Japanese News: 「はしか」感染確認各地で症状の特徴対策は？（5/23現在）

国内こくないで「はしか」の感染かんせんが広ひろがりつつあります。

はしかは感染かんせん力りょくが極きわめて強つよく、発症はっしょうすると重症じゅうしょう化かして命いのちに関かかわることもあります。

最新さいしんの感染かんせん状況じょうきょう、症状しょうじょうの特徴とくちょう、感染かんせんが疑うたがわれる場合ばあいの対応たいおうなどをまとめています。

（5月つき23日にち現在げんざい）

東京とうきょう都内とないでは3年ねんぶり全国ぜんこくで去年きょねん上回うわまわる感染かんせん者しゃ数すう

4月つき27日にち、インドから帰国きこくした茨城いばらき県内けんないの30代だいの男性だんせいの感染かんせんが確認かくにんされました。

茨城いばらき県けんは、この男性だんせいが乗車じょうしゃした新幹線しんかんせんの車両しゃりょうや、利用りようした医療いりょう機関きかんを公表こうひょうするなどして注意ちゅういを呼よびかけました。

その後そのご、同おなじ新幹線しんかんせんに乗のっていた東京とうきょう都内とないの30代だいの女性じょせいと40代だいの男性だんせいの感染かんせんが確認かくにんされました。

東京とうきょう都内とないで感染かんせんが確認かくにんされたのは、2020年ねん以来いらい3年ねんぶりです。

23日にち、国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょが発表はっぴょうした速報そくほう値ちでは、ことしの感染かんせん者しゃ数すうは5月つき14日にちの時点じてんで7人にんとなっています。

はしかの1年間ねんかんの感染かんせん者しゃ数すうは、全数ぜんすう調査ちょうさが始はじまった2008年ねんには、国内こくないで大だい規模きぼな流行りゅうこうがあり1万まん1013人にんに上のぼりました。

しかし、2015年ねんには35人にんにまで抑え込おさえこみ、すべて海外かいがいから入り込はいりこんだケースだったため、日本にっぽんはWHO＝世界せかい保健ほけん機関きかんから、はしかの「排除はいじょ状態じょうたい」にあると認みとめられました。

2019年ねんには、はしかの感染かんせんの報告ほうこくが相次あいつぎ、1年間ねんかんで744人にんが感染かんせんしたと報告ほうこくされましたが、2020年ねんの新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだい以降いこうは海外かいがいとの人ひとの往来おうらいが少すくなくなったこともあって低ひくい水準すいじゅんとなり、おととし（2021年ねん）は6人にん、去年きょねん（2022年ねん）も6人にんでした。

おととしと去年きょねんの感染かんせん者しゃ数すうを、ことしは5月つきの時点じてんですでに上回うわまわっています。

感染かんせん力りょく極きわめて強つよい「はしか」

はしかに警戒けいかいが必要ひつような理由りゆうは、感染かんせん力りょくが極きわめて強つよく、重症じゅうしょう化かしたり死亡しぼうしたりするケースがあることです。

はしかはウイルス性せいの感染かんせん症しょうで、患者かんじゃがせきやくしゃみをすることで放出ほうしゅつされた粒子りゅうしにウイルスが含ふくまれていて、それを吸い込すいこむことで感染かんせんします。

空気くうき感染かんせんのほか、飛ひまつや接触せっしょくを通をつうじて広ひろがることもあり、感染かんせん力りょくは極きわめて強つよく、免疫めんえきがない場合ばあい、感染かんせん者しゃと同おなじ室内しつないにいただけで、ほぼ確実かくじつに感染かんせんするとされています。

まわりの人ひとに免疫めんえきがなく、対策たいさくがとられない場合ばあい、患者かんじゃ1人にんから何なん人にんに感染かんせんを広ひろげるかを示しめす「基本きほん再さい生産せいさん数すう」は「12から18」とされ、「2から3」ほどとされてきた新型しんがたコロナウイルスなどより感染かんせん力りょくは格段かくだんに強つよいとされています。

4月つきには新幹線しんかんせんで同おなじ車両しゃりょうに乗のっていた人ひとで、感染かんせんが確認かくにんされたほか、2019年ねんには、大阪おおさかの商業しょうぎょう施設しせつでアルバイト店員てんいんの感染かんせんが確認かくにんされ売り場うりばを訪おとずれていた買い物かいもの客きゃくらに感染かんせんが広ひろがりました。

