NPT再検討会議開催へ岸田首相演説し核不使用の重要性訴え - Easy News

世界せかいの核軍縮かくぐんしゅくの方向ほうこう性せいを議論ぎろんするNPT＝核かく拡散かくさん防止ぼうし条約じょうやくの再さい検討けんとう会議かいぎが、ニューヨークの国連こくれん本部ほんぶで日本にっぽん時間じかんの1日にち夜よる遅おそくから始はじまります。ロシアによるウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうで核かくの脅威きょういが高たかまる中なか、国際こくさい社会しゃかいが核かく軍縮ぐんしゅくに向むけて一致いっちできるかどうかが焦点しょうてんです。

NPTは、国連こくれん加盟かめい国こくのほとんどにあたる191の国くにと地域ちいきが参加さんかしている国際こくさい条約じょうやくで、核兵器かくへいきを保有ほゆうするアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国ちゅうごくの5か国かこくに核かく軍縮ぐんしゅくに向むけた交渉こうしょうを義務ぎむづける一方いっぽう、そのほかの国くにには核兵器かくへいきの開発かいはつや保有ほゆうを禁止きんししています。

NPT再さい検討けんとう会議かいぎは、核軍縮かくぐんしゅくの方向ほうこう性せいについて合意ごういを目指めざすもので、今回こんかいは新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいの影響えいきょうで7年ねんぶりの開催かいさいとなります。

会議かいぎはニューヨークの国連こくれん本部ほんぶで、現地げんち時間じかんの1日にち午前ごぜん、日本にっぽん時間じかんの1日にち午後ごご11時じごろから始はじまり、冒頭ぼうとう、国連こくれんのグテーレス事務じむ総長そうちょうが演説えんぜつしたあと、各国かっこくの代表だいひょうが一般いっぱん討論とうろん演説えんぜつを行おこない、ニューヨーク入いりしている岸田きしだ総理そうり大臣だいじんも日本にっぽん時間じかんの1日にち夜よる遅おそくに演説えんぜつする予定よていです。

世界せかいの核かく軍縮ぐんしゅくをめぐっては、去年きょねん、核兵器かくへいきの非ひ保有ほゆう国こくが中心ちゅうしんとなって、NPTとは別べつに核兵器かくへいきの開発かいはつや保有ほゆうを禁止きんしする核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやくを発効はっこうさせ、核かく保有ほゆう国こくや核かくの傘かさのもとにある各国かっこくとの間まで足並あしなみが乱みだれています。

また、ことし2月つきのロシアによるウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうのあと、核兵器かくへいきが使用しようされることへの懸念けねんが強つよまっています。

そして、東アジアひがしあじあでは中国ちゅうごくや北朝鮮きたちょうせんの核かく戦力せんりょくの増強ぞうきょうへの警戒けいかいも高たかまっています。

NPTの再さい検討けんとう会議かいぎは今月こんげつ26日にちまで4週間しゅうかんにわたって開ひらかれ、核かくをめぐる国際こくさい社会しゃかいの対立たいりつや分断ぶんだんが深ふかまる中なか、各国かっこくが合意ごうい文書ぶんしょをまとめることができるかが、焦点しょうてんとなっています。

岸田きしだ首相しゅしょうニューヨークに到着とうちゃく

31日にち夜よる、日本にっぽんを出発しゅっぱつした岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは、日本にっぽん時間じかんの午前ごぜん8時じすぎ、アメリカ・ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際こくさい空港くうこうに到着とうちゃくしました。

岸田きしだ首相しゅしょうアメリカに到着とうちゃく NPT再さい検討けんとう会議かいぎで演説えんぜつへ

岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは、日本にっぽん時間じかんの1日にち夜よるからアメリカで始はじまるNPT＝核かく拡散かくさん防止ぼうし条約じょうやくの再さい検討けんとう会議かいぎに出席しゅっせきし、演説えんぜつを行おこないます。

核兵器かくへいきのない世界せかいの実現じつげんを目指めざす日本にっぽんの取り組とりくみを説明せつめいし、NPT体制たいせいの維持いじ・強化きょうかに向むけた建設けんせつ的てきな対応たいおうを呼よびかけることにしています。

岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは、日本にっぽん時間じかんの1日にち午前ごぜん8時じすぎ、アメリカ・ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際こくさい空港くうこうに政府せいふ専用せんよう機きで到着とうちゃくしました。

岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは、日本にっぽん時間じかんの1日にち夜よる遅おそく、国連こくれん本部ほんぶで開ひらかれるNPTの再さい検討けんとう会議かいぎに日本にっぽんの総理そうり大臣だいじんとして初はじめて出席しゅっせきし、演説えんぜつを行おこないます。

演説えんぜつでは、核かく保有ほゆう国こくに対にたいし、核兵器かくへいき不ふ使用しようの継続けいぞくの重要じゅうよう性せいを訴うったえるとともに、核かく戦力せんりょくの透明とうめい性せいの向上こうじょうを促うながすことなど、核兵器かくへいきのない世界せかいの実現じつげんを目指めざす、日本にっぽんの取り組とりくみを説明せつめいし、NPT体制たいせいの維持いじ・強化きょうかに向むけた建設けんせつ的てきな対応たいおうを呼よびかけることにしています。

また、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは、国連こくれんのグテーレス事務じむ総長そうちょうと会談かいだんを行おこなうほか、核軍縮かくぐんしゅくで日本にっぽんと同おなじ立場たちばの、非核ひかく保有ほゆう国こくによるNPDI＝軍縮ぐんしゅく・不ふ拡散かくさんイニシアチブの会合かいごうにも出席しゅっせきする予定よていです。

岸田きしだ総理そうり大臣だいじんとしては、来年らいねん5月つきに被爆ひばく地ち広島ひろしまで開ひらくG7サミット＝主要しゅよう7か国かこく首脳しゅのう会議かいぎも見据みすえ、核兵器かくへいき廃絶はいぜつへの機運きうんを高たかめていきたい考かんがえです。

NPTとは？

1970年ねんに発効はっこうしたNPT＝核かく拡散かくさん防止ぼうし条約じょうやくは、国連こくれん加盟かめい国こくのほとんどにあたる191の国くにと地域ちいきが参加さんかし、世界せかいの核かく軍縮ぐんしゅくに向むけた基本きほん的てきな枠組わくぐみとなっています。

条約じょうやくでは、▽核兵器かくへいきを保有ほゆうするアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国ちゅうごくの5か国かこくに核かく軍縮ぐんしゅくに向むけた交渉こうしょうを義務ぎむづける一方いっぽうで、▽そのほかの国くにには、核兵器かくへいきの開発かいはつや保有ほゆうを禁止きんししています。

また、各国かっこくに原子力げんしりょく発電はつでんなど原子力げんしりょくの平和へいわ利用りようの権利けんりを認みとめるとともに、兵器へいきの開発かいはつに転用てんようされないようIAEA＝国際こくさい原子力げんしりょく機関きかんの査察ささつを受うけることも義務ぎむづけています。

5年ねんに1度ど条約じょうやくの再さい検討けんとう会議かいぎが開ひらかれ、各国かっこくが条約じょうやくの履行りこう状況じょうきょうを確認かくにんし、核軍縮かくぐんしゅくの方向ほうこう性せいについて全会ぜんかい一致いっちで合意ごういを目指めざすことになっています。

一方いっぽうで国連こくれん加盟かめい国こくのうち、インドとパキスタン、イスラエルは条約じょうやくに参加さんかしておらず、核かく・ミサイル開発かいはつを推し進おしすすめる北朝鮮きたちょうせんは2003年ねんに一方いっぽう的てきに脱退だったいを宣言せんげんしています。

再さい検討けんとう会議かいぎのこれまでの経緯けいいは？

NPT＝核かく拡散かくさん防止ぼうし条約じょうやくに参加さんかする国くにと地域ちいきは、5年ねんに1度ど、再さい検討けんとう会議かいぎを開ひらき、各国かっこくが条約じょうやくの履行りこう状況じょうきょうを確認かくにんし、今後こんごの核軍縮かくぐんしゅくの方向ほうこう性せいについて、全会ぜんかい一致いっちでの合意ごういを目指めざしてきました。

