この法案ほうあんは中国ちゅうごくの企業きぎょうバイトダンスが運営うんえいするTikTokについて、「敵対てきたい国こくからの安全あんぜん保障ほしょう上じょうの脅威きょうい」だとして、180日にち以内いないにアメリカ国内こくないでの事業じぎょうを売却ばいきゃくしなければ、アプリの配信はいしんなどを禁止きんしするものです。

アメリカ議会ぎかい下院かいんは13日にち、この法案ほうあんの採決さいけつを行おこない、352対たい65の超党派ちょうとうはで可決かけつしました。

TikTokを巡めぐっては中国ちゅうごく政府せいふに対にたいする情報じょうほう漏ろうえいへの懸念けねんからバイデン政権せいけんが去年きょねんから連邦れんぽう政府せいふの機関きかんに対にたいして公用こうようの端末たんまつでの利用りようを禁止きんししています。

今後こんご、法案ほうあんは上院じょういんで審議しんぎが行おこなわれますが、TikTokは若者わかものを中心ちゅうしんに人気にんきがあり、この法案ほうあんは表現ひょうげんの自由じゆうを制限せいげんするとして慎重しんちょうな意見いけんも多おおく、上院じょういんで可決かけつするかは不透明ふとうめいな状況じょうきょうです。

バイデン大統領だいとうりょうは法案ほうあん成立せいりつさせる考かんがえ トランプ氏しは反対はんたいに転てんじる

11月つきの大統領だいとうりょう選挙せんきょで再選さいせんを目指めざすバイデン大統領だいとうりょうは、先月せんげつから選挙せんきょ戦せんでTikTokを使つかい始はじめていますが、法案ほうあんについては8日にち、「上下じょうか両院りょういんで可決かけつされれば署名しょめいする」と述のべて成立せいりつさせる考かんがえを示しめしています。

一方いっぽう、大統領だいとうりょう選挙せんきょで返り咲かえりざきを目指めざす共和党きょうわとうのトランプ前ぜん大統領だいとうりょうは、在任ざいにん中ちゅう、TikTokの利用りよう禁止きんしを目指めざしていましたが、今月こんげつに入はいってTikTokを禁止きんしすれば、ほかのSNSサービスの利益りえきになるだけだとして反対はんたいする姿勢しせいに転てんじています。

中国ちゅうごくの大統領だいとうりょう選せん干渉かんしょうの可能かのう性せいも警戒けいかい

アメリカは、中国ちゅうごくがTikTokを利用りようしてことし秋あきのアメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょへ干渉かんしょうを試こころみる可能かのう性せいもあるとして警戒けいかい感かんを強つよめています。

アメリカの情報じょうほう機関きかんを統括とうかつする国家こっか情報じょうほう長官ちょうかん室しつは11日にち、世界せかいの脅威きょういを分析ぶんせきした年次ねんじ報告ほうこく書しょを公表こうひょうし「2022年ねんのアメリカ中間ちゅうかん選挙せんきょの期間きかん中ちゅう、中国ちゅうごくの宣伝せんでん活動かつどうを担当たんとうする機関きかんが運営うんえいするTikTokのアカウントが、与野党よやとうの候補こうほ者しゃを標的ひょうてきにしたとされている」と指摘してきしています。

さらに、ヘインズ国家こっか情報じょうほう長官ちょうかんは12日にち、議会ぎかい下院かいんの情報じょうほう特別とくべつ委員いいん会かいで、議員ぎいんから「中国ちゅうごく共産党きょうさんとうが2024年ねんのアメリカの選挙せんきょに影響えいきょうを与あたえるための基盤きばんとしてTikTokを利用りようする可能かのう性せいは排除はいじょできないか」と質問しつもんされたのに対にたいし、「可能かのう性せいは排除はいじょできない」と答こたえ、中国ちゅうごくがことし11月つきのアメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょにTikTokを利用りようして干渉かんしょうを試こころみる可能かのう性せいもあると警戒けいかい感かんを示しめしました。

TikTok「経済けいざいへの影響えいきょうの理解りかいを期待きたい」

TikTokは旧きゅうツイッターのXに声明せいめいを投稿とうこうしました。

このなかで「このプロセスは秘密ひみつ裏うらに進すすめられ、法案ほうあんが強行きょうこう採決さいけつされた理由りゆうはただひとつ、禁止きんしを目的もくてきとするからだ。上院じょういんが事実じじつ関係かんけいを審議しんぎし、有権者ゆうけんしゃの声こえに耳みみを傾かたむけ、700万まんの中小ちゅうしょう企業きぎょうと、1億おく7000万まん人にんのアメリカ人じんがこのサービスを使つかっているという経済けいざいへの影響えいきょうを理解りかいしてくれるものと期待きたいしている」として下院かいんの採決さいけつを批判ひはんしています。

