この「誘導雷」への対策状況をNHKが調べたところ、原発がある13の道と県のうち10の道県のオフサイトセンターで、対策が取られていないことが分かりました。
停電が起きたのは、佐賀県唐津市にあるオフサイトセンターです。
おととし9月、近くに雷が落ちた影響で発生した高圧の電流が、電線などを伝って施設内に流れ込む「誘導雷」という現象によって、外部電源から非常用電源に自動で切り替える装置が壊れるなどして、2度にわたって停電しました。
オフサイトセンターは、原発から送られてくるデータなどをもとに、住民避難などを指揮する事故対応の拠点で、佐賀県は対策として手動で非常用電源に切り替える装置や、誘導雷を防ぐための「避雷器」という機器を今月新たに配備しました。
佐賀県危機管理防災課の福地文秀副課長は「この規模の誘導雷が発生するのは想定を超えていた。これで対策は終わりではなく、ほかの地域の情報も収集し検討していきたい」と話しています。
全国の対策状況は
NHKが原発のある全国13の道と県に取材したところ、10の道県のオフサイトセンターで「誘導雷」への対策が取られていないことが分かりました。
対策が取られていなかったのは、北海道、青森県、宮城県、福島県、新潟県、茨城県、石川県、福井県、島根県、鹿児島県です。
これらの道と県では、佐賀県で起きた事態を踏まえて、新年度に対策工事を実施するか検討するとしています。
一方、佐賀県のほか、静岡県と愛媛県はすでに対策が取られていました。
原子力防災を所管する内閣府は、誘導雷対策に必要な費用を補助することにしていて、「オフサイトセンターの整備や維持に関係自治体と取り組んでいく」としています。