障害しょうがい者しゃ向むけグループホーム展開てんかい「恵めぐみ」に「連座れんざ制せい」適用てきようを通知つうち

東京とうきょう・港みなと区くに本社ほんしゃがある「恵めぐみ」が運営うんえいする障害しょうがい者しゃ向むけグループホームをめぐっては、利用りよう者しゃから食材しょくざい費ひを過大かだいに徴収ちょうしゅうしたり、障害しょうがい福祉ふくしサービスの報酬ほうしゅうを不正ふせいに請求せいきゅうしていたことが明あきらかになっています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、食材しょくざい費ひの過大かだい徴収ちょうしゅうは、6月つき20日にち現在げんざい、全国ぜんこく104の事業じぎょう所しょのうち77か所かしょで行おこなわれ、過大かだい徴収ちょうしゅうの総額そうがくは、2億おく9900万まん円えんあまりにのぼっています。

愛知あいち県けんや名古屋なごや市しは、管内かんないにあるあわせて5つの事業じぎょう所しょに対にたいしてきょう法律ほうりつの規定きていとしては最もっとも重おもい指定していを取り消とりけす行政ぎょうせい処分しょぶんを行おこないました。

これにあわせて厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、会社かいしゃが組織そしき的てきに不正ふせいに関与かんよしていたとして、全国ぜんこくのほかのグループホームなどについても法律ほうりつに基もとづいて今後こんご事業じぎょう所しょとしての指定していの更新こうしんを認みとめないいわゆる「連座れんざ制せい」を適用てきようすると会社かいしゃに通知つうちしました。

また合あわせて、業務ぎょうむ管理かんり体制たいせいの見直みなおしも適切てきせつに行おこなわれていないなどとしてきょうづけで業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれいを出だしました。

自治体じちたいによる事業じぎょう所しょの指定していの更新こうしんは6年ねんごとで今後こんご、数すう年ねんの間まに全国ぜんこくの「恵めぐみ」のグループホームなどが順次じゅんじ、更新こうしん期限きげんを迎むかえて運営うんえいができなくなる見通みとおしです。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、グループホームで暮くらす障害しょうがい者しゃが行き場いきばをなくすことがないよう、自治体じちたいと連携れんけいしながら対応たいおうすることにしています。

「恵めぐみ」とは？問題もんだいの経緯けいいは？

「恵めぐみ」は障害しょうがい者しゃ向むけのグループホームをはじめとした障害しょうがい福祉ふくしサービス事業じぎょう所しょなどを全国ぜんこくで運営うんえいしています。

会社かいしゃのホームページや登記とうき簿ぼなどによりますと、平成へいせい24年ねんに名古屋なごや市しで設立せつりつされて以降いこう、愛知あいち県内けんないや関東かんとう地方ちほうを中心ちゅうしんに全国ぜんこくで事業じぎょうを展開てんかいしています。

6月つき時点じてんで、12の都県とけんのあわせて104か所かしょでグループホームを運営うんえいしています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと定員ていいんは1824人にんだということです。

関係かんけい者しゃによりますと、会社かいしゃでは、ほかの施設しせつで利用りようを断ことわられた重度じゅうどの知的ちてき障害しょうがい者しゃなどを積極せっきょく的てきに受け入うけいれていて、暮くらしの場ばを求もとめる障害しょうがい者しゃや家族かぞくのニーズを背景はいけいに急速きゅうそくに事業じぎょうを拡大かくだいさせていたということです。

こうした中なか、愛知あいち県内けんないのグループホームで利用りよう者しゃの食事しょくじの材料ざいりょう費ひが過大かだいに徴収ちょうしゅうされていた疑うたがいがあることがわかり、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは去年きょねん6月つき以降いこう、恵めぐみのグループホームがある各地かくちの自治体じちたいに対にたいし、食材しょくざい費ひの過大かだい徴収ちょうしゅうや障害しょうがい福祉ふくしサービスの報酬ほうしゅうについて不正ふせい請求せいきゅうしていないかなどについて確認かくにんするよう通知つうちしました。

