新人3人が立候補
秋田県知事選挙に立候補したのは、届け出順にいずれも無所属の新人で、▼元秋田県副知事の猿田和三氏(62)、▼元秋田県議会議員の鈴木健太氏(49)、▼元会社員の大久保範夫氏(74)の3人です。
猿田氏は「産業振興によって経済的に発展し、県民のみなさんが豊かになること。これが人口対策の最も重要な鍵になる。私はふるさと秋田の発展のために全身全霊をささげ、覚悟を持ってとことんやり抜く」と訴えました。
鈴木氏は「少子化対策は、若者向けの対策ではない。皆さんの生活に深刻な影響を及ぼす危機的状況だ。若くないと変えられない。成果が出ないやり方は変えないといけない。一緒に新しい時代の秋田を作っていこう」と訴えました。
大久保氏は「精神保健福祉法の行政手続きが憲法に違反していることを国民に知らせて改正を求めている」と訴えました。
選挙戦では、急速に進む人口減少への対応や子育て政策、地域経済の活性化策などをめぐって激しい論戦が交わされる見通しです。
投票は4月6日に行われ、即日開票されます。
選挙の構図 自民 保守分裂の選挙戦
自民党の県連は自主投票としています。
自民党の県議会議員はそれぞれが猿田氏と鈴木氏に分かれて支援する保守分裂の選挙戦となっています。
このほかの政党は、▼立憲民主党、▼公明党県本部、▼国民民主党県連、▼共産党、▼社民党が猿田氏の支持を表明しています。
▼日本維新の会の県総支部は鈴木氏を自主的に支持するとしています。
政党の多くは猿田氏を支持する一方、自民党では鈴木氏を支援する県議会議員の数が多く、それぞれの支援組織を構成する県議会議員の数は18人で並んでいます。
候補者の演説を分析!
NHKはそれぞれの候補者の演説で、政策や主張に関する言葉を「テキストマイニング」という手法で分析しました。
有権者にどのような内容を訴えたのか、読み解きます。
猿田さんは秋田市の豊岩地区でおよそ6分半演説しました。
最も多く使った言葉は「県民」の8回で、次いで「豊か」「対策」も多く使われました。
「県民が豊かになることが人口対策の最も重要な鍵になるとさまざまな取り組みを進めてきた」と述べ、副知事としての実績を強調しました。
また「チャレンジ」「サポート」という言葉も使い、県民の所得を増やすため「産業が収益を上げる取り組みや、若者の新規事業をサポートしていく」と訴えました。
鈴木さんはJR秋田駅前の広場で7分余り演説しました。
最も多く使った言葉は「子供」「選挙」「この先」で、それぞれ4回でした。
「子供たちに申し訳ないと思わなくてもすむような秋田県をつくる。この先、見通しが持てるようにする」と述べ、少子化対策の充実を訴えました。
また「若い」「挑戦」という言葉も使い「若くないと変えられない」と訴え、候補者の中で最も若い49歳で知事選挙に挑戦したと呼びかけました。
大久保さんは秋田県庁前でおよそ3分間演説しました。
最も多く使った言葉は「知事」の6回、「立候補」も多く使われました。
「私が違法強制入院させられたえん罪事件であることを県民に一番よく知らせる方法が、この知事選への立候補だ」と述べ、立候補の理由を説明しました。
候補者の演説全文
候補者の最初の演説の全文です。発言した内容をそのまま掲載します。
猿田和三候補の演説
(あいさつ)
皆さん、おはようございます。
今日、知事選挙に立候補いたしました、猿田和三でございます。
今日は朝早くから、また寒い中、全県各地から、ようこそふるさと豊岩へ、来ていただきました。
皆さん、道迷いませんでしたか。
この豊岩のこの地はですね、私、中学校時代に学校からここまでランニングコースでありまして、ここが折り返し地点でありました。
このように豊かな自然の中で、また地域の皆さんに激励され、見守っていただいて私は育ってきました。
豊岩の皆さんにも今日たくさん来ていただきました。
本当にありがとうございます。
(実績PR)01:06~
私は、東京の大学を卒業するときに、ふるさと豊岩をはじめ、秋田のために、その発展のために尽くしたいと思い、秋田に帰ってきました。
県庁では様々な仕事をさせてもらいました。
産業振興によって経済的に発展し、県民の皆さんが豊かになること、これが人口対策の最も重要な鍵になると、様々な取り組みを進めてきました。
企業誘致、再生可能エネルギーの推進、秋田の農産品、そして観光PRのために国内外を飛び回ってきました。
