょう別べつの要因よういんも

各地かくちの子こども会かいは減少げんしょうの一途いっとをたどっています。今年度こんねんどでの解散かいさんを決断けつだんした地域ちいきを取材しゅざいすると、少子しょうし化かだけではなく、別べつの要因よういんも見みえてきました。

それは保護ほご者しゃの負担ふたんです。愛知あいち県けん豊川とよかわ市しの「長沢ながさわ子こども会かい」には、今月こんげつ1日にち時点じてんで35人にんの小学生しょうがくせいが所属しょぞくし、これまで芋いも掘ほりやお楽たのしみ会かいなどのイベントを開ひらいてきました。

こうしたイベントは子こども会かいの役員やくいんを務つとめる保護ほご者しゃたちが運営うんえいを担になってきましたが、共働ともばたらき世帯せたいが増ふえる中なかで、子こども会かいに関かかわる負担ふたんを訴うったえる声こえが相次あいついで聞きかれるようになってきたといいます。

子こども会かいでは規模きぼを縮小しゅくしょうしながら役員やくいんの数かずや会合かいごうの頻度ひんどを減へらしたほか、簡単かんたんな連絡れんらくや情報じょうほう共有きょうゆうはSNSで済すませるなど、保護ほご者しゃの負担ふたん軽減けいげんに取り組とりくんできました。

それでも地区ちくでアンケートを実施じっししたところ、子こども会かいの廃止はいしを求もとめる声こえがおよそ7割わりを占しめたということです。

また、令りょう和わ3年度ねんどには地区ちくの半分はんぶん以上いじょうの子こどもが加入かにゅうしていましたが、今年度こんねんどは3割わり程度ていどに落ち込おちこみ、今年度こんねんど中ちゅうに解散かいさんすることを決きめました。

全国ぜんこく子こども会かい連合れんごう会かいによりますと、ライフスタイルや子育こそだての価値かち観かんなどが時代じだいとともに変かわってきているとして、保護ほご者しゃの負担ふたんを訴うったえる声こえは全国ぜんこく各地かくちで聞きかれ、子こども会かいの減少げんしょうにつながる要因よういんになっているということです。

小学しょうがく5年生ねんせいの女の子おんなのこは「なくなると聞きいた時とき、すごくびっくりしました。楽たのしい行事ぎょうじも多おおかったし、地域ちいきの人ひととも知り合しりあいになりなじんでいる感かんじがあったのでとても悲かなしいです」と話はなしていました。

長沢ながさわ子こども会かいの近藤こんどう愛子あいこ会長かいちょうは「子こどもにとっては、多感たかんな時期じきにいろいろな年代ねんだいの友達ともだちと触れ合ふれあうことは心こころの成長せいちょうに大切たいせつであるうえ、地域ちいきにとってもお互おたがいの顔かおと名前なまえを覚おぼえることで町まち全体ぜんたいの安心あんしん感かんにもつながっていたので、なくなるのは残念ざんねんです。代かわりとなる手段しゅだんを考かんがえていきたい」と話はなしていました。

新あらたな形かたちで会かいを立たち上あげた地域ちいきも

保護ほご者しゃの負担ふたんという課題かだいを解消かいしょうして、新あらたな形かたちで子こども会かいを立たち上あげた地域ちいきもあります。

埼玉さいたま県けん草加そうか市しの「草加そうか市し子こども会かい」は市しの職員しょくいん、安やす高こう昌輝まさてるさん（36）が友人ゆうじんなどとともに2006年ねんに立たち上あげました。

みずからも「子こども会かいで育そだった」という安やす高だかさんが18歳さいの時ときに市内しないの子こども会かいの状況じょうきょうについて調しらべたところ、それまでの20年間ねんかんで7分ぶんの1にまで激減げきげんしていることを知しったといいます。

長年ながねん、子こども会かい活動かつどうに参加さんかし続つづける中なかで、その存在そんざい意義いぎを感かんじていたという安やす高だかさんは18歳さいという若わかさで、自身じしんで立たち上あげることを決きめました。

こうして生うまれた「草加そうか市し子こども会かい」ですが、保護ほご者しゃの負担ふたんが課題かだいになっている現状げんじょうを踏ふまえて、従来じゅうらいにはなかった新あらたな形かたちをとっています。

それは市内しないで子こども会かいがない地区ちくのすべての子こどもを加入かにゅうの対象たいしょうにした上うえで、運営うんえいについては中学生ちゅうがくせいや高校生こうこうせい、それに大学生だいがくせいなどのボランティアが担になうことです。

24日にちは翌日よくじつのお化おばけ屋敷やしきのイベントの準備じゅんびを進すすめていて、若わかい世代せだいの人ひとたちが子こども会かいの役員やくいんとして現場げんばを取とりしきっていました。