恵めぐみの各かく事業じぎょう所しょでは、入居にゅうきょする利用りよう者しゃの家族かぞくから、「食事しょくじの量りょうが少すくない」とか、「子こどもがいつもお腹おなかを空すかせている」などの声こえがあがっていたほか、事業じぎょう所しょで働はたらく職員しょくいんからも、「本部ほんぶから少すくない食材しょくざい費ひしか来こないので満足まんぞくに食材しょくざいが買かえない」などの声こえがあがっていました。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、障害しょうがい者しゃ総合そうごう支援しえん法ほうに基もとづいて特別とくべつ監査かんさを行おこない会社かいしゃの業務ぎょうむ管理かんり体制たいせいについて調しらべていましたが、食材しょくざい費ひの過大かだい徴収ちょうしゅうについては、利用りよう者しゃから徴収ちょうしゅうした金額きんがくを会社かいしゃの売り上うりあげに計上けいじょうし、徴収ちょうしゅう額がくよりもはるかに少すくない額がくを食材しょくざい費ひとして各かく事業じぎょう所しょに配分はいぶんする方法ほうほうで、組織そしき的てきに差額さがくを収益しゅうえきとして計上けいじょうするなどしていたと認定にんていしました。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、過去かこに国くにが「連座れんざ制せい」を適用てきようした障害しょうがい福祉ふくしサービスの事業じぎょう者しゃで、記録きろくが残のこる限かぎりでは今回こんかいの「恵めぐみ」は、事業じぎょう所しょ数すうで最大さいだい規模きぼの会社かいしゃだということです。

恵めぐみはグループホームのほかにも日ひ中ちゅうに食事しょくじや入浴にゅうよくの介助かいじょを提供ていきょうする生活せいかつ介護かいご事業じぎょう所しょなども各地かくちで運営うんえいしています。

「連座れんざ制せい」とは？

今回こんかい、法律ほうりつに基もとづく「連座れんざ制せい」が適用てきようされると、こうした事業じぎょう所しょのすべてで6年ねんごとに行おこなわれる障害しょうがい福祉ふくしサービスの運営うんえいに必要ひつような指定していの更新こうしんが認みとめられなくなります。

運営うんえいできなくなる時期じきは、それぞれの事業じぎょう所しょが自治体じちたいからいつ障害しょうがい福祉ふくしサービスを運営うんえいする権限けんげんの指定していを受うけたかによって異ことなります。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、きょう愛知あいち県けんなどから指定していを取り消とりけす処分しょぶんを受うけた5か所かしょをのぞく99か所かしょのグループホームのうち▼今年度こんねんど中ちゅうに更新こうしんを受うけられなくなるのが1か所かしょ、▼来年度らいねんどが2か所かしょ、▼再来さいらい年度ねんどが13か所かしょ、▼令りょう和わ9年度ねんどが32か所かしょ、▼令りょう和わ10年度ねんどが37か所かしょ、▼令りょう和わ11年度ねんどが14か所かしょです。

専門せんもん家か「生活せいかつに重大じゅうだいな影響えいきょうが出でる」

恵めぐみが愛知あいち県けんなどから指定してい取り消とりけしの処分しょぶんを受うけたことについて、障害しょうがい福祉ふくしに詳くわしい日本にっぽん社会しゃかい事業じぎょう大学だいがく専門せんもん職しょく大学院だいがくいんの曽根そね直樹なおき教授きょうじゅは、「障害しょうがい福祉ふくしサービスは国民こくみんの税金ぜいきんを使つかって障害しょうがいのある人ひとの生活せいかつを支ささえるものなので、それを適切てきせつに行おこなわずに会社かいしゃの利益りえきを優先ゆうせんしたということは、グループホームの利用りよう者しゃだけでなく税金ぜいきんを払はらっている人ひとも裏切うらぎる行為こういだ。今回こんかいの処分しょぶんは、重大じゅうだいな不正ふせいに基もとづいて障害しょうがい福祉ふくしサービス事業じぎょうから退場たいじょうを命めいじられたということなので、不正ふせいの責任せきにんをきちんと受け止うけとめる必要ひつようがある」と指摘してきしていました。

