6日に入って噴煙の量が増え、6日午後8時前には噴煙の高さが2800メートルに達したほか、6日午後11時前の爆発的な噴火では、大きな噴石が火口から400メートルまで飛びました。
7日も午前4時までに爆発的な噴火が10回発生し、このうち午前0時20分の噴火では噴煙が1700メートルの高さまで上がりました。6日、気象庁が上空から行った観測などでは、火口内の東側に新たな溶岩があるのを確認したほか、5日まで火口内の東側付近から上がっていた噴煙が、火口の中心などからも上がっているのが確認されたということです。
気象庁は、新燃岳では噴火活動が活発化しているとして、入山規制を示す噴火警戒レベル3を継続したうえで、火口からおおむね3キロの範囲で噴火に伴う大きな噴石に、火口からおおむね2キロの範囲では火砕流に、それぞれ警戒するよう呼びかけています。
また、風下側を中心に、火山灰や小さな噴石、それに、火山ガスに注意するとともに、爆発的な噴火に伴う空振で窓ガラスが割れるおそれもあるとして、注意を呼びかけています。
噴石の注意点
噴火に伴う噴石から身を守るには、火口からできるかぎり遠ざかり、頑丈な建物の中に避難することが重要です。
爆発的な噴火が発生すると、直径50センチ以上の大きな噴石が飛び、火口に近い場所では、車ほどの大きさがある噴石が飛ぶ場合もあります。大きな噴石は、風の影響を受けずに、火口から勢いよく飛んでくるため、建物や屋根や壁を打ち破るほどの破壊力を持っています。
鹿児島県の桜島では、昭和61年の噴火の際に、火口から3キロほど離れたホテルに、直径2メートルの大きな噴石が落下して、けが人が出たことがあります。また、霧島連山の新燃岳でも、平成23年2月1日の噴火で、火口から3.2キロ離れた場所に、縦70センチ、横50センチの噴石が落ちたことが確認されています。
気象庁によりますと、大きな噴石による被害は、火口からおおむね2キロから4キロ程度の範囲で出ることが多いということで、事前に自治体などが出す避難に関する情報に従い、火口から離れることが重要です。
一方で、火口から10キロ程度離れた場所でも、直径が2ミリ以上の小さな噴石は風に乗って飛ばされてくるため、風下側では注意が必要です。霧島連山の新燃岳では、平成23年の噴火活動の際に、火口からおよそ7キロ離れた場所で7センチから8センチのこぶし大の噴石が確認されています。
小さな噴石でも、直撃すればけがをするおそれがあるほか、家や車のガラスが割れたり、カーポートなどプラスチック製の屋根の場合には、貫通してしまう可能性もあります。
ただ、小さな噴石が飛んでくるまでには、爆発的な噴火が発生してから、数分から十数分程度の時間があるので、噴火に気づいたら、建物の中や頑丈な屋根の下に避難することが重要です。また、気象庁の情報で風向きを確認し、風下側を移動する際にはヘルメットを着けることや、ガラスを割れにくくするため、車のフロントガラスやリアガラスの上に毛布をかけるなどの対策も効果があります。
火山灰の注意点
噴火に伴う火山灰は、風に乗って広がるため、広い範囲で影響が出るおそれがあります。
気象庁によりますと、火山灰が0.1ミリ以上積もると、ぜんそくなど呼吸器に疾患を持つ人は症状が悪化するおそれがあるほか、道路の白線が見えなくなったり、航空機や鉄道が運行できなくなる可能性もあるということです。また、稲などの農作物が収穫できなくなるなどの影響もあるということです。
また1ミリ以上積もると、健康な人でも目や鼻、のどなどに異常を訴える人が出始め、積もった火山灰が巻き上げられて視界が悪くなるほか、送電施設に付着して停電が発生するなどのおそれがあります。
内閣府によりますと、1センチから2センチの火山灰が積もった場合には、車での移動は難しくなるということです。さらに山に積もった火山灰は、雨が降ると泥流や土石流を引き起こす原因にもなります。
宮崎県や鹿児島県によりますと、平成23年の新燃岳の噴火の際には、いったん積もった火山灰が風や車で巻き上げられ、視界が悪い状態が続き、道路の白線が見えなくなって車の通行に支障が出たということです。
気象庁が3時間ごとに発表する降灰予報で、火山灰が降る方向や量を確認したうえで、吸い込まないようにゴーグルやマスクを着用することや、建物の中に入らないよう窓などの隙間を塞ぐことが重要です。
火砕流の注意点
火砕流は、高温の火山灰や岩石、それに、火山ガスなどが一体となって斜面を高速で流れ下る現象です。
スピードは、時速100キロを超えることがあるほか、数百度の高温で流れ下るため、専門家は、近くにいた場合、発生してから逃げきるのはほぼ不可能だとしています。
火砕流には、高く噴き上がり柱のようになった噴煙が途中で崩れて発生するタイプや、山の斜面にできた溶岩ドームが崩れ落ちて発生するタイプがあります。
27年前の平成3年6月3日に長崎県の雲仙普賢岳で発生した火砕流は、斜面にできた溶岩ドームが崩れて発生したタイプで、地元の消防団員や住民、報道関係者など43人が犠牲になりました。
気象庁によりますと、新燃岳では、爆発的な噴火が発生した際に噴煙が上空に上がりきらず、火口の外側に漏れ出して小規模な火砕流が発生するおそれがあるほか、溶岩ドームが大きくなって火口内にとどまらなくなった場合には、火砕流が発生するおそれがあるということで、規制範囲内には立ち入らないよう呼びかけています。
空振の注意点
空振は、爆発的な噴火の際に発生する空気の強い振動で、火口から離れた場所でも、建物の窓ガラスが割れてしまうこともあります。
7年前、平成23年の新燃岳の噴火でも、およそ6キロ離れた病院で窓ガラスが割れてお年寄りがけがをしたほか、およそ7キロ離れたホテルでもガラスが割れる被害が出ています。
火山活動が活発なときは、火山に面した窓ガラスになるべく近づかないことや、窓ガラスに専用のシートやテープを貼ったりカーテンを閉めたりして、万が一、ガラスが割れても破片が飛び散らないよう、対策を進めることが重要です。