専門せんもん家か「同おなじ場所ばしょに短時間たんじかん一緒いっしょにいるだけで感染かんせんの可能かのう性せい」

国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょで、はしか対策たいさくに取り組とりくんできた神奈川かながわ県けん衛生えいせい研究所けんきゅうじょの多屋たや馨かおる子こ所長しょちょうは「同おなじ場所ばしょに数すう分間ふんかん、短みじかい時間じかん一緒いっしょにいるだけで感染かんせんしてしまう可能かのう性せいがある。それほど感染かんせん力りょくが強つよい病気びょうきだ」と話はなしています。

重症じゅうしょう化か・死亡しぼうのケースも

はしかに感染かんせんしたときに出でる主おもな症状しょうじょうは、発熱はつねつやせき、発疹はっしんなどです。

はしかに詳くわしい北里きたざと大学だいがくの中山なかやま哲夫てつお特とく任にん教授きょうじゅによりますと、熱ねつは2日にちほどでいったん下さがったあと再ふたたび上あがるのが特徴とくちょうで、40度ど近ちかくまで上あがり、発熱はつねつは1週間しゅうかんほど続つづくということです。

また、発疹はっしんは症状しょうじょうが出で始はじめてから数すう日にちたたないと出でないため、最初さいしょのうちは、はしかと判断はんだんしにくいこともあるということです。

さらに、感染かんせんによる合併症がっぺいしょうとして肺炎はいえんや脳炎のうえんが引き起ひきおこされ重症じゅうしょう化かするケースもあります。

特とくに脳炎のうえんについては、およそ1000人にんに1人にんの割合わりあいで起おき、中なかには亡なくなるケースもあります。

“はしかの特効薬とっこうやくはない”

アメリカのCDC＝疾病しっぺい対策たいさくセンターによりますと、はしかに感染かんせんした子こども1000人にん中ちゅう、1人にんから3人にんは呼吸こきゅう器きや神経しんけい系けいの合併症がっぺいしょうで亡なくなるとしています。

はしかの特効薬とっこうやくはなく、症状しょうじょうに応おうじた治療ちりょうをするしかないため、専門せんもん家かはワクチンなどで感染かんせんを防ふせぐことが重要じゅうようだとしています。

2007年ねんには、日本にっぽん国内こくないでワクチンを接種せっしゅしていない0歳さいから1歳さいの子こどものほか、1回かいしか接種せっしゅしていない10代だいや20代だいを中心ちゅうしんに感染かんせんが広ひろがりました。

また、中高年ちゅうこうねんでも感染かんせんを経験けいけんしておらず、ワクチンを接種せっしゅしていないか、1回かいしか接種せっしゅしていない人ひとでは、感染かんせんした場合ばあいは命いのちにかかわることもあるとして、専門せんもん家かは注意ちゅういを呼よびかけています。

中山なかやま特とく任にん教授きょうじゅは「はしかの最もっとも重おも篤あつな合併症がっぺいしょうは脳炎のうえんで、熱ねつが出でて発疹はっしんも出でているときにトロトロとして呼よびかけても反応はんのうしないような状況じょうきょうが続つづくのが初期しょき症状しょうじょうだ。はしかは昔むかしから『命取いのちとりの病気びょうき』と言いわれる。特効薬とっこうやくもなく、侮あなどってはいけない病気びょうきだと認識にんしきしてほしい」と話はなしています。

そして、感染かんせんが疑うたがわれる場合ばあいは医療いりょう機関きかんに連絡れんらくしたうえで受診じゅしんしてほしいと呼よびかけています。

妊婦にんぷは特とくに注意ちゅうい

妊娠にんしんしている女性じょせいは、特とくに注意ちゅういが必要ひつようです。

妊婦にんぷがはしかに感染かんせんすると、合併症がっぺいしょうのリスクが高たかいとされ、流産りゅうざんや早産そうざんの可能かのう性せいも指摘してきされています。

また、感染かんせんを防ふせぐためのワクチンは、ウイルスの毒性どくせいを弱よわめた「生なまワクチン」で、妊娠にんしんしている場合ばあいは接種せっしゅを受うけることが適当てきとうではないとされています。

はしかを防ふせぐためには、あらかじめワクチンを接種せっしゅしておくことが大切たいせつです。

ただ、妊娠にんしんしていることに気きづかずに、ワクチンを接種せっしゅしてしまっても、リスクは低ひくいとされています。

年月としつきたってから発症はっしょうする重じゅう篤あつしな脳炎のうえんも

はしかが治なおってから5年ねんほどたって以降いこう、10万まん人にんに1人にんの割合わりあいで「亜あ急性きゅうせい硬化こうか性せい全ぜん脳炎のうえん（SSPE）」という病気びょうきを発症はっしょうすることがあります。