その芽は着実に育ち、今、大きくまた花を開かそうとしています。
その豊かさをぜひとも県民の皆様に味わってもらいたい、県民の皆さんに豊かになってもらいたい。
その環境は整いつつあります。
その環境づくりに関わってきた者の一人として、ぜひともこの仕事を私に、私に任せてもらいたい。
そう思い、立候補の決意をいたしました。
(経済対策)02:45~
私が知事としてやりたい仕事は3つ。
県民の皆さんの所得を増やすことです。
県民の各事業、あらゆる産業の取り組みを、収益を上げるための努力を、強力に全面的にサポートしていきます。
若い人たちが新しい事業に取り組みたい、チャレンジしたい。
これも強力にサポートしていきます。
(防災・物価対策)03:20~
2つ目は、暮らしを守ることです。
物価高騰対策、災害復旧、減災、防災事業、様々な課題に迅速に取り組んでまいります。
(子育て支援)03:40~
3つ目は、将来の子どもたちを育んでいくことです。
給食費、医療費、そして保育料、この3つは無料化。
スポーツ、文化、芸術、子どもたちが思う存分チャレンジできることを、その教育環境を整えていきます。
この3つは、県政最大の課題である人口減少、この大きな鍵になります。
この3つに、人口減少対策に、私は覚悟を決めてやり抜きます。
(県政運営)04:35~
県政運営にあたっては、県民の皆さんの声にしっかりと耳を傾けて、若者、女性の声をしっかりと県政に反映させてまいります。
県民の皆さんの声をダイレクトに知事自ら受け止め、その対策と実行のスピードをさらに上げて参ります。
県政は、県庁は、知事や職員のためにあるのではありません。
全て県民のためにあります。
継続すべき所はさらに拡大、進化させ、改めることがあればちゅうちょなく改善し、やめることはやめます。
(支援呼びかけ)05:38~
私は、ふるさと秋田のこの発展のために、全身全霊をささげ、覚悟を持ってとことんやり抜きます、働きます。
そのためには、この選挙をなんとしても勝ち抜きます。
17日間、全力疾走で駆け抜けてまいります。
皆様の何とぞ力強いご支援と応援をお願いを申し上げまして、決意表明といたします。
皆様、よろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。
鈴木健太候補の演説
(あいさつ)
皆さん、おはようございます。
いよいよ大きな戦いが始まります。
16年ぶりに、秋田県の舵取りを変える。
その本当に大事な大事な選択の機会が、今日から17日間をもって皆様の手によって結論は出されます。
私はそこに勇気を持って、手を挙げてさせていただくことといたしました。
(少子化対策)00:33~
なんといっても秋田県の子供の数が、異常なレベルで進んでいる。
全国どこも減ってます。
でも同じぐらいだったら私も文句言いません。
しかし秋田県、ずっと長い間、ダントツで最下位じゃないですか。
この秋田県の持つ本来の力を考えると、明らかにおかしい。
でも、なんとなく諦めムード。
私はそれをなんとかしたい。
そして10年間の県議会の活動を通じて、なんとかできると思って、この度、手を挙げさせていただきました。
この少子化、若者向けの対策ではありません。
秋田に住むすべての皆さんの生活に、深刻な影響を及ぼす本当に危機的な状況です。
医療、介護、誰がこの先、担っていくんですか。
災害が起きた、復旧、職人いなくて進みません。
これがどんどんどんどん加速していくんです。
普通に秋田県で暮らしていくことさえもままならなくなってくる。
それだけ大きな問題であるにもかかわらず、これまでみんなやばいやばいとは思っていたけれども、真剣にどこまで考えていましたか。
今まさにそのことをしっかりと見直して、本腰入れて、テコ入れをして、秋田県にこの先見通しが持てるようにする、その機会がやっと来たんです。
小中学校の閉校式典、私もう見たくないです。
これから未来を見据えて旅立っていく子供たちが自分たちのふるさとの小学校終わりだと。
ありがとう、さよなら。
こんな寂しい行事ありますか。
誰のせいですか、これ。
私たち秋田で暮らす大人みんなのせいですよ。
今これを、このままじゃダメだと本当に真剣に皆さん一人ひとりが思っていただいて、この先、秋田県どうしていくのか、それをこれから17日間でぜひ形にしていきたい。
そのために私は全力でがんばってまいります。
