ロシアの首都モスクワの北西にあるクラスノゴルスク市のコンサートホールで22日夜、建物に侵入した複数の人物が銃撃を行って、火災が発生し、ロシアの連邦捜査委員会は、これまでに133人が死亡したと発表しました。
この事件を受けて、プーチン大統領は23日午後、国営テレビでビデオ演説し「野蛮なテロ攻撃だ」と激しく非難して、24日を追悼の日にすると明らかにしました。
また、実行犯とみられる4人を含めて11人の容疑者を拘束したとした上で「われわれは事件に関与した全員を特定し、処罰する」と強調しました。
そして「彼らはウクライナに向けて移動した。ウクライナ側には国境を越えるための窓口が用意されていた」と述べ、ウクライナ側による協力の可能性を示唆しました。
ウクライナ側は、関与を否定しています。
一方、過激派組織IS=イスラミックステートとつながりのある「アマーク通信」は今回のテロ事件がISの戦闘員による犯行だと認め、実行犯だとする4人の写真も公開しました。
またロシア内務省の報道官は、拘束された実行犯とみられる4人の容疑者全員がロシア国籍ではないと明らかにしたうえで、事件の背後関係などを調べているとしています。
「アマーク通信」 実行犯だとする4人の写真公表
4人はいずれも帽子をかぶり、覆面をしているうえ、写真にはぼかしが入っていて表情などを確認することはできませんが、「ロシア人キリスト教徒への攻撃を行った実行犯」と説明しています。
また、別の写真とともに掲載された記事では「情報筋によると首都モスクワ郊外のクラスノゴルスク市でキリスト教徒の群衆に対するIS戦闘員による組織的な攻撃が行われた」としたうえで、「攻撃は武装した4人のIS戦闘員によって実行され、3人が群衆に向けて発砲し、別の1人が火をつけた。攻撃によって少なくとも300人のキリスト教徒が死傷した。攻撃は、ISとイスラム教徒と戦う国との間で激化する戦争を背景に起きたものだと情報筋から確認した」などとしています。
ゼレンスキー大統領「プーチン いつも同じ方法を使う」
ロシアのプーチン大統領がテロ事件について、ウクライナ側による協力の可能性を示唆したことを受け、ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、SNSのテレグラムに動画を投稿し「プーチンやそのまわりの連中は誰かのせいにしようとしているだけだ。彼らはいつも同じ方法を使う。ウクライナでもわれわれの都市を焼き払い、それをウクライナのせいにしようとしている」と非難するとともにウクライナ側の関与を否定しました。
そして「彼らは何十万人ものテロリストをウクライナに送り込んで戦わせているのに、自分の国内で起きることは気にしない。プーチンは事件のあとロシア国民に向き合う代わりに1日沈黙し、どうやってウクライナになすりつけるか考えていた。すべては完全に予測可能なことだ」と指摘しました。
その上で「テロリストは必ず負けなければならない。テロと戦っているすべてのウクライナ国民に感謝する」と述べました。
米 ホワイトハウス IS単独による犯行の見方示す
アメリカ・ホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議のワトソン報道官は23日、声明を発表し「攻撃はIS=イスラミックステートに唯一の責任がある。ウクライナによるいかなる関与もない」としてIS単独による犯行だとの見方を示しました。
また、ホワイトハウスのジャンピエール報道官は声明で「ISは世界中で打倒しなければならない共通の敵だ」としています。