日立市の事件の際には母親も乗っていたということで、警察は詳しいいきさつを調べています。
6日午後1時前、茨城県日立市の市役所の前にある広場に黒い車が突っ込み、広場でのイベントに参加していた40代の女性が骨を折る大けがをし、20代と30代の男性2人が軽いけがをしました。
また、この30分ほどあとの午後1時半ごろには、16キロほど離れた東海村役場の正面玄関にも白い乗用車が突っ込み、車を運転していた日立市の益子泰 容疑者(53)が建造物損壊の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、調べに対し容疑を認め「2件とも自分がやった。東海村役場と日立市役所に恨みがあった」などと供述しているということです。
これまでの調べで、日立市役所に突っ込んだ黒い車は容疑者の家族名義で、事件の際には母親も車に乗っていたということです。
この黒い車はその後、母親だけが乗った状態で容疑者の自宅近くで見つかり、白い車に乗り換えて東海村役場に向かったとみられています。
東海村の事件の車の所有者はわかっていないということで、警察は事件前後の足取りなどについて母親からも事情を聴くなどして詳しく調べています。
自宅付近で別の車にぶつかるような様子
6日午後2時前に日立市久慈町の容疑者の自宅付近で撮影された映像では、容疑者が乗っていたとみられる黒い乗用車が別の車にぶつかっているような様子が撮影されています。
近くにはパトカーや救急車が停車し、警察官が慌ただしく走っていました。
また、周辺にはトマトが散乱し、近所の住人が心配そうに警察官らの対応を眺めている様子も見られました。
撮影した近所に住む男性は「外でドーンと大きな音がしたあと、パトカーや救急車の音がして外に出てみたら黒い車がとまっていました。周りでは警察官が逃げた人を探しているように見えました。近所でこんな事件があって怖いです」と話していました。
容疑者を目撃した人「容疑者は車の中から急いで出て 逃げた」
日立市役所前の広場に車が突っ込んだあと、容疑者は自宅アパートの駐車場でその姿が目撃されていました。
同じアパートの別の部屋に住む60代の女性によりますと、午後1時すぎ、車がぶつかるような音がしたため部屋の中から外を見ると黒い車から容疑者が急いで出てきたということです。
女性は「容疑者は車の中から急いで出てきて、持っていたトマトの袋をその場で捨てて、逃げていきました。黒い車は駐車場にとめられていた別の車と衝突していて黒い車の中には女性が残っていました」と話しています。
また、車内に残った女性は容疑者の母親とみられるということで「ほかの目撃者と女性を助けようとしたが、ドアが開かなかったので救急車を呼びました。車の中で胸に手を当てて痛そうにしていました」と話しています。
一方、ふだんの容疑者については「デイサービスを受けるなど具合が悪そうでしたが、話をしている感じだと優しそうな方でした。同じ棟の人が事件を起こしたと聞いて複雑な気持ちです」と話していました。
同じアパートに住む人「普通の人だと思っていた 信じられない」
容疑者と同じアパートの別の部屋に住む80代の女性は「2年前、ガスがうまくつかないトラブルがあって相談したら『今見てあげるよ』と言って、原因を探してくれました。すごくいい人で、こんなことやるなんて全然思いませんでした」と話しています。
その上で「きょう午後1時ごろ、駐車場の入り口付近で容疑者の母親の車が他の車と衝突する事故があった。救急車が来ていたが、私が見たかぎり容疑者の姿はその場にはなかった」と話していました。
容疑者と同じアパートの別の部屋に住む30代の女性は「ほとんど話したことはなくあいさつだけだったので普通の人だと思っていました。ひと言で言うとびっくりしました。信じられないしかありません」と話していました。