過去の日本海側の地震では発生からおよそ1か月後に震源から離れた場所で規模の大きな地震が起きていることから、専門家は被災地だけでなくその周辺でも揺れや津波への備えをしてほしいと呼びかけています。
現在の地震活動や今後の注意点について、東京大学地震研究所の佐竹健治教授に和久田麻由子アナウンサーが聞きました。
能登半島の北東側と西側の断層 ほとんどずれ動いていない
Q.これまでの地震活動をどう見ていますか?
A.能登半島では数年前から比較的規模の大きな地震が起きていましたが、震源は能登半島の珠洲市周辺でマグニチュードは5クラス、去年5月の地震でもマグニチュード6クラスでした。
ところが元日の地震はマグニチュード7.6と、東日本大震災以来、浅いところで起きた地震としては最大の規模で、およそ150キロにわたって断層が破壊されました。
このため現在も広い範囲で地震活動が続いているんです。
Q.半島に沿う形で地震が起きているように感じます。ここに断層があるということですか?
A.能登半島付近には複数の活断層があることは以前から知られていました。
そのうえで、今回観測された津波の波形から震源域の中でどこの断層が動いたか分析した結果、大きくずれ動いて津波を発生させた断層がある一方、端にあたる能登半島の北東側と西側の断層はほとんどずれ動いていないことが分かりました。
こうした場所で、今後、断層が大きくすべって津波をおこすような地震が発生する可能性があります。
例えば北東側でマグニチュード7クラスの大きな地震が起きると津波が新潟県の上越市から柏崎市にかけてや佐渡のほうに津波がまっすぐ向かうことになります。
1月1日に起きた地震とは違ったパターンの揺れや津波が来る可能性があります。
新潟など断層正面の場所 津波が大きくなる可能性
Q.特に新潟などでは前回よりも高い津波が来る可能性もあるんですか?
A.新潟など断層の正面に位置する場所は地震の規模が小さくても津波が大きくなる可能性もあり注意が必要です。
過去の日本海側の地震 約1か月後に大きな地震も
Q.過去の日本海側の地震では、規模の大きな地震が続きましたよね?
A.そうですね。
▽1993年の北海道南西沖地震ではマグニチュード7.8の地震の約1か月後にマグニチュード6.3、
▽1983年の日本海中部地震ではマグニチュード7.7の地震の約1か月後にマグニチュード7.1、
▽1964年の新潟地震でマグニチュード7.5の地震の約1か月後にマグニチュード6.0の地震が発生しています。
気をつけていただきたいのはこうした過去の例では最初の地震から少し外れたところで規模の大きな地震が起きています。
能登半島の北東や西の大きくすべっていないところでも規模の大きな地震が起きる可能性があり、十分注意していただきたいです。
石川県内 大きな揺れ感じたら高い所へ 家屋倒壊にも注意
Q.新潟などで津波の必要性を指摘していただきましたが、石川県内でも復旧作業をしたり自宅に戻ったりしている人もいます。改めてどんな注意や対策が必要でしょうか?
A.揺れはこれまでも続いていますし、今後も大きな揺れのおそれがあります。
東側では新潟県などで液状化がさらに発生することもありえます。
特に日本海側は地震から津波が来るまでの時間が短いので津波警報が出ていなくても大きな揺れを感じたら高い所へ逃げるようにしてほしいです。
今回の一番大きな被害は家屋の倒壊です。
一番良いのは耐震化をはかることですが、すぐに出来ない場合には、家が壊れそうだとか家具が倒れそうなところを避けて過ごすようにしてください。