原発げんぱつ事故じこ 東電とうでん旧きゅう経営けいえい陣じん3人にん全員ぜんいんに無罪むざい判決はんけつ 東京とうきょう地裁ちさい

３さん人にんは福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの事故じこをめぐって検察けんさつ審査しんさ会かいの議決ぎけつによって業務ぎょうむ上じょう過失かしつ致死傷ちししょうの罪つみで強制きょうせい的てきに起訴きそされ、いずれも無罪むざいを主張しゅちょうしていました。

おととし６月ろくがつから37回かいにわたって行おこなわれてきた裁判さいばんでは、検察官けんさつかん役やくの指定してい弁護士べんごしが「巨大きょだいな津波つなみが到達とうたつするという計算けいさん結果けっかの報告ほうこくを部下ぶかから受うけた段階だんかいで津波つなみの到達とうたつを予測よそくでき、原発げんぱつの運転うんてんを止とめる義務ぎむがあった」として、禁錮きんこ５ご年ねんを求刑きゅうけいしました。

一方いっぽう、旧きゅう経営けいえい陣じん３さん人にんの弁護士べんごしは「計算けいさん結果けっかの根拠こんきょは信頼しんらいできるものではなく、土木どぼく学会がっかいに検討けんとうを依頼いらいして見解けんかいを得えるという、合理ごうり的てきな手順てじゅんを踏ふんでいた。被告ひこくらは、事故じこを予測よそくできた可能かのう性せいはなく、事故じこを防ふせぐこともできなかった」と主張しゅちょうし、いずれも無罪むざいを主張しゅちょうしていました。

判決はんけつで、東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょの永なが渕ふち健けん一いち裁判さいばん長ちょうは３さん人にん全員ぜんいんに無罪むざいを言い渡いいわたしました。

判決はんけつ 法廷ほうてい内ないでは

東京とうきょう電力でんりょくの旧きゅう経営けいえい陣じん３さん人にんは堅かたい表情ひょうじょうで法廷ほうていに入はいり、弁護士べんごしの隣となりに並ならんで座すわりました。

裁判さいばんが始はじまると、旧きゅう経営けいえい陣じん３さん人にんは裁判さいばん長ちょうに促うながされて法廷ほうていの中央ちゅうおうにある証言しょうげん台だいの前まえに並ならんで立たちました。

冒頭ぼうとうで裁判さいばん長ちょうが「被告ひこく人じんらはいずれも無罪むざい」と主文しゅぶんを読み上よみあげると、３さん人にんは裁判さいばん長ちょうのほうをまっすぐに見据みすえて聞きいていました。そして裁判さいばん長ちょうに向むかって小ちいさく頭あたまを下さげ、再ふたたび弁護士べんごしの隣となりに座すわりました。

主文しゅぶんが言い渡いいわたされた際さい、傍聴ぼうちょう席せきからは「うそ」などと声こえがあがり、法廷ほうてい内ないは一時いちじ、騒然そうぜんとしました。また検察官けんさつかん役やくの指定してい弁護士べんごしは額がくに手てを当あてて厳きびしい表情ひょうじょうを浮うかべていました。

地裁ちさい前まえでは「納得なっとくいかない」の声こえ

判決はんけつを受うけて東京とうきょう地裁ちさいの前まえでは、今回こんかいの裁判さいばんのきっかけとなる告訴こくそや告発こくはつを行おこなったグループのメンバーが「全員ぜんいん無罪むざい 不当ふとう判決はんけつ」と書かかれた紙かみを掲かかげると、集あつまった支援しえん者しゃたちからは「どうしてなんだ、納得なっとくいかない」といった声こえが上あがっていました。

紙かみを掲かかげた１いち人にんで、福島ふくしま県けん大熊おおくま町まちから新潟にいがた県けん阿賀あが野市のいちに避難ひなんしている大賀おおがあや子あやこさん（46）は「なぜ、全員ぜんいん無罪むざいという判決はんけつが出でたのか、しっかり聞きかないといけない。とても悔くやしいです」と落胆らくたんした様子ようすで話はなしていました。

東京とうきょう電力でんりょく「原発げんぱつの安全あんぜん対策たいさくに不ふ退転たいてんの決意けつい」

今回こんかいの判決はんけつについて、東京とうきょう電力でんりょくは「当社とうしゃ元もと役員やくいん３さん名めいの刑事けいじ責任せきにんを問とう裁判さいばんで、判決はんけつが言い渡いいわたされたことは承知しょうちしておりますが、当社とうしゃとしてはコメントは差し控さしひかえさせていただきます」としたうえで、「当社とうしゃとしては、『福島ふくしま復興ふっこう』を原点げんてんに、原子力げんしりょくの損害そんがい賠償ばいしょう、廃止はいし措置そち、除じょ染そめに誠心せいしん誠意せいい、全力ぜんりょくを尽つくすとともに、原子力げんしりょく発電はつでん所しょの安全あんぜん性せい強化きょうか対策たいさくに、不ふ退転たいてんの決意けついで取り組とりくんでまいります」というコメントを発表はっぴょうしました。