また、連座れんざ制せいの適用てきようについては、「全国ぜんこくに100か所かしょ以上いじょうあるグループホームの利用りよう者しゃがホームを利用りようすることができなくなり、生活せいかつに重大じゅうだいな影響えいきょうが出でるという前例ぜんれいのないことになる。恵めぐみはまずは利用りよう者しゃや家族かぞくに誠意せいいをもってお詫おわびをし、利用りよう者しゃが生活せいかつの場ばを失うしなって路頭ろとうに迷まようことがないよう、全力ぜんりょくで次つぎの生活せいかつの場ばを見みつけるなど、責任せきにんを最後さいごまで果はたすことが求もとめられる」と話はなしていました。

その上うえで、「恵めぐみのグループホームは全国ぜんこくにあり、1つの事業じぎょう者しゃがすべてを引き継ひきつぐことは難むずかしく地域ちいきごとに新あらたな運営うんえい主体しゅたいを探さがすことが現実げんじつ的てきだ。自治体じちたいや地域ちいきの事業じぎょう者しゃが協力きょうりょくして対応たいおう策さくを考かんがえることが求もとめられる」と話はなしていました。

「帰宅きたくした際さいにしきりに食べ物たべものを求もとめてくることがあった」

関東かんとう地方ちほうのグループホームに息子むすこが入居にゅうきょしている女性じょせいがNHKの取材しゅざいに応おうじ、「提供ていきょうされる食事しょくじが少すくなく、帰宅きたくした際さいにしきりに食べ物たべものを求もとめてくることがあった」と当時とうじの状況じょうきょうを話はなしました。

取材しゅざいに応おうじたのは関東かんとう地方ちほうにある「恵めぐみ」のグループホームに重度じゅうどの知的ちてき障害しょうがいがある息子むすこが入居にゅうきょしている女性じょせいです。

女性じょせいによりますと、おととしまでは提供ていきょうされる食事しょくじについて施設しせつを訪おとずれた時ときに量りょうが少すくないと感かんじたり、子こどもが帰宅きたくした際さいに食べ物たべものをしきりに求もとめたりすることがあったということです。

現在げんざいは改善かいぜんされていますが、女性じょせいは当時とうじの状況じょうきょうについて「食事しょくじの量りょうが少すくなく、大丈夫だいじょうぶかと感かんじていました。施設しせつに差し入さしいれを持もって行いくと入所にゅうしょ者しゃが詰め寄つめよってくることもありました」と振り返ふりかえりました。

そして去年きょねんの夏なつごろには会社かいしゃ側がわから差額さがくの返金へんきんが行おこなわれましたが、書面しょめんに内訳うちわけはなく今いまも詳くわしい説明せつめいはされていないということです。

女性じょせいは「憤いきどおりを感かんじます。経済けいざい的てき、身体しんたい的てき、精神せいしん的てきな虐待ぎゃくたいだと思おもいます。お金おかねを誰だれがどう使つかっていたのか、きちんと説明せつめいしてほしい」と話はなしていました。

今回こんかいの厚生こうせい労働ろうどう省しょうの措置そちを受うけて施設しせつを移うつることについては、重度じゅうどの障害しょうがい者しゃの受け入うけいれが限かぎられることや、子こどもへのストレスを考かんがえると簡単かんたんではないということで、女性じょせいは「頭あたまが真っ白まっしろです。親おやが死しんだあとでも生いきていけるようにと願ねがって預あづけていたが、今いまはどうすればよいか悩なやんでいる」と話はなしました。

そのうえで、「一生懸命いっしょうけんめい子こどものために支援しえんしてくれる職員しょくいんもたくさんいて、職員しょくいんのみなさんも組織そしきに裏切うらぎられたという気持きもちがあると思おもう。次つぎの施設しせつを見みつけようにもなかなか空あきがないと思おもうのでどう動うごけばよいのか途方とほうに暮くれている状態じょうたいだ」と心境しんきょうを語かたりました。

