大阪おおさかの北きた区くは、JR大阪おおさか駅えきや阪急はんきゅう大阪おおさか梅田うめだ駅えきを擁ようする大阪おおさかの商業しょうぎょうの中心ちゅうしん地ちで、芝田しばた商店しょうてん会かいはJR大阪おおさか駅えきの徒歩とほ圏内けんないにあります。

三島みしまさんは7年ねん前まえから、この地域ちいきの小学校しょうがっこうの近ちかくに立たち、子こどもたちの登校とうこうを毎朝まいあさ、見守みまもっています。立たっているのは自転車じてんしゃや車くるまの交通こうつう量りょうが多おおい通学つうがく路ろの交差点こうさてん。時折ときおりヒヤリとする場面ばめんもあり子供こどもたちが安全あんぜんに道みちを渡わたれるよう気きは抜ぬけません。

三島みしまさんが紹介しょうかいしてくれた毎朝まいあさの見守みまもり仲間なかまの多おおくは70代だいから80代だい。心臓しんぞうにペースメーカーが入はいっていて、見守みまもりを終おえてから病院びょういんに行いくのが日課にっかという男性だんせいもいました。

そこには「元気げんきをありがとう」と書かかれていました。

聞きいてみると、入学にゅうがくした子こどもたちが日に日ひにひに成長せいちょうしていくのを見みるのが大おおきな喜よろこびだと話はなします。

見守みまもりをする子こどもを見みながら「こんなに小ちいさかったのに」と目めを細ほそめる三島みしまさん。三島みしまさんの感謝かんしゃ状じょうは、区くの広報こうほう紙しで紹介しょうかいされました。

長年ながねん開催かいさいされていた祭まつりがなくなり、学校がっこうも統廃合とうはいごうされ、さらに見舞みまわれたのが今回こんかいのコロナ禍か。

マスクで互たがいの表情ひょうじょうが見みえづらくなり、コミュニケーションの取とり方かたにも何なにかと気きを遣つかう日々ひび。“人情にんじょうの街まち”大阪おおさかから大切たいせつなものが失うしなわれてしまわないか、この2年間ねんかんは特とくに、気きをもむ日々ひびが続つづいたといいます。

三島みしまさんは、感謝かんしゃ状じょうをきっかけに、改あらためて自分じぶんの気持きもちを地域ちいきの大切たいせつな子こどもたちに伝つたえたいと思おもったといいます。

子こども見守みまもりを続つづける三島みしま保たもつさん

「地域ちいきの宝たからは子こどもたち。この地域ちいきの人ひとと人ひとの温あたたかいつながりは、この地域ちいきに愛着あいちゃくを持もって育そだつ子こどもがいてこそ受け継うけつがれる。自分じぶんたちがいなくなった後のちもそれが残のこっていくように、伝つたえ続つづけたい」

本人ほんにんを前まえに少すこし照てれくさそうでしたが、これまで感かんじていた思おもいを教おしえてくれました。

子こどもたち

「三島みしまさんは優やさしい」「守まもってくれる人ひと」

保護ほご者しゃ

「子こどもたちも元気げんきをもらっていると思おもいます毎朝まいあさ」

「地域ちいきの顔かおと顔かおの見みえるつながりっていうのはこういうところで生うまれていくのかなって感かんじました」

大阪おおさか市しの北きた区くが呼よびかけています。

買い物かいものをするときは店みせの人ひとが「まいどおおきに」と声こえをかけ、会計かいけいを終おえた客きゃくも「ありがとう」と感謝かんしゃを互たがいに伝つたえ合あうのが文化ぶんかになっている商人しょうにんの街まち、大阪おおさか。

長引ながびくコロナ禍かで、人ひとと人ひとの間まのコミュニケーションそのものが減へってしまう危機きき感かんが広ひろがる今いまだからこそ、”まいどおおきに”の街まち大阪おおさかから、今いま一いち度ど”ありがとう”を見直みなおしませんか。マスクに隠かくれた”ありがとう”を感謝かんしゃ状じょうにしませんか、と働はたらきかけることにしたのです。

思い思おもいおもいに書かいた感謝かんしゃ状じょうを手てに持もって写真しゃしんを撮影さつえいし、専用せんようサイトにデータを投稿とうこうしてほしい。

できるだけ多おおくの人ひとに参加さんかしてもらいたいと区くでは、9月つき末まつまでに10万まん枚まい分ぶんという目標もくひょうを掲かかげました。

そして、感謝かんしゃ状じょうをきっかけに「大阪おおさかから世界せかいに感謝かんしゃの気持きもちを発信はっしんしよう」と呼よびかけています。

開始かいしからおよそ1か月かげつ半はんで集あつまった感謝かんしゃ状じょうは3万まん9000枚まい以上いじょう。今いまも増ふえ続つづけています。

中なかには転勤てんきんを前まえにした男性だんせいが5年間ねんかん暮くらした大阪おおさかの街まちに贈おくったこんな感謝かんしゃ状じょうも寄よせられていました。

「大阪おおさかが大好だいすきです。すべての出会であった方ほうに感謝かんしゃです」。

ミャンマーから来きた留学生りゅうがくせい、セイン・セイン・テットさん（22歳さい）です。

この春はる、北きた区くの語学ごがく学校がっこうを卒業そつぎょうし、関西かんさいの大学だいがくに進学しんがくしました。

セインさんが感謝かんしゃ状じょうを書かいたのは、祖国そこくに住すむ両親りょうしんに向むけてです。

「どんな道みちを選えらんでもいつも支ささえてくれて本当ほんとうにありがとうございます」

来日らいにちして3か月かげつ後ごの去年きょねん2月つき、軍事ぐんじクーデターが起おきました。

今いまも政情せいじょうが不安定ふあんていなため、なかなか帰国きこくすることはできません。

心配しんぱいで毎日まいにちのように両親りょうしんに電話でんわをかけていますが、普段ふだんは元気げんきかどうかを確たしかめることが中心ちゅうしん。

両親りょうしんの生活せいかつ状況じょうきょうへの不安ふあんが先立さきだつ中なかで、なかなか思おもいが至いたっていなかったのが、自分じぶんを日本にっぽんに送り出おくりだしてくれたことへの感謝かんしゃの思おもいでした。

セインさんは、感謝かんしゃ状じょうを書かいたうえで、両親りょうしんに電話でんわし、「ありがとう」と感謝かんしゃの気持きもちを伝つたえたということです。

父親ちちおやから、「いつも頑張がんばっていることを知しっているよ」と励はげましの言葉ことばをかけられたセインさん。

少すこし涙なみだぐんだあと、こう話はなしました。

「お父おとうさんはふだん何なにも言いわないのでちょっと泣なきたい気持きもちになりました。改あらためて私わたしもこれから頑張がんばろうと思おもいました」

一見いっけん単純たんじゅんに思おもえる感謝かんしゃ状じょうという昔むかしながらの手段しゅだんは、思おもいを言葉ことばにしようとする気持きもちにまでブレーキをかけがちな今いまの私わたしたちを再ふたたびつなぎ、笑顔えがおにするきっかけをくれるのではないかと感かんじました。

改あらためていうのは照てれくさいけど、本当ほんとうは感かんじている「ありがとう」。

コロナは落ち着おちついてきましたが、あなたも大切たいせつな人ひとに、思い切おもいきって感謝かんしゃ状じょうという形かたちで思おもいを伝つたえてみませんか。