SSPEは、中枢ちゅうすう神経しんけい系けいに潜ひそんでいたはしかのウイルスの感染かんせんによって、長ながい潜伏せんぷく期間きかんを経へて発症はっしょうします。元気げんきに暮くらしていたのにもかかわらず、急きゅうに日常にちじょうの行動こうどうができなくなったり、異常いじょうな行動こうどうが目立めだつようになったりすることがあり、亡なくなることもあります。

国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょによりますと、はしかのウイルスに2歳さい未満みまんで感染かんせんし、4年ねんから8年ねんの潜伏せんぷく期間きかんの後のち、6歳さいから10歳さいごろに発症はっしょうすることが多おおいとされていますが、成人せいじんでも発症はっしょうするケースもあるとしています。

多屋たや所長しょちょうは「ワクチンを接種せっしゅして、はしかへの感染かんせんを防ふせぐことが重要じゅうようだ」と指摘してきしています。

海外かいがい旅行りょこうでの感染かんせんにも注意ちゅうい受診じゅしん前まえに連絡れんらくを

はしかのウイルスに感染かんせんしてから発症はっしょうするまでの潜伏せんぷく期間きかんは、10日にちから12日にちとされています。

はしかは、東南アジアとうなんあじあなどで感染かんせん拡大かくだいが報告ほうこくされていて、海外かいがい旅行りょこう中ちゅうに感染かんせんして、帰国きこく後ごに発症はっしょうする可能かのう性せいもあります。

はしかは、発熱はつねつやせき、鼻水はなみずといった症状しょうじょうが出でているときに、特とくに周囲しゅういに感染かんせんを広ひろげるため、はしかを疑うたがって受診じゅしんする場合ばあい、連絡れんらくなしに医療いりょう機関きかんを訪おとずれるのではなく、医療いりょう機関きかんや保健所ほけんじょに事前じぜんに電話でんわして、指示しじをあおぐことも大切たいせつだとしています。

また、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは感染かんせんを疑うたがう症状しょうじょうがある場合ばあいには公共こうきょう交通こうつう機関きかんの利用りようを控ひかえるよう呼よびかけています。

はしかはワクチンで予防よぼう可能かのう

はしかはワクチン接種せっしゅで、ほぼ確実かくじつに予防よぼうできるとされています。

日本にっぽんでは予防よぼう接種せっしゅ法ほうに基もとづく「はしか」のワクチンの無料むりょうでの定期ていき接種せっしゅは、1978年ねん10月つきに開始かいしされました。

その後そのご、1歳さいの時点じてんでの1回かいの接種せっしゅだけでは免疫めんえきが下さがることがあると分わかり、2006年ねん6月つきからは、はしかと風疹ふうしんを予防よぼうする「MRワクチン」が使用しようされ、1歳さいのときと、小学校しょうがっこうに入学にゅうがく前まえの1年間ねんかんの合あわせて2回かい行おこなわれています。

中山なかやま特とく任にん教授きょうじゅによりますと、ワクチンを2回かい接種せっしゅすることで、95％以上いじょう有効ゆうこうとされ、免疫めんえきはほぼ生涯しょうがい続つづくということです。

現在げんざいは、はしかと風疹ふうしんの混合こんごうワクチンの接種せっしゅが行おこなわれています。

そのワクチンの添付てんぷ文書ぶんしょによりますと、

接種せっしゅ後ごの副ふく反応はんのうとして記載きさいされているのは、

メーカーによって異ことなるものの、

▽発熱はつねつが「5％以上いじょう」から「28.3％」、

▽発疹はっしんが「5％以上いじょう」などとなっています。

はしか単独たんどくのワクチンを接種せっしゅしていた1984年ねんから2008年ねんまでに440万まん人にんを対象たいしょうにした調査ちょうさでは、発熱はつねつがあった人ひとが10％から20％、発疹はっしんが出でた人ひとが5％から10％だったとしています。

また、脳炎のうえんになった人ひとが2人にんいたということですが、中山なかやま特とく任にん教授きょうじゅによりますと、ワクチンとは異ことなるタイプのウイルスの遺伝子いでんしが検出けんしゅつされるなど、ワクチンとの関連かんれんは考かんがえにくいということです。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうや国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょによりますと、1歳さい時点じてんのはしかのワクチンの接種せっしゅ率りつは、2010年度ねんど以降いこう、目標もくひょうとしている95％を連続れんぞくで上回うわまわっていましたが、2021年度ねんどは93.5％に下さがりました。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは新型しんがたコロナの影響えいきょうで医療いりょう機関きかんや保健所ほけんじょがひっ迫ひっぱくしたことや、医療いりょう機関きかんの受診じゅしんを控ひかえるなどして接種せっしゅを受うけられなかった人ひとがいたとみられるとしています。

