郵便ゆうびん料金りょうきん30年ねんぶり値上ねあげへ 10月つきから手紙てがみ110円えんに

日本にっぽん郵便ゆうびんはことし10月つき1日にちに行おこなう郵便ゆうびん料金りょうきんの値上ねあげを13日にち、総務そうむ省しょうに届け出とどけでました。

それによりますと、定形ていけい郵便ゆうびん物ぶつの手紙てがみは、重おもさ25グラム以下いかの料金りょうきんがいまの84円えんから110円えんに、50グラム以下いかの料金りょうきんがいまの94円えんから110円えんにそれぞれ値上ねあげされ、区分くぶんを統合とうごうして同おなじ料金りょうきんとします。値上ねあげは、消費しょうひ税率ぜいりつの引き上ひきあげを除のぞき1994年ねん以来いらい30年ねんぶりとなります。

はがきは、年賀ねんがはがきも含ふくめていまの63円えんから85円えんに値上ねあげされます。

速達そくたつの追加ついか料金りょうきんは重おもさ250グラムまでの場合ばあい、いまの260円えんから300円えんに値上ねあげされます。

またレターパックライトは370円えんから430円えんに、レターパックプラスは520円えんから600円えんにそれぞれ値上ねあげされます。

値上ねあげの理由りゆうについて日本にっぽん郵便ゆうびんは、郵便ゆうびんの利用りよう数すうの減少げんしょうに加くわえ、今後こんごも物流ぶつりゅうコストの上昇じょうしょうで営業えいぎょう費用ひようの増加ぞうかが見込みこまれるためと説明せつめいしています。

郵便ゆうびん事業じぎょうの営業えいぎょう損益そんえきは、民営みんえい化か以降いこうでは2022年度ねんどに初はじめて赤字あかじとなり、総務そうむ省しょうは、今回こんかいの値上ねあげによって来年度らいねんどに黒字くろじ化かするものの、その翌よく年度ねんどからは再ふたたび赤字あかじになる見通みとおしを示しめしています。

安価あんかで全国ぜんこくに届とどく郵便ゆうびんの維持いじに向むけて、事業じぎょうの効率こうりつ化かをどのように進すすめていくかが大おおきな課題かだいとなります。

日本にっぽん郵便ゆうびん「ユニバーサルサービス維持いじのため ご理解りかいを」

オンラインで開ひらかれた記者きしゃ会見かいけんで、日本にっぽん郵便ゆうびんの斎藤さいとう貴たか執行しっこう役員やくいんは「郵便ゆうびんの利用りようの拡大かくだいと業務ぎょうむ効率こうりつ化かの取り組とりくみを進すすめているが、営業えいぎょう収益しゅうえきの減少げんしょうと営業えいぎょう費用ひようの増加ぞうかを打ち返うちかえすことは現時点げんじてんでは難むずかしい。郵便ゆうびんのユニバーサルサービスを安定あんてい的てきに維持いじしていくためで、ご理解りかいをたまわりますようお願おねがいします」と述のべました。

また、今後こんごも値上ねあげを行おこなうかどうかについては「現時点げんじてんで決きまっていることはなく、その年度ねんど、年度ねんどの収支しゅうし状況じょうきょうやお客様おきゃくさまのご利用りよう状況じょうきょうを見みながら判断はんだんしていきたい」と述のべました。

官房かんぼう長官ちょうかん「消費しょうひ者しゃに丁寧ていねいに周知しゅうち」

林はやし官房かんぼう長官ちょうかんは午後ごごの記者きしゃ会見かいけんで「郵便ゆうびんサービスは国民こくみん生活せいかつや経済けいざい活動かつどうにとって重要じゅうようなものであり、国民こくみん生活せいかつへの影響えいきょうも勘案かんあんしつつ郵便ゆうびん事業じぎょうの安定あんてい的てきな提供ていきょうを可能かのうにするための料金りょうきんの見直みなおしだ。今後こんご、総務そうむ省しょうや日本にっぽん郵便ゆうびんで消費しょうひ者しゃへの丁寧ていねいな周知しゅうちも含ふくめ、安定あんてい的てきなサービスの提供ていきょうに向むけ適切てきせつな対応たいおうを行おこなっていく」と述のべました。

郵便ゆうびん利用りよう数すうの減少げんしょうに歯止はどめかからず

今回こんかいの値上ねあげを行おこなっても、郵便ゆうびん事業じぎょうの収支しゅうしは厳きびしい見通みとおしとなっています。

手紙てがみやはがきなどの国内こくないの郵便ゆうびんの利用りよう数すうは、2001年度ねんどの262億おく通つうをピークに毎年まいとし、減へり続つづけていて、2022年度ねんどには144億おく通つうとピークから45％減少げんしょうしました。

