アメリカ軍の
兵士による
性暴力事件が
相次いで
発覚したことを
受けて、1
日に
沖縄県議会の
基地問題などを
協議する
特別委員会が
開かれ、
県警察本部の
担当者が
事件に関する情報の
取り扱いについて
説明し、
今後、
県との
情報共有の
在り方について
検討して
いく考えを
示しました。
先週、沖縄県内で相次いで発覚したアメリカ兵による性暴力事件をめぐっては、捜査当局と政府の間で共有された情報が、県に伝達されていませんでした。
1日に開かれた「米軍基地関係特別委員会」には、沖縄県の溜政仁知事公室長や県警察本部の安里準刑事部長が出席しました。
議員から、県との情報共有について問われた安里刑事部長は「性犯罪であることをかんがみ、被害者のプライバシー保護の観点から報道発表をしておらず、県に情報共有をしていない」と説明しました。
そのうえで「アメリカ軍関係者の犯罪の検挙状況を、県民の皆さんに知らせることは大変重要だ。刑法犯の検挙件数や検挙人員は、県警のホームページに掲載し、毎月更新している。知事部局から問い合わせがあれば、必要な情報提供を行っている」と述べました。
また、別の議員からプライバシー保護を理由に、公表や県への情報共有をしない判断をしたのは誰かと問われたのに対し、「本部長以下、幹部で判断した」と説明しました。
そして、今後の情報提供の在り方については「性犯罪については、被害者のプライバシーが侵害されないよう対策を取りつつ、県の方とも情報共有について、今後、検討していきたい」と述べました。
一方、県の溜知事公室長は「県警と相談し、どのような状況であれば県に対して情報提供ができるのか、少し詰めて話をしていきたい」と述べました。
また、県警側がアメリカ軍関係者による性的暴行事件の検挙件数は去年からことしにかけて合わせて5件だったと説明したのに対し、県側はいずれも情報提供はなかったと答えました。
このあと委員会では、相次いで発覚した性暴力事件に対し、県議会で抗議文と意見書を取りまとめることを確認し、7月4日に内容を決めることにしています。
女性団体も抗議
1日、県内の22の女性団体で作る「沖縄県女性団体連絡協議会」が政府に対し抗議文を提出することを決め、メンバー13人が記者会見を開き、伊良波純子会長が抗議文を読み上げました。
この中では「外務省は事実を把握しながら沖縄県へ通知せず、県知事が報道により事件を知ったことは、まさに異常事態と言え、日本政府の対応に県民は不信感を募らせている。女性の尊厳が脅かされ続けることに対して強く抗議する」としています。
そのうえで外務省と防衛省に対し、被害者への謝罪や、県に情報伝達をしなかったことへの説明、それに日米地位協定の抜本的な改定などを求めています。
メンバーからは「1995年の少女暴行事件の時も警察から県に情報の伝達はあった。県警察本部は県民に寄り添うべきであり、プライバシーの保護を拡大解釈し責任逃れをしているように思える」という意見が聞かれました。
協議会では、7月4日に抗議文を外務省沖縄事務所と沖縄防衛局に提出することにしています。
林官房長官「捜査当局の判断を踏まえ対応」
林官房長官は午前の記者会見で、ことし5月に起きた事件をめぐる各省庁間での情報伝達について、「政府内の情報伝達の逐一に答えることは控えるが、捜査当局は、従前から情報の共有範囲について、被害者のプライバシーや捜査への影響などを踏まえつつ対応している。また、関係機関では、そのような捜査当局の判断を踏まえて対応を行っている」と述べました。