▽前々回ぜんぜんかいの2010年ねんには、核かく保有ほゆう国こくが核兵器かくへいきの完全かんぜんな廃絶はいぜつを目指めざして後戻あともどりできない形かたちで取り組とりくむことを確認かくにんするなどとした、「最終さいしゅう文書ぶんしょ」を採択さいたくしました。

一方いっぽう、▽前回ぜんかい7年ねん前まえの2015年ねんには、核軍縮かくぐんしゅくの遅おくれにいらだつ核兵器かくへいきの非ひ保有ほゆう国こくが核兵器かくへいきを法的ほうてきに禁止きんしすべきだと訴うったえて、核かく保有ほゆう国こくと鋭するどく対立たいりつ。さらに中東ちゅうとうの非核ひかく化か構想こうそうをめぐる議論ぎろんでも交渉こうしょうが紛糾ふんきゅうし、結局けっきょく「最終さいしゅう文書ぶんしょ」は採択さいたくできませんでした。

▽今回こんかいの会議かいぎは当初とうしょ2020年ねんに予定よていされていましたが、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいの影響えいきょうを受うけて2年ねん以上いじょう延期えんきされての開催かいさいです。

この間このかん、▽去年きょねんには核兵器かくへいきの非ひ保有ほゆう国こくが中心ちゅうしんとなり核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやくを発効はっこうさせた一方いっぽう、▽ことし前半ぜんはんにはロシアによるウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうで核兵器かくへいきが実際じっさいに使用しようされる脅威きょういが高たかまっていて、NPTの在り方ありかたが厳きびしく問とわれる中なかでの再さい検討けんとう会議かいぎとなります。

専門せんもん家か「分断ぶんだん深ふかまる状況じょうきょう方向ほうこう性せい打ち出うちだす障害しょうがいに」

1日にちから開ひらかれるNPT＝核かく拡散かくさん防止ぼうし条約じょうやくの再さい検討けんとう会議かいぎを前まえに、会議かいぎに日本にっぽん政府せいふ代表だいひょう団だんのアドバイザーとして参加さんかする一いち橋きょう大学だいがくの秋山あきやま信しん将はた教授きょうじゅは、NHKのインタビューに応おうじました。

秋山あきやま教授きょうじゅはロシアのウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうによって、核兵器かくへいきが使用しようされる脅威きょういが高たかまっている現状げんじょうについて、「ロシアが侵略しんりゃくの中なかで核兵器かくへいきによる脅おどしを使つかってきている。それによってアメリカやNATO諸国しょこくが抑止よくしされているし、ロシア自身じしんもアメリカの核かくによって抑止よくしされている。核兵器かくへいきの役割やくわりが改あらためて注目ちゅうもくされてしまっている」として、核かく軍縮ぐんしゅくに逆行ぎゃっこうする動うごきが出でていることに危機きき感かんを示しめしました。

さらに、「ウクライナが核兵器かくへいきを持もっていなかったからロシアに侵略しんりゃくされたんだという政治せいじ的てきな言説げんせつがある程度あるていど有力ゆうりょくなものとして国際こくさい社会しゃかいの中なかで受け止うけとめられている状況じょうきょうを懸念けねんしないといけない」と述のべイランや北朝鮮きたちょうせんが核かく開発かいはつをさらに推し進おしすすめ、核かくの不ふ拡散かくさんの観点かんてんからも好このましくない状況じょうきょうになっていくおそれがあると指摘してきしました。

そのうえで今回こんかいの再さい検討けんとう会議かいぎについて、「核かくへの考え方かんがえかたにおいて分断ぶんだんが深ふかまっている状況じょうきょうは、NPTの枠組わくぐみの中なかで締約ていやく国こくが協力きょうりょくして、方向ほうこう性せいを打ち出うちだす際さいに大おおきな障害しょうがいとなる可能かのう性せいがある」と述のべ、交渉こうしょうが紛糾ふんきゅうするのは避さけられないという見通みとおしを示しめしました。

