これに対し会社側は、すべての提案に反対するとしたうえで「企業価値の向上をはかるためすでに株主還元の強化に取り組んでいる。今後も自己資本の過剰な積み上げを行わず事業の安定性・継続性や将来に向けた成長投資の余力も維持しながら、適切な配当政策を策定し株主の期待に応える」などと主張しています。
会社と対立する投資会社、ストラテジックキャピタルの丸木強代表は「極東開発工業はいわゆる解散価値より低い株価がついている期間が長く、株主の期待に応えられていない。配当を増やしたり、株価の上昇につながる行動を取ってほしい」と話しています。
国内の資産運用会社などの機関投資家はこうした女性取締役ゼロの企業に対し、株主総会の場で厳しい姿勢で臨むようになっています。 このうち野村アセットマネジメントは、去年11月に日本企業に対する株主総会での議決権行使の基準を変更し、女性の取締役が1人もいない場合、会長や社長などの取締役再任に反対することを決めています。 また、三井住友DSアセットマネジメントは、今年1月から、投資先の企業に求める多様性の基準を厳格化し、プライム市場の上場企業の場合、女性取締役が1人もいなければ原則、代表取締役の選任に反対するとしています。 さらに外資系の資産運用会社、JPモルガン・アセット・マネジメントは、投資先の企業のうち、女性取締役が2人以上いない企業については2024年以降、社長などの代表取締役の選任に反対する方針を示しています。 日本は欧米と比べて女性役員の比率が低いことが明らかになっています。 OECD=経済協力開発機構は去年、各国の主な企業を対象に女性役員が占める割合を調査しました。 この調査はEU=ヨーロッパ連合の各国やトルコなど一部の国についてはそれぞれ代表的な50の企業、これ以外の国は、世界的に知られる株価指数を構成する企業を対象に行われ、このうち日本は、大企業など283社が対象となりました。 OECDの調査では「女性役員」の定義を「取締役」と「監査役」それに「執行役」とし、「執行役員」は含んでいません。 欧米では、一定の割合で女性役員の登用を義務づける「クオータ制」を取り入れる国や州があり、女性役員の比率は、フランスの45.2%をはじめ、イタリアやイギリスなどで40%を超えています。 アメリカでは、31.3%となっていて、OECD各国の平均は29.6%です。 これに対して日本の女性役員の比率は15.5%となっています。 政府は、男女共同参画の推進に向けた重点方針「女性版骨太の方針2023」の案の中で東京証券取引所の「プライム市場」に上場する企業について、2030年までに執行役員を含めた女性役員の比率を30%以上にすることを目指すとしていて、企業も待ったなしの対応が求められています。
作業着やカジュアルウエアを販売するチェーン店を展開し東京証券取引所のスタンダード市場に上場している「ワークマン」。 創業40年余りとなりますが今回初めて女性の取締役を登用する人事案を決め、6月29日に開催される株主総会で提案します。 白羽の矢が立ったのは、ユーチューバーのサリーさんこと、濱屋理沙(42)さんです。 濱屋さんは趣味のキャンプの動画を中心にSNSに投稿し、この分野のインフルエンサーとして知られています。 「ワークマン」は長年、仕事で使われる作業着を中心に販売してきましたが、最近では、街中やキャンプで気軽に着られるカジュアルウエアとして女性向けの商品開発に力を入れています。 そのきっかけとなったのが、濱屋さんが投稿した動画でした。 濱屋さんが溶接工の職人向けの耐火性のある作業着を、キャンプでたき火を楽しむ際に着る服としてSNSで紹介したところ女性を中心に反響を呼び最近は、会社の製品開発のアドバイスも行っていたということです。 会社では今後女性向けの事業を強化するために濱屋さんの起用を決めたとしています。 ワークマンの土屋哲雄専務は「候補者探しでは、お飾りのような人物ではなく、本当に会社の成長につながるという点を重視した。濱屋さんにはユーザー目線の商品開発やSNS時代の新しいマーケティングなど、われわれにはない新鮮な視点で会社を変えていくヒントをもらいたい」と話しています。
女性取締役をめぐる状況は
初めて女性取締役を登用する企業も