米国は、インドから盗まれたり密輸されたりした歴史に残る古美術品297点を返還する。こうした美術品の多くは数世紀前にさかのぼる。
今回の引き渡しを記念して、米国のジョー・バイデン大統領とインドのナレンドラ・モディ首相は最近開催された首脳会談の際、いくつかの美術品の前で写真のためにポーズを取った。
米国とインドは7月、違法な取引を阻止することで文化財を保護し、盗まれた美術品をインドに返還する手続きを合理化する合意文書に署名した。
美術品の大部分はインド東部のテラコッタ製のもので、「間もなく」返還されるという。インド政府が21日、声明で明らかにした。
写真撮影のタイミングは、モディ氏がバイデン氏の出身地である米デラウェア州ウィルミントンを訪問したときと重なった。バイデン氏は週末、同地で、日米豪印4カ国の戦略対話「QUAD(クアッド)」の首脳会合を行った。
インド外務省によれば、「(モディ)首相は、美術品の返還に対するバイデン大統領の支援に感謝を示した」という。
インド外務省によれば、モディ氏はまた、これらの美術品について、「インドの歴史的な物質的文化の一部であるだけでなく、インドの文化と意識の内核を形成している」と述べた。
彫刻から花瓶まで、これらの美術品は紀元前2000年から西暦1900年にもわたる時代のもの。石や金属、木、象牙でできたものもある。
展示された美術品の中には、ヒンドゥー教や仏教の神話に登場するアプサラ(天女)の像がある。この像はインド中部で10世紀から11世紀にかけ、砂岩から作られた。飾りのついた被り物と、飾り房のついた腰帯を身にまとい、インドの古典舞踏によく見られる姿勢を取っている。
ターバンを巻いた男性と2人の女性、ゾウ乗りが彫られた石の彫刻の一部も展示された。
インドは貴重な文化財を略奪者から保護するという厳しい戦いに直面しているものの、近年は成果も見えつつある。