16日、那須町伊王野の林道脇の河原で住居・職業不詳で本籍が東京・台東区の宝島龍太郎さん(55)ともう1人が全身が焼かれた状態で遺体で見つかり、警察は何者かが遺体を遺棄したとみて捜査しています。
警察は現場の状況などから別の場所から車で運ばれて遺棄された可能性もあるとみて周辺で不審な車が目撃されていなかったかなど捜査を進めていました。
その結果事件について何らかの事情を知っているとみられる20代の男から任意で話を聴いていることが捜査関係者への取材でわかりました。
警察は複数の人物が関わった可能性があるとみているということです。
一方、捜査関係者によりますと遺体の周辺からは油の成分が検出されたということです。
近くには携行缶のような容器が置かれ、遺体の周囲は半径3メートルほど下草が焼けているのが目撃されています。
警察は引き続き身元がわかっていない1人の確認を進めるとともに現場で油がまかれて火がつけられたとみてさらに詳しいいきさつを調べています。
【QA】現場で取材する記者に聞く
宇都宮放送局の鈴木ひとみ記者に最新の捜査状況を聞きました。
Q.警察が20代の男から任意で事情を聴き始めたという情報。最新の捜査状況は?
A.遺体が見つかった場所は「山あい」で人通りも少ない。また、遺体の状況から2人は別の場所から連れ去られた可能性が高いです。警察はその日時や場所の特定を進めるとともに、車でしか運べないような場所に2人が遺棄されていたことに注目しています。事件前後に不審な車が目撃されていないかやその走行ルートについて捜査し、20代の男の聴取に踏み切ったものとみられます。
Q.事件が進展を見せ始める中、今後の捜査のポイントは?
A.いちばんはもう1人の身元の確認です。2人は顔が隠されていたうえ、全身も焼かれています。警察は、身元の特定を遅らせるねらいがあった可能性もあるとみています。今後は、2人の身元の特定を進め、何らかのトラブルに巻き込まれていなかったか、「接点」の捜査を進めていくとみられます。
消防の担当者「油の成分16日の段階で検出 今後詳しく調べる」
この事件で現場での警察の捜査に立ち会った消防の担当者は「油の成分は16日の段階で検出されていた。何がまかれたのか消防としても今後さらに詳しく調べます」としています。
現場を目撃した男性「2体が黒く焦げ煙が出ていた」
現場を目撃した那須町森林組合の組合長を務める60代の男性が取材に応じ、当時の様子などを証言しました。
男性は16日の朝8時ごろ第1発見者からの情報に基づき同僚らとともに現場を確認に訪れたということです。
そのときの様子について「現場に着くと細身のマネキンのようなものが2体あり黒く焦げ、煙が出ているのが見えました。遺体の周辺の下草が6メートルぐらい焼けていました」と話していました。
当時はまだ煙が出ていたということで「5~6メートルほど離れた場所から遺体を見たが遺体の近くに携行缶のような容器が落ちていた」と話していました。
また、遺体の状況について「足のほうが重なったような状態だった」とし、このうち1人ついては「細身でスマートなので女性のように見えた」などと話していました。
そのうえで、現場について「最後の住宅から400~500メートル離れていると思う。ふだんは林業をする人か地元の人しかこない本当に静かな所です」とし、「近所の人の車だと見ればすぐに持ち主がわかりますが15日の午後5時ごろに現場を通ったときには不審な車などは何もなかった」と話していました。