2022年度ねんどの郵便ゆうびん事業じぎょうの営業えいぎょう損益そんえきは211億おく円えんの赤字あかじとなり、2007年ねんの民営みんえい化か以降いこうで初はじめて赤字あかじとなりました。

さらに昨年度さくねんどには前まえの年度ねんどから6％減へって135億おく通つうとなり、利用りよう数すうの減少げんしょうに歯止はどめがかかっていません。

今後こんごの見通みとおしでは、4年ねん後ごの2028年度ねんどには112億おく通つうとなり、ピーク時じと比くらべて57％減へると試算しさんしています。

SNSなどの普及ふきゅうだけでなく、デジタル化かによって企業きぎょうの利用りようが急速きゅうそくに減へっていることが大おおきな要因よういんとなっています。

値上ねあげしても再ふたたび赤字あかじに転てんじる見通みとおし

去年きょねん12月つきに総務そうむ省しょうが示しめした郵便ゆうびん事業じぎょうの営業えいぎょう損益そんえきの見通みとおしでは、今回こんかいの値上ねあげを行おこなわない場合ばあい、2028年度ねんどには3439億おく円えんまで赤字あかじが拡大かくだいすると試算しさんしていました。

一方いっぽうで、値上ねあげを行おこなった場合ばあいでも、2025年度ねんどには67億おく円えんの黒字くろじに転換てんかんするものの、2026年度ねんどには再ふたたび400億おく円えんの赤字あかじに転てんじ、2028年度ねんどには赤字あかじ額がくが1232億おく円えんに拡大かくだいする見通みとおしとなっています。

郵便ゆうびんの料金りょうきん制度せいどで、総務そうむ省しょうはこれまで値上ねあげの時点じてんから3年ねん後ごまでの黒字くろじを確保かくほする前提ぜんていで郵便ゆうびん料金りょうきんの基本きほんとなる手紙てがみの上限じょうげん額がくの上げ幅あげはばを決定けっていしてきましたが、今後こんごは最小さいしょう限げんの値上ねあげ幅はばで短期間たんきかんに再度さいど値上ねあげすることも念頭ねんとうに料金りょうきん制度せいどの見直みなおしも検討けんとうするとしています。

手紙てがみやはがきに新あらたな価値かち発見はっけん ビジネスにつなげる動うごきも

企業きぎょうの間まで郵便ゆうびんの利用りようの減少げんしょうが続つづく中なか、手紙てがみやはがきに新あらたな価値かちを見みいだしビジネスにつなげる動うごきもあります。

札幌さっぽろ市しにあるマーケティング会社かいしゃでは、企業きぎょう向むけにダイレクトメールの新あらたな活用かつよう方法ほうほうを提案ていあんしています。

たとえば企業きぎょうの経理けいり担当たんとう宛あてに送付そうふしたこちらの箱はこ形がたのダイレクトメールは、会計かいけいソフトを売り出うりだしたいあるIT会社かいしゃからの依頼いらいを受うけ、提案ていあんしました。

箱はこをあけると、メッセージが書かかれた紙かみとともに入はいっていたのは、経理けいり担当たんとう者しゃにとって身近みぢかなパソコンのテンキーを模もしたチョコレートです。

送おくるタイミングも、企業きぎょうの決算けっさん業務ぎょうむが一段落いちだんらくした時期じきにあわせる工夫くふうをしたということです。

この会社かいしゃでは電子でんしメールやSNSを活用かつようする提案ていあんも行おこなっていますが、こうした形かたちでダイレクトメールに新あらたな価値かちを加くわえたところ、活用かつようしようという企業きぎょうが増ふえているということです。

マーケティング会社かいしゃ「フュージョン」の佐々木ささき卓也たくや社長しゃちょうは「SNSやメールに比くらべて紙かみのダイレクトメールはより五感ごかんに訴うったえることができる。上うえ得意とくいと言いわれるお客様おきゃくさまには特別とくべつな紙かみを使つかってコストがかかってもお便おたよりを出だしてコミュニケーションを取とっていく。10代だいから20代だいのデジタルネイティブと言いわれる若わかい世代せだいの間まで、きちんと紙かみでお便おたよりを出だすことが珍めずらしく新鮮しんせんに捉とらえられるという現象げんしょうも起おきている」と話はなしていました。