議事堂ぎじどう近ちかくにTikTok支持しじ者しゃ集あつまる

アメリカ議会ぎかい下院かいんでTikTok関連かんれんの法案ほうあんが可決かけつした13日にち、連邦れんぽう議会ぎかい議事堂ぎじどう近ちかくにはTikTokを支持しじする人ひとたちが集あつまりました。

支持しじ者しゃたちは「TikTokは私わたしの人生じんせいをよりよいものに変かえた」などと書かかれたプラカードを掲かかげながら「TikTokを維持いじせよ」と声こえをあげていました。

中国ちゅうごく外務省がいむしょう 報道ほうどう官かん「企業きぎょうの正常せいじょうな経営けいえいを妨害ぼうがい」

中国ちゅうごく企業きぎょうが運営うんえいする動画どうが共有きょうゆうアプリTikTokに関にかんする法案ほうあんをアメリカ議会ぎかい下院かいんが採決さいけつする前まえにきのう（13日にち）午後ごご開ひらかれた中国ちゅうごく外務省がいむしょうの定例ていれいの記者きしゃ会見かいけんで汪ひろし文ぶん斌あきら報道ほうどう官かんは「企業きぎょうの正常せいじょうな経営けいえいを妨害ぼうがいし、国際こくさい的てきな投資とうし家かの投資とうし環境かんきょうに対にたいする信頼しんらいを損そこなう」と述のべ、強つよく反発はんぱつしました。

TikTokが採決さいけつ前まえにプッシュ通知つうち 米べいメディア「裏目うらめに出でた」

下院かいん委員いいん会かいの採決さいけつを前まえにした7日にち朝あさ、TikTokは「議会ぎかいが全面ぜんめん禁止きんしを計画けいかくしている。政府せいふが1億おく7000万まんのアメリカの人ひとたちの表現ひょうげんの自由じゆうを奪うばう前まえに声こえをあげよう」というメッセージを利用りよう者しゃのスマホにプッシュ通知つうちで送おくりました。

そして、地元じもと選出せんしゅつの議員ぎいんが法案ほうあんに反対はんたい票ひょうを投とうじるよう、議員ぎいん事務所じむしょに電話でんわすることを呼よびかけました。

有力ゆうりょく紙し、ワシントンポストなどによりますと、これにより、多おおくの下院かいん議員ぎいんの事務所じむしょに電話でんわが殺到さっとうし、一部いちぶの事務所じむしょは一時いちじ的てきに電話でんわを遮断しゃだんすることを余儀よぎなくされたということです。

これについて、法案ほうあんを提出ていしゅつした共和党きょうわとうのギャラガー下院かいん議員ぎいんは11日にち、声明せいめいを出だし「法案ほうあんはTikTokを禁止きんしするものではなく、6か月かげつの時間じかんを与あたえ、外国がいこくの敵対てきたい勢力せいりょくによる支配しはいを排除はいじょしようというものだ」と反発はんぱつするとともに、TikTokの経営けいえい責任せきにん者しゃに対にたいし「中国ちゅうごく共産きょうさん党とうに代かわってアメリカ人じんを操あやつり動員どういんしようと、誤あやまった主張しゅちょうを拡散かくさんすることをやめるよう求もとめる」とする抗議こうぎ文ぶんを送おくったと明あきらかにしました。

共和党きょうわとうのヒンソン下院かいん議員ぎいんは13日にち、法案ほうあんに賛成さんせいする意見いけんを表明ひょうめいしたなかで「TikTokの妨害ぼうがい行為こういはわれわれの主張しゅちょうが正ただしいことを証明しょうめいした。選挙せんきょ当日とうじつにTikTokが『選挙せんきょは中止ちゅうしになった』という警告けいこくを通知つうちしたら一体いったいどうなるのか。今いまこそ行動こうどうを起おこすべきだ」と批判ひはんしました。

アメリカのメディアは、TikTokが利用りよう者しゃにメッセージを送おくったことがかえって反発はんぱつを招まねき「裏目うらめに出でた」と伝つたえています。