「事業じぎょう者しゃ失格しっかくだが潰つぶしてしまえばいいというわけではない」

「恵めぐみ」が運営うんえいする施設しせつに子こどもを入所にゅうしょさせている男性だんせいは、今回こんかいの愛知あいち県けんなどによる行政ぎょうせい処分しょぶんについて「『恵めぐみ』は事業じぎょう者しゃとして失格しっかくだが潰つぶしてしまえばいいというわけではない。承認しょうにんした行政ぎょうせいの責任せきにん問題もんだいもあると思おもう。なぜ、不適切ふてきせつな業者ぎょうしゃだと見破みやぶれなかったのか検証けんしょうして今後こんごに生いかしてほしい」と述のべました。

男性だんせいは、重度じゅうどの障害しょうがいがある息子むすこを「恵めぐみ」が運営うんえいする愛知あいち県内けんないのグループホームに入所にゅうしょさせています。

息子むすこはもともと自宅じたくで引ひきこもりの状態じょうたいだったということですが、施設しせつに入所にゅうしょしたあとは気分きぶんや体調たいちょうが安定あんていして外出がいしゅつもできるようになったということです。

ただ、今回こんかいの行政ぎょうせい処分しょぶんに加くわえて、厚生こうせい労働ろうどう省しょうがいわゆる「連座れんざ制せい」を適用てきようすると発表はっぴょうしたことを受うけて、今後こんご、「恵めぐみ」は、すべての施設しせつで事実じじつ上じょう、運営うんえいができなくなるため、男性だんせいは、息子むすこを別べつの施設しせつへ移うつさなければならないのではと不安ふあんを感かんじています。

男性だんせいは、「新あたらしい事業じぎょう所しょは簡単かんたんには見みつからないと思おもう。見みつかったとしてもどのようなサービスを提供ていきょうしてくれるのか情報じょうほうがないため、適切てきせつなところを探さがせないのではないかという心配しんぱいが尽つきない」と苦くるしい胸むねの内うちを明あかしました。

そのうえで、「日常にちじょう生活せいかつの場ばが変かわると、息子むすこの状態じょうたいが悪化あっかしてしまう不安ふあんがある。できることなら、経営けいえい者しゃが変かわっても今いまの事業じぎょう所しょを残のこしていただきたい。身近みぢかに息子むすこの世話せわをしてもらっている職員しょくいんには残のこってほしいというのが正直しょうじきな気持きもちです」と述のべました。

支援しえん団体だんたい 障害しょうがいのある人ひとの生活せいかつの場ばが失うしなわれることを懸念けねん

「恵めぐみ」を巡めぐる問題もんだいで施設しせつの利用りよう者しゃやその家族かぞくの支援しえんをしている「愛知あいち障害しょうがいフォーラム」の事務じむ局きょく次長じちょうで、みずからも重度じゅうどの障害しょうがいがある柳原やなぎはら康やすし来らいさんは、障害しょうがいのある人ひとの生活せいかつの場ばが失うしなわれることを懸念けねんしています。

柳原やなぎはらさんは、今回こんかいの行政ぎょうせい処分しょぶんで、「恵めぐみ」が運営うんえいできなくなる障害しょうがい者しゃ向むけグループホームから利用りよう者しゃが別べつの施設しせつに移うつろうとしてもどこもすでに満員まんいんの状態じょうたいだと聞きいていると言いいます。

そのため、今後こんご、想定そうていされる事態じたいについて「利用りよう者しゃたちが何なにも悪わるいことをしていないのに自分じぶんの部屋へやが急きゅうになくなって借かりられるところも一切いっさいない、要ようはホームレス状態じょうたいになるかもしれない」と危機きき感かんを示しめしました。

また、利用りよう者しゃの多おおくは重度じゅうどの障害しょうがいがあり会話かいわをすることも難むずかしいため、生活せいかつ環境かんきょうが変化へんかすることで健常けんじょう者しゃには想像そうぞうがつかないほどのストレスと恐怖きょうふにさいなまれるおそれがあると言いいます。

そうした状況じょうきょうを防ふせぐため柳原やなぎはらさんは、「利用りよう者しゃが何なにに不安ふあんを感かんじているのかを本当ほんとうに丁寧ていねいに読み解よみとかないとわからないので『恵めぐみ』や行政ぎょうせい、相談そうだん支援しえん員いんなどがチームプレーで継続けいぞく的てきな支援しえんをしていく必要ひつようがある」と訴うったえます。

