気象庁は午後7時15分、山形県の▽米沢市▽南陽市▽高畠町▽川西町▽長井市▽飯豊町に大雨の特別警報を発表しました。
5段階の警戒レベルのうち最も高いレベル5にあたる情報です。
山形県では数十年に一度のこれまで経験したことのないような大雨となっていて、土砂崩れや浸水などによる重大な災害がすでに発生している可能性が極めて高い状況です。
午後10時までの1時間に ▽新潟県が村上市に設置した雨量計で57ミリ、 ▽福島県が喜多方市に設置した雨量計で53ミリの非常に激しい雨を観測しました。 午後10時までの12時間の雨量は ▽新潟県村上市の高根で336ミリ、 ▽山形県飯豊町の高峰で257.5ミリ、 ▽福島県北塩原村の桧原で226.5ミリ、いずれも観測史上最も多く、8月の平年1か月分の雨量を超えているところもあります。 山形県の最上川上流では氾濫危険水位を超えているところがあり、国土交通省と気象庁は洪水の危険性が非常に高まっているとして「氾濫危険情報」を出して、長井市と白鷹町では浸水するおそれがあり厳重に警戒するよう呼びかけています。
東北南部や新潟県などでは4日の朝にかけて非常に激しい雨が降り、さらに雨量が増えるおそれがあります。 4日夕方までの24時間に降る雨の量は、いずれも多いところで ▽東北で180ミリ ▽新潟県を含む北陸で130ミリと予想されています。 すでに深夜となり、安全の確保が難しい状況となっています。 安全な場所に移動している場合は避難を続けてください。 すでに周囲が冠水している場合などは建物の2階以上に移動するなど、少しでも安全な場所で過ごすようにしてください。
なぜ、当初の予報を上回る大雨になったのか。 気象庁は7月末に沖縄に接近した台風6号から変わった熱帯低気圧から大量の湿った空気が供給されたことが背景にあると考えています。 台風6号は7月末に沖縄に接近したあと8月1日に東シナ海付近で熱帯低気圧に変わり、朝鮮半島付近を北上しました。 3日は日本海から東北地方にかけて前線がのびていますが気象庁はこの前線に向かって高気圧の縁をまわるように南から湿った空気が流れ込んだうえ、熱帯低気圧からも大量の暖かく湿った空気が供給されたことで、雨雲が次々と発達したとみられています。 気象庁によりますと、北日本では、来週前半も高気圧の縁をまわるように湿った空気が流れ込みやすく、日本海側を中心に降水量が増えるおそれがあります。 気象庁は現在大雨になっている地域は、土砂災害や川の氾濫に厳重に警戒するよう呼びかけるとともに、北日本では最新の気象情報にも注意するよう呼びかけています。
何より安全な場所に避難して命を守ることが重要ですが、暗い夜間となり、周辺にでるのはすでに危険な状況になっている可能性があります。 崖や川の近く、低い土地での警戒すべき点です。
近くに崖や山の斜面はないでしょうか。 雨が強まっていない場合は離れた頑丈な建物に避難してください。 ただ、周囲が暗い、浸水が始まっているなど危険な状況の場合は、近くや自宅の建物の少しでも高い階、さらに崖や斜面から離れた部屋に移動するなど少しでも安全な場所で身を守って下さい。
川のすぐ近くにある家屋ではあふれた濁流に襲われると建物ごと壊される可能性があります。 離れた頑丈な建物の高い階へ避難することが何よりも重要です。 ただ、周囲が暗く浸水が始まっている場合は、少しでも高い階へ移動し、助かる可能性の高い行動をとって下さい。
急激に浸水の深さが増して被害に遭うおそれがあります。 見通しが悪い夜間に歩いて避難したり車で避難したりすると、側溝や用水路に落ちたり、車ごと流されたりする危険があり特に警戒が必要です。 見通しがよく浸水していない状況であればなるべく高い土地の安全な場所へ避難を、周囲の見通しが悪くすでに浸水が始まっているなど危険な状況であれば、近くの高い建物の上の階に移動するなど少しでも命の助かる可能性の高い方法をとって下さい。
山形県の置賜や新潟県の下越では今回、長時間の大雨になっていることから川の氾濫や浸水の被害に最大級の警戒が必要です。
特別警報の出ている自治体では洪水や土石流に最大級の警戒をしてください。 山間部の中小河川では、土砂が一気に流れ下る、土石流のおそれがあります。 土石流の危険のある渓流沿いでは木造家屋も押し流されるおそれがあります。 また、流木などによって川の水位が急上昇してあふれたり、流木によって家屋が被害を受ける可能性もあります。
下流に当たる地域でも油断せず、自治体からの情報などに注意してください。 気象台と、河川を管理する国や県は、氾濫の危険性が非常に高くなっている川の流域に「氾濫警戒情報」や「氾濫危険情報」を共同で発表します。 水位が上がり氾濫の危険がある川には近づかず、気象台や自治体からの情報に注意して早めに避難することが必要です。
川が氾濫してしまった場合、国土交通省などによりますと、氾濫した水の流れは勢いが強く、水深が膝の高さほどまであると大人でも歩くのが困難になります。 車での移動も危険があります。 浸水の深さが▽10センチから30センチでブレーキ性能が低下するほか、▽30センチから50センチでエンジンが停止、▽50センチ以上は車が浮き、閉じ込められ、流される危険があるとされています。
すでに状況が悪化している場合は建物の2階以上に避難してください。 土砂災害から身を守るために斜面の反対側の高い階の部屋に移動することも有効です。 川の近くや低い土地、斜面といった危険な場所にないマンションなど頑丈な建物で、高い階に住んでいる人は、自宅で避難生活する「在宅避難」も考えてください。ただ、周囲に不安があれば、ためらわず避難所に移動して下さい。
東北南部と新潟 4日朝にかけて非常に激しい雨のおそれ
なぜ大雨になったのか
特別警報 崖や川の近くや低い土地での警戒すべき点は
崖や山の斜面の近くの場合
川の近くの場合
低い土地も注意を
山形 平年8月の一か月分の雨量 半日で降るような記録的大雨に
中小河川の氾濫に警戒を
大きな川の氾濫 警戒点
むやみな移動は危険 車移動は危ない
すでに状況が悪化の場合は建物の2階以上に避難を