軽症けいしょうの段階だんかいで服用ふくようできる薬くすりで、先月せんげつ、新あらたに創設そうせつされた緊急きんきゅう承認しょうにんの制度せいどを使つかって申請しんせいされました。

審議しんぎでは委員いいんから「第だい7波はに備そなえ治療ちりょうの選択肢せんたくしとして持もっておくべきだ」といった意見いけんがあった一方いっぽうで「症状しょうじょうの改善かいぜんは小ちいさく、すでにほかの治療ちりょう薬やくもあり承認しょうにんする緊急きんきゅう性せいはない」という指摘してきがあったということです。

そのうえで治験ちけんデータを踏ふまえた有効ゆうこう性せいや副作用ふくさようなどの安全あんぜん性せいについて慎重しんちょうに議論ぎろんを重かさねる必要ひつようがあるとして、審議しんぎを継続けいぞくすることが決きまりました。

承認しょうにんの可否かひについては来月らいげつ、判断はんだんされる見通みとおしで、承認しょうにんされれば国内こくないの製薬せいやく会社かいしゃが開発かいはつした初はじめての飲のみ薬やくとなります。

会社かいしゃによりますとこの薬くすりは偽にせの薬くすりを服用ふくようしたグループと比較ひかくする治験ちけんを行おこなった結果けっか、ウイルスが検出けんしゅつされた人ひとの割合わりあいが90％減少げんしょうしたということです。

また、疲労ひろう感かんや体からだの痛いたみなど12の症状しょうじょうについては明確めいかくな差さは出でなかったものの、呼吸こきゅう器きの症状しょうじょうは改善かいぜんし、副作用ふくさようは軽度けいどだったとしています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは承認しょうにん後ごに塩野しおの義よし製薬せいやくから100万まん人にん分ぶんを購入こうにゅうし、それ以降いこうも一定いってい量りょうの購入こうにゅうを続つづけることで基本きほん合意ごういしています。

新型しんがたコロナウイルスは感染かんせんすると細胞さいぼう内ないに侵入しんにゅうし、ウイルスそのもののRNAをコピーして増ふえていきますが、新あらたな薬くすりではコピーの準備じゅんび段階だんかいで働はたらく酵素こうそを機能きのうしなくすることでウイルスの増殖ぞうしょくを抑おさえます。

アメリカの製薬せいやく大手おおて、ファイザーが開発かいはつした飲のみ薬やく「パキロビッドパック」と同様どうようの仕組しくみで、塩野しおの義よし製薬せいやくはことし2月つき、この薬くすりの承認しょうにんを厚生こうせい労働ろうどう省しょうに申請しんせいしました。

ことし4月つきに感染かんせん症しょうの国際こくさい学会がっかいで発表はっぴょうされた治験ちけんの結果けっかによりますと、オミクロン株かぶの感染かんせんが拡大かくだいしたことし1月つきから2月つきまでに、12歳さいから70歳さい未満みまんの軽症けいしょうから中等ちゅうとう症しょうの新型しんがたコロナ患者かんじゃ428人にんを対象たいしょうに調しらべたところ、薬くすりの投与とうよを1日にち1回かい、3回かい受うけたあとでは、▽せきや▽のどの痛いたみ▽鼻水はなみず・鼻はなづまり▽息切いきぎれ、▽熱ねつっぽさがあることの5つの症状しょうじょうが偽にせの薬くすりを服用ふくようしたグループと比くらべ改善かいぜんしたとしています。

一方いっぽうで、当初とうしょの評価ひょうか項目こうもくとしていた下痢げりや吐き気はきけなどを加くわえた12の症状しょうじょうを合あわせて比較ひかくすると、偽にせの薬くすりグループと比くらべて明確めいかくな差さは出でなかったとしています。

また、感染かんせん性せいのあるウイルスが検出けんしゅつされた人ひとの割合わりあいは偽にせの薬くすりを服用ふくようしたグループと比くらべて90％減少げんしょうし、ウイルスが陰性いんせいになるまでの時間じかんは1日にちから2日間にちかん、短みじかくなったということです。

安全あんぜん性せいについて重大じゅうだいな有害ゆうがい事象じしょうはなかったとしていて、会社かいしゃでは最終さいしゅう段階だんかいの治験ちけんも並行へいこうして進すすめています。