一方いっぽう、「恵めぐみ」に対にたいしては、「利用りよう者しゃは障害しょうがい者しゃである前まえに人間にんげんです。『行政ぎょうせい処分しょぶんされたので』という理由りゆうだけでほったらかしにするのは絶対ぜったいにしないでもらいたい。利用りよう者しゃの特性とくせいや好このみなどを移うつり先さきの施設しせつの運営うんえい者しゃにしっかりと引き継ひきつぐところまでやってほしい」と述のべました。

元もと施設しせつ長ちょう「お金おかねのことしか考かんがえていない環境かんきょうだった」

株式かぶしき会社かいしゃ恵めぐみの運営うんえい実態じったいについて、グループホームでかつて施設しせつ長ちょうを務つとめていた男性だんせいがNHKの取材しゅざいに応おうじ、会社かいしゃの運営うんえい方針ほうしんについて「お金おかねのことしか考かんがえていない環境かんきょうだった」と証言しょうげんしました。

関東かんとう地方ちほうにある恵めぐみのグループホームで施設しせつ長ちょうをつとめた男性だんせいは、10年ねん以上いじょう障害しょうがい福祉ふくしの仕事しごとをしてきましたが恵めぐみに転職てんしょくした当初とうしょから会社かいしゃの運営うんえい方針ほうしんに疑問ぎもんを抱だいたといいます。

新任しんにんの施設しせつ長ちょうやエリアマネージャー向むけに開ひらかれた研修けんしゅうに参加さんかしたところ、ほとんどが利用りよう者しゃを集あつめる営業えいぎょうに関にかんする内容ないようで、配布はいふされた研修けんしゅう資料しりょうには、「満まん床ゆか、稼働かどう率りつ100％にこだわって」とか、「そのためには営業えいぎょうしかありません」などと記載きさいされていたということです。

研修けんしゅうの場ばでは会社かいしゃの役員やくいんから「半年はんとし間かんでホームを満まん床ゆかにするように」と指示しじされたということですが、男性だんせいが勤務きんむしたグループホームでは、従業じゅうぎょう員いんのほぼ全員ぜんいんが福祉ふくしの仕事しごとは未み経験けいけんで、丁寧ていねいな支援しえんが困難こんなんな状態じょうたいにも関かかわらず新規しんきの利用りよう者しゃの獲得かくとくを求もとめる会社かいしゃの方針ほうしんに違和感いわかんを覚おぼえたといいます。

このほか、当時とうじ、食事しょくじの量りょうが少すくなく、従業じゅうぎょう員いんが自宅じたくから持参じさんした白米はくまいを追加ついかして、おにぎりを作つくって提供ていきょうすることもあったということです。

元もと施設しせつ長ちょうは「満足まんぞくしてもらえるような食事しょくじを提供ていきょうできないなど、あたり前あたりまえな生活せいかつすら送おくれない環境かんきょうで、支援しえんをする身みとしてもとてもつらかったです。従業じゅうぎょう員いんは足たりず、疲弊ひへいしている状態じょうたいだったにも関かかわらず、入居にゅうきょ率りつ100％を目指めざすように指示しじされ、自分じぶんがこれまで経験けいけんした福祉ふくしの世界せかいとは全まったく異ことなり、お金おかねのことしか考かんがえていない会社かいしゃだと感かんじました」と話はなしていました。

そのうえで「なぜこのような形かたちになってしまったのか、会社かいしゃの上層じょうそう部ぶには保護ほご者しゃなどに対にたいして丁寧ていねいに説明せつめいをする義務ぎむがあると思おもうので、しっかりと経緯けいいを明あきらかにしてほしいです」と話はなしていました。

グループホーム職員しょくいん「会社かいしゃ側がわから説明せつめいをきちんとしてほしい」

「恵めぐみ」が運営うんえいする関東かんとう地方ちほうのグループホームの職員しょくいんは、利用りよう者しゃの今後こんごの生活せいかつについて不安ふあんを募つのらせています。

この職員しょくいんによりますと、厚生こうせい労働ろうどう省しょうの今回こんかいの措置そちを受うけて利用りよう者しゃから問い合といあわせの電話でんわがきていますが、本社ほんしゃから詳くわしい説明せつめいがなく、十分じゅうぶんな回答かいとうができない状況じょうきょうだといいます。