このため厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、新型しんがたコロナの影響えいきょうで定期ていき接種せっしゅの期間きかん中ちゅうに接種せっしゅできなかった場合ばあいには、期間きかん外がいでも定期ていき接種せっしゅと同様どうように扱あつかうことができるよう運用うんようしていて、定期ていき接種せっしゅの対象たいしょう者しゃとあわせて接種せっしゅを呼よびかけるよう自治体じちたいに求もとめています。

「今いまのうちにワクチン接種せっしゅを」

接種せっしゅ率りつが数すうポイント下さがったことについて、多屋たや所長しょちょうは懸念けねんを抱だいています。

「1歳さいの時点じてんでワクチンを受うけそびれると、次つぎは小学校しょうがっこうの入学にゅうがく前まえまで接種せっしゅの機会きかいがない。この接種せっしゅ率りつが続つづくと、毎年まいとし、5万まん人にん程度ていどの子こどもたちが、はしかのワクチンを受うけていないということになり、社会しゃかい全体ぜんたいに大おおきなインパクトを与あたえる危機きき的てきな状況じょうきょうだ。感染かんせんが拡大かくだいするとワクチンが不足ふそくする事態じたいも考かんがえられるので、いまのうちに接種せっしゅを受うけてほしい」。

接種せっしゅしたか分わからない人ひとは抗体こうたい検査けんさを

おおむね50代だい以上いじょうの人ひとは1回かいも接種せっしゅしたことがないと考かんがえられます。

それ以降いこうで、1990年ねん4月つき1日にちまでに生うまれた33歳さいから40代だいの人ひとは、子こどもの頃ころに1回かい接種せっしゅを受うけたとみられ、1990年ねん4月つき2日にち以降いこうに生うまれた人ひとは2回かい接種せっしゅの対象たいしょうになっています。

子こどもの頃ころに何なんらかの事情じじょうでワクチンを接種せっしゅしていない人ひともいます。

ワクチンの接種せっしゅ歴れきを調しらべる確実かくじつな方法ほうほうは母子ぼし健康けんこう手帳てちょうで確認かくにんすることです。

母子ぼし健康けんこう手帳てちょうを確認かくにんできない場合ばあいは、抗体こうたい検査けんさを受うけて調しらべることもできます。

また、子こどもの頃ころなどに、はしかに感染かんせんした場合ばあいには、抗体こうたいがある可能かのう性せいもあります。

かかりつけのクリニックや、近所きんじょの内科ないかなどで「はしかの抗体こうたいがあるか調しらべたい」と伝つたえて受診じゅしんすれば調しらべることができます。

結果けっかが判明はんめいするまでに1週間しゅうかんほどかかり、費用ひようも数すう千せん円えん必要ひつようですが確実かくじつとされています。

抗体こうたい十じゅう分ふんでない場合ばあいは成人せいじんでもワクチン接種せっしゅを

専門せんもん家かは、「ワクチンの接種せっしゅ歴れきが分わからないのであれば、今いますぐにでも検査けんさを受うけてほしい」と強調きょうちょうしています。

また、はしかの抗体こうたいと同時どうじに、風疹ふうしんやおたふくかぜ、水みずぼうそうの抗体こうたいも調しらべることをすすめています。そして、抗体こうたいが十分じゅうぶんでなかった場合ばあいは、成人せいじんであってもワクチンを接種せっしゅするようすすめています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、はしかにかかったことがなく、2回かいの接種せっしゅを受うける機会きかいがなかった人ひとのうち、特とくに医療いりょう関係かんけい者しゃや児童じどう福祉ふくし施設しせつの職員しょくいん、学校がっこうの職員しょくいんなど、はしかにかかるリスクが高たかい人ひとや、かかることで周まわりへの影響えいきょうが大おおきい人ひと、それに流行りゅうこう国こくに渡航とこうする予定よていがある人ひとには、かかりつけ医いに相談そうだんするなどして接種せっしゅを検討けんとうしてほしいとしています。

専門せんもん家か「はしかの恐おそろしさの再さい認識にんしきを」

（中山なかやま特とく任にん教授きょうじゅ）

「はしかはどこで誰だれが感染かんせんするか分わからない。治療ちりょう法ほうがなく、命いのちに関かかわる可能かのう性せいもあり、ワクチンで予防よぼうすることの重要じゅうよう性せいはかなり高たかい。はしかに感染かんせんすることを考かんがえればワクチンの副ふく反応はんのうは重おもくなく、てんびんにかけるとメリットはかなり高たかいと思おもう。はしかの患者かんじゃ数すうは減へってきて自然しぜん感染かんせんしてしまうという恐怖きょうふが薄うすらいできているが、はしかの恐おそろしさを再さい認識にんしきしてほしい」。