一方いっぽうで「核兵器かくへいきを持もっている国々くにぐにの間まの戦略せんりゃく的てきな競争きょうそうや、深刻しんこく化かする対立たいりつの中なかで、核かく戦争せんそうにあるいは核兵器かくへいきの使用しようへと、対立たいりつがエスカレートしないように、核かく保有ほゆう国こくが具体ぐたい的てきにどのような措置そちをとるのか注目ちゅうもくしたい」と述のべ、差し迫さしせまった危機ききへの対応たいおうが議論ぎろんされることに期待きたいを示しめしました。

また、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんが、日本にっぽんの総理そうり大臣だいじんとして初はじめて出席しゅっせきすることについて「会議かいぎの場ばでNPTの重要じゅうよう性せいなどを訴うったえるだけでなく、日本にっぽんが核かく保有ほゆう国こくと非ひ保有ほゆう国こくの橋渡はしわたしの役割やくわりについて、具体ぐたい的てきにどう取り組とりくんでいくかを示しめす必要ひつようがある」と述のべ、唯一ゆいいつの戦争せんそう被爆ひばく国こくとしてより具体ぐたい的てきな貢献こうけんが問とわれるという認識にんしきを示しめしました。

さらに会期かいき前半ぜんはんに広島ひろしまと長崎ながさきの原爆げんばくの日ひを迎むかえることについて、「参加さんかしている国々くにぐにの外交がいこう官かんたちにとっては、まさに自分じぶんたちがなぜここに集あつまっているのか、何なにのために外交がいこうをやっているのかということを強つよく意識いしきさせるきっかけになるのではないか」と述のべ、その意義いぎを強調きょうちょうしました。

世界せかいの核かく弾頭だんとう今後こんご10年間ねんかんで増加ぞうかに転てんじる可能かのう性せいも

世界せかいの軍事ぐんじ情勢じょうせいを分析ぶんせきするスウェーデンのストックホルム国際こくさい平和へいわ研究所けんきゅうじょは、ことし6月つきに発表はっぴょうした年次ねんじ報告ほうこく書しょの中なかで、減少げんしょう傾向けいこうにあった世界せかいの核かく弾頭だんとうの総数そうすうが再ふたたび増加ぞうかに転てんじる可能かのう性せいがあるという見方みかたを示しめしています。

報告ほうこく書しょによりますと、各国かっこくが保有ほゆうする核かく弾頭だんとうの総数そうすうはことし1月つき時点じてんで1万まん2705発はつと推計すいけいされ、去年きょねんから375発はつ減少げんしょうしていました。

世界せかい全体ぜんたいの核かく弾頭だんとうのおよそ9割わりを保有ほゆうするロシアとアメリカが、老朽ろうきゅう化かした弾頭だんとうの解体かいたいを進すすめたことで弾頭だんとうが減少げんしょうしたと分析ぶんせきしていて、最もっとも多おおいロシアが5977発はつ、アメリカが5428発はつとなっていました。

一方いっぽうで両国りょうこくは、核かく弾頭だんとうやミサイルの運搬うんぱんシステムなどを改良かいりょうする核兵器かくへいきの「近代きんだい化か」などの計画けいかくを進すすめているほか、ほかの核兵器かくへいきの保有ほゆう国こくも安全あんぜん保障ほしょう政策せいさくの中なかで核かく戦力せんりょくを明確めいかくに位置いちづけようとしていて、減少げんしょう傾向けいこうが続つづいてきた世界せかいの核かく弾頭だんとう数すうは今後こんご10年間ねんかんで増加ぞうかに転てんじる可能かのう性せいがあるとしています。

報告ほうこく書しょはさらに、ロシアがウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうを続つづける中なか、核兵器かくへいきの使用しようの可能かのう性せいに言及げんきゅうしていることにも触ふれ「核兵器かくへいきが使つかわれるリスクは冷戦れいせん終結しゅうけつ以降いこうで最もっとも高たかまっている」と警鐘けいしょうを鳴ならしています。