職員しょくいんは「正直しょうじきすごく困惑こんわくしています。利用りよう者しゃから『大丈夫だいじょうぶですか』と電話でんわがありましたが、本社ほんしゃからは『結果けっかが出でたらはっきり伝つたえますのでお待おまちください』と伝つたえるよう言いわれました」と話はなしていました。

今後こんご、更新こうしん期限きげんを迎むかえると運営うんえいができなくなるおそれがあり、利用りよう者しゃの今後こんごの生活せいかつがどうなるか不安ふあんを募つのらせています。

職員しょくいんは「利用りよう者しゃは重度じゅうどの障害しょうがい者しゃが多おおく、他たの施設しせつでは受け入うけいれが難むずかしいかもしれない。職員しょくいんと利用りよう者しゃがお互おたがいよく知しっている方ほうが支援しえんしやすく、このまま残のこれるのが一番いちばんだとは感かんじています」としたうえで、「利用りよう者しゃのために今いままで働はたらいてきたことが無駄むだになってしまうようで、悔くやしい気持きもちでいっぱいです。まずは会社かいしゃ側がわから説明せつめいをきちんとしてほしい」と訴うったえていました。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうと自治体じちたい 連携れんけいして利用りよう者しゃに対応たいおう

厚生こうせい労働ろうどう省しょうや各地かくちの自治体じちたいでは、連携れんけいして恵めぐみのグループホームの利用りよう者しゃの住すまいの確保かくほにあたることにしています。

このうち、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、利用りようしている障害しょうがい者しゃが行き場いきばをなくすことがないよう、26日にち、恵めぐみに対にたいして指定していの更新こうしん時期じきが来くるまでは利用りよう者しゃに確実かくじつに福祉ふくしサービスを提供ていきょうすることに加くわえ、利用りよう者しゃが退去たいきょする際さいにはその後そのごの生活せいかつ環境かんきょうに配慮はいりょして、ほかの事業じぎょう者しゃと連携れんけいして継続けいぞく的てきなサービスを確保かくほすることなどを指導しどうしました。

また、恵めぐみの事業じぎょう所しょがある各地かくちの自治体じちたいに対にたいして、相談そうだん窓口まどぐちを設置せっちするなどして利用りよう者しゃや家族かぞくなどへ情報じょうほう提供ていきょうするよう通知つうちしました。

そのうえで、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは各地かくちの自治体じちたいと情報じょうほう共有きょうゆうを行おこなうため、恵めぐみの事業じぎょう所しょに対にたいする指定してい更新こうしんの権限けんげんがある29の自治体じちたいと連絡れんらく協議きょうぎ会かいを設置せっちし、28日にちにも最初さいしょの会議かいぎを開ひらくことにしています。

愛知あいち県けんと名古屋なごや市し 利用りよう者しゃが生活せいかつの場ばを失うしなわないよう行政ぎょうせい指導しどう

恵めぐみの施設しせつの利用りよう者しゃが生活せいかつの場ばを失うしなうことがないよう、愛知あいち県けんと名古屋なごや市しは、処分しょぶんにあわせて、恵めぐみに対にたいし、行政ぎょうせい指導しどうを行おこないました。

この中なかでは、利用りよう者しゃや家族かぞくへ丁寧ていねいな説明せつめいを行おこなうことや、今後こんごの利用りよう者しゃ支援しえんなどに関にかんする計画けいかく書しょを、名古屋なごや市しでは7月つき5日にちまでに、愛知あいち県けんでは7月つき12日にちまでに提出ていしゅつすること、それに事業じぎょうを譲渡じょうとする場合ばあいは、外部がいぶの有識ゆうしき者しゃの意見いけんを踏ふまえることなどを求もとめています。

また、県けんは、県内けんないのグループホームの空あき状況じょうきょうの調査ちょうさを26日にちから始はじめていて結果けっかを市町村しちょうそんに提供ていきょうするとともに空あいているグループホームに対にたいして積極せっきょく的てきな受け入うけいれを依頼いらいすることにしています。