小学しょうがく4年生ねんせいの女の子おんなのこは、「違ちがう学校がっこうの友達ともだちと仲なかよくなれるのが子こども会かいのいいところです。自分じぶんも中学生ちゅうがくせいになったら役員やくいんをやりたいと思おもいます」と話はなしていました。

また、保護ほご者しゃの1人にんは「地域ちいきに子こども会かいがなくてこちらに通かよわせています。担い手にないてが不足ふそくする中なかで、若わかい人ひとたちが主体しゅたい的てきにやってくれるのはいいと思おもいます」と話はなしていました。

こうした取り組とりくみが功こうを奏そうし、会かいを立たち上あげた際さい、12人にんだった子こどもの数かずが現在げんざいは100人にんを超こえているということです。

安やす高だかさんは、子こども会かいには幅広はばひろい世代せだいの人ひとが関かかわることが理想りそうだとしたうえで、「大人おとなができないなら自分じぶんたちでやろうと思おもって立たち上あげましたが、今いまの運営うんえいの形かたちは学生がくせいたちの成長せいちょうにもつながると思おもいます。子こども会かいを通をつうじて、『ふるさと』のような地域ちいきを感かんじられる原点げんてんができれば、成長せいちょうした時ときにも子こどもたちの力ちからになると思おもいます」と話はなしていました。

専門せんもん家か「地域ちいきの事情じじょうに合あわせた取り組とりくみ必要ひつよう」

子こども会かいが減へり続つづける現状げんじょうを専門せんもん家かはどう見みているのか、話はなしを聞ききました。

子こども会かいに詳くわしい日本にっぽん文理ぶんり大学だいがくの高見たかみ大介だいすけ准じゅん教授きょうじゅは、「子こども会かいは子こどもの成長せいちょうにとって大切たいせつな原げん体験たいけんを提供ていきょうできるところに大おおきな意味いみがある。人口じんこうが減少げんしょうしている地域ちいきでは子こどもたちに地域ちいきに残のこってほしいという声こえをよく聞きくが、地域ちいきに育そだてられた経験けいけんがある子こどもたちじゃないとなかなか地域ちいきには残のこらない。子こども会かいの活動かつどうは地域ちいき力りょくの根底こんていにあると言いっても過言かごんではない」と、子こども会かいの存在そんざい意義いぎを指摘してきしています。

そのうえで、「子こども会かい活動かつどうを存続そんぞくさせていくのはこれから先さき、さらに厳きびしくなってくると思おもう。これまでどおりの子こども会かい活動かつどうを続つづけなければならないという考かんがえではなく、ニーズを踏ふまえ、地域ちいきの事情じじょうに合あわせた取り組とりくみが必要ひつようだ」と指摘してきしています。

一いち度どは解散かいさん…復活ふっかつした地域ちいきも

一いち度どは解散かいさんした子こども会かいを復活ふっかつさせた地域ちいきもあります。大分おおいた県けん別府べっぷ市し亀川かめがわの子こども会かいは、2015年ねんに運営うんえいの担い手にないて不足ふそくなどを理由りゆうに解散かいさんしました。

しかし、小学生しょうがくせいの子こどもがいる保護ほご者しゃを中心ちゅうしんに、子こどもどうしの交流こうりゅうや体験たいけん活動かつどうの機会きかいを求もとめる声こえだけではなく、地域ちいきのつながりの希薄きはく化かを懸念けねんする声こえが相次あいついだため、おととしに子こども会かいが復活ふっかつしました。

今月こんげつ19日にちの早朝そうちょう、地域ちいきの公園こうえんには小学生しょうがくせいからお年寄としよりまで40人にん余あまりが輪わになってラジオ体操たいそうをする姿すがたがありました。

このラジオ体操たいそうはもともと老人ろうじんクラブだけで行おこなっていましたが、復活ふっかつした子こども会かいも参加さんかするようになり、幅広はばひろい世代せだいの人ひとたちが交流こうりゅうを深ふかめているということです。

子こども会かいの会長かいちょうを務つとめる永尾ながお美保みほさんは「私わたしの子こどもが小しょう学校がっこうにあがった時ときに学校がっこうのことを相談そうだんできる人ひとがいなかったので、地域ちいきでの交流こうりゅうが復活ふっかつできてよかったです。どうすれば持続じぞく可能かのうなのか、模索もさくしながら長ながく地域ちいきに根ねづいた子こども会かいにしていきたい」と話はなしていました。

また、地域ちいきの老人ろうじんクラブで会長かいちょうを務つとめる野村のむら幸雄ゆきおさんは「私わたしたちの目めがいろいろなところで子こどもたちに届とどいていれば、防犯ぼうはんの効果こうかも期待きたいでき、地域ちいき力りょくの向上こうじょうにもつながる。将来しょうらいを担になう子こどもたちの育成いくせいに、ささやかながら貢献こうけんしたい」と話はなしていました。