(選挙運動)03:14~
「49歳、早すぎるよ」と。
「健太、お前まだ若いから次でいいべ」って、こういう方います。
違います。
今ここで初めて皆さんにお話ししますが、今回の挑戦は、私にとって最初で最後の挑戦です。
今回負けたら次ありません。
(県政運営・現場の声を聴く)03:40~
理由は2つあります。
1つ、若くないと変えられません。
全県走って本当にわかりました。
秋田県、本当に広い。
90万人切ったとはいえ、それだけの皆さんにお話をして、そして何よりも現場の声を聞いて、みんなの本音を知らないと変えられないんですよ。
そのためには相当の体力と気力と意欲、これが必要です。
ここからだったら10年間、私は全力で走れます。
でも歳いったらできない。
実感としてそれを感じました。
(他候補批判)04:18~
2つ目。
先日の公開討論会を見ていただければわかったと思います。
ここで私が負けたら終わりです。
絶対変わりません。
誰かを悪く言うつもりありませんけども、とりあえず目標は掲げる、でも達成できるかどうかそれは別です、とか、立派な看板掲げるけども、いろんなトリックで実は大したことやろうと思っていないとか、こういう姿勢で行政をこの先継続されたら、ほんとに少子化止まらないし、地域一つひとつ消滅していきます。
だから今回勝たないといけないんです。
その力を貸してください。
(支援呼びかけ)05:05~
今回はほとんどの政党、そして大きな組織、ほぼほぼ私ではない相手の候補の方についています。
でも、もう選挙変わりました。
そうした組織に属している皆さんからも、こっそりと健太頑張れって、応援してるって本当に多くの皆さんが言ってくれています。
いよいよ秋田の政治も変える時がきたんです。
特定の政党、政治団体、悪者にするつもりありません。
私、一切、喧嘩売ってません。
ただ成果が出ないやり方については変えないといけないって言ってるだけです。
皆さんお一人おひとり、伝えてきました。
全県114か所。
それでも延べ8811人の皆さんにしか伝えることできませんでした。
でもその皆さんが20人、30人声かけていただければ、25万人いく。
そこまでは伝えることができました。
ここから17日間です。
今回の選挙、訳が違います。
16年ぶりなんですよ。
いつもの選挙、仕事忙しいし、ちょっとこれ、まずできる範囲で、私もそういうお願いをしてきましたが、今回は違います。
この17日間、ちょっと私に、私じゃない、秋田県に、そして子供たちにください。
いろんなものを後回しにしてでも、10人、20人、30人、今回は違うよと、この選挙を秋田の未来を大きく変えるんだと、そういうお声がけをしていただきたい。
そしたら本当に秋田は変わります。
私は、必ず勝利をして、子供たちに申し訳ねえなって思わなくてもすむような、そんな秋田県をつくっていきます。
この強い味方たち、私にもいます。
どうか皆さんからもお力を貸してください。
そして一緒に新しい時代の秋田をつくっていきましょう。
よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
大久保範夫候補の演説
(立候補の理由・支持の呼びかけ)
秋田知事選に立候補した、大久保範夫です。
私は佐竹知事に16年間、違法処分を放置されてきました。
私が知事になれば、みずからのえん罪事件を解決することができます。
私はこの立候補によって、私のカミングアウト、秋田県知事への宣戦布告です。
そして最終的には私のえん罪事件の名誉回復と、賠償金と、そして精神保健法の行政処分手続きが、憲法に違反していることを国民に知らせて改正を求めています。
私の活動は、政治活動だと思います。
皆さん、よろしくお願いいたします。
これから私の政治活動で県民に迷惑をかけると思いますので、私が違法強制入院されたえん罪事件であることを県民にいちばんよく知らせる方法が、この知事選への立候補だと思っていたのです。
かねてから、前からずっと計画していました。
これで、私の活動によって迷惑が、県民が受けたとしても、それは知事が違法処分を放置していたということになりますので、そのことで私の処分が違法を認めて賠償をしてもらえれば幸いです。
よろしくお願いします。
私は4月6日まで、私の誕生日である選挙日まで走り続けたいと思います。
頑張ります。
よろしくお願いします。
どうも、以上です。