さらに、障害しょうがいの程度ていどが重おもく、転居てんきょ先さきが決きまらない人ひとについては春日井かすがい市しにある県けんの医療いりょう療育りょういく総合そうごうセンターでの一時いちじ的てきな受け入うけいれを調整ちょうせいするということです。

一方いっぽう、名古屋なごや市しは、恵めぐみの施設しせつを利用りようする104人にんの市民しみんについて速すみやかに本人ほんにんや家族かぞくへの意向いこうを聞き取ききとることにしています。

そして、来月らいげつにも、障害しょうがい福祉ふくしの専門せんもん家かなどによる「利用りよう者しゃ支援しえんチーム」を立たち上あげた上うえで、有識ゆうしき者しゃなどとともに、個別こべつの事情じじょうや施設しせつの空あき状況じょうきょうに応おうじて、受け入うけいれ態勢たいせいの確保かくほに努つとめるということです。

愛知あいち県けん大村おおむら知事ちじ「極きわめて悪質あくしつで許ゆるしがたい」

愛知あいち県けんの大村おおむら知事ちじは記者きしゃ会見かいけんで「過大かだいな食材しょくざい費ひのピンハネによる経済けいざい的てき虐待ぎゃくたいを、関係かんけいする45市町しちょうが認定にんていしていて、極きわめて悪質あくしつで許ゆるしがたい。公金こうきんであるサービス報酬ほうしゅうの不正ふせい請求せいきゅうも繰り返くりかえし行おこなわれており、強つよい憤いきどおりを覚おぼえる。悪意あくいをもって意図いと的てきに組織そしき的てきに行おこなわれたと捉とらえられる」と述のべました。

その上うえで、「県内けんないのグループホームに対にたいして空あき状況じょうきょうの照会しょうかいをきょう付づけで行おこなった。処分しょぶんによって恵めぐみの利用りよう者しゃの方ほうが不ふ利益りえきを被かぶらないように、総力そうりょくを挙あげて受け皿うけざらをしっかり作つくり、希望きぼうがあれば受け入うけいれ先さきを探さがしていきたい」と述のべました。

名古屋なごや市し河村かわむら市長しちょう「完全かんぜんなフォローアップ体制たいせいを取とりたい」

名古屋なごや市しの河村かわむら市長しちょうは臨時りんじの記者きしゃ会見かいけんで「犯罪はんざいだと言いわれてもしょうがない行為こういで残念ざんねんだ。利用りよう者しゃや家族かぞくなどは不安ふあんだと思おもうので、市しとして完全かんぜんなフォローアップ体制たいせいを取とりたい」と述のべました。

林はやし官房かんぼう長官ちょうかん「利用りよう者しゃが安心あんしんできるよう努つとめる」

林はやし官房かんぼう長官ちょうかんは午後ごごの記者きしゃ会見かいけんで「影響えいきょうを受うけるグループホームの利用りよう者しゃが安心あんしんして生活せいかつできるように努つとめることは重要じゅうようだ。厚生こうせい労働ろうどう省しょうに利用りよう者しゃや家族かぞくからの相談そうだんを受け付うけつける窓口まどぐちを設置せっちするとともに、利用りよう者しゃの住すまいの確保かくほや福祉ふくしサービスの利用りようについて、厚生こうせい労働ろうどう省しょうと地方ちほう自治体じちたいからなる連絡れんらく会議かいぎを設置せっちし、緊密きんみつに連携れんけいして対応たいおうしていく」と述のべました。

「恵めぐみ」「内容ないようを精査せいさし真摯しんしに受け止うけとめ今後こんごの対応たいおうを検討けんとう」

株式かぶしき会社かいしゃ「恵めぐみ」は、愛知あいち県けんなどによる処分しょぶんや厚生こうせい労働ろうどう省しょうによるいわゆる「連座れんざ制せい」の適用てきようについて「本日ほんじつ、処分しょぶんをいただきましたので内容ないようを精査せいさして真摯しんしに受け止うけとめ今後こんごの対応たいおうについて検討けんとうしていきたい」とコメントしています。

また、今後こんごの会社かいしゃの運営うんえいや、利用りよう者しゃへの対応たいおうについては「具体ぐたい的てきにお答おこたえできない」としています。