暑くなってきましたが、熱中症はこの時期から注意が必要ですか?
A
この時期から注意が必要です。体が「暑さ慣れしていない」時期なので、汗をかく汗腺の働き具合も十分でなく、熱を放出しにくい状態になってしまいます。また「準備不足」という側面もあります。衣がえの時期で長袖・長ズボンでいるなど風通しが悪い服装のため、熱をためこみやすい状態にあることも考えられます。実感としては、近年はこの時期から、暑い日が1日だけでなく、2日以上連続する傾向にある気がします。
Q
どのような症状が出たら危険ですか?
A
この時期に重症化するケースは考えにくいのですが、今の時期に注意が必要なのは、脱水で体内の血のめぐりが悪くなって引き起こされるタイプの熱中症です。手足のしびれやだるさ、めまいなどの症状が出たら、熱中症の注意が必要です。
Q
対策はどうしたらいいですか?
A
基本的には夏と同じですが、天気予報をよく見て、暑い日に屋外で体を動かす場合には、帽子をかぶって水分をとること、休憩時間をとることなどを気をつけてほしいです。
Q
運動会に遠足、子どもの学校行事が多い時期ですが親ができることはありますか?
A
真っ先に熱中症になりやすいのは、日頃、スポーツをしない体力がない子や体調が悪い子です。運動会や遠足の前日には夜更かしをさせないで十分な睡眠をとらせましょう。朝起きたら、ご飯をしっかりとらせて送り出してほしいですね。水分はもちろん、にぎりめしに塩を入れたりスポーツドリンクで塩分をとったりすることも大切です。
また、私は、親以上に引率する先生など、学校側にもっと気を配ってほしいと思っています。体力がない子に合わせて無理がない計画を立てること、暑さしだいでは休憩時間を増やすことも大事で、あらかじめ下見して、日陰や涼しい休憩場所を探しておくことも有効だと思います。
熱中症は予防できるものですし、近年は、意識も高まってきていると感じます。でも、油断は禁物ですので、しっかりと対策をしてほしいと思います。
熱中症の搬送情報 年々前倒しに
総務省消防庁によりますと、去年5月から9月までに熱中症で病院に搬送された人は、全国で5万2984人でした。
内訳は、5月3401人、6月3481人、7月2万6702人、8月1万7302人、9月2098人、7月、8月に比べれば少ないですが、多くの人が搬送されています。
そして亡くなった人も5月に2人、6月に1人いました。
実は、熱中症のデータをまとめる時期も前倒しされています。消防庁が、熱中症による救急搬送の人数を全国的に取りまとめて公表するようになったのは、平成20年からと比較的最近のことです。
きっかけは、その前年の8月に、埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市で最高気温が40度9分まで上がり、国内の最高気温の記録を74年ぶりに更新したことでした。
熱中症の取りまとめは、当初は、7月~9月が調査対象でしたが、平成22年からは6月~9月に前倒し。平成27年からは5月~9月にさらに前倒しされました。
消防庁救急企画室に理由を尋ねると「温暖化の影響かどうかは正確にはわかりませんが、“感触として7月より前の時期の搬送が増えている”という声が現場から上がったので、前倒しで公表するようにしました」とのことでした。