北朝鮮のキム・ジョンウン(
金正恩)
朝鮮労働党委員長が、
28日まで
中国を
訪問して、習
近平国家主席と
初めての
首脳会談を
行った
背景には、
来月末の
南北首脳会談や
その後の
米朝首脳会談を
控え、
中国を
後ろ盾にした
外交環境を
整えて、みずからに
有利な
条件で
米韓両国との
交渉を
進めたい
思惑が
あると
見られます。
北朝鮮のキム・ジョンウン
朝鮮労働党委員長は、
28日まで
4日間の
日程で
中国を
訪問し、習
近平国家主席と
初めての
首脳会談を
行いました。
中国側の発表によりますと、この中でキム委員長は、「祖父のキム・イルソン(金日成)主席と父親のキム・ジョンイル(金正日)総書記の遺訓に従って、朝鮮半島の非核化の実現に力を尽くすのは、われわれの一貫した立場だ」と述べ、朝鮮半島の非核化に向けた意思を示したということです。
そのうえでキム委員長は「われわれは、南北関係を、和解と協力の関係に転換させることを決心した。アメリカとも対話をして、首脳会談を行いたい」として、来月末の南北首脳会談や、5月までに開かれる見通しの、史上初の米朝首脳会談に意欲を見せるとともに、米韓両国が「わが国の努力に善意で応え、平和の実現のために段階的かつ同時に措置を講じれば、朝鮮半島の非核化の問題は解決することができるだろう」と述べたとされています。
ただ、北朝鮮側の発表では、朝鮮半島の非核化をめぐるやり取りについて、一切、触れておらず、中国側との温度差も見られます。
これまで一度も、首脳会談に臨んだり外国を訪問したりしたことがなかったキム委員長が、南北首脳会談や、その後の米朝首脳会談を控え、電撃的に中朝首脳会談を行った背景には、中国を後ろ盾にした外交環境を整えて、みずからに有利な条件で米韓両国との交渉を進めたい思惑があると見られます。
北朝鮮紙 訪中写真を65枚掲載
28日付けの朝鮮労働党機関紙「労働新聞」も、キム・ジョンウン委員長の中国訪問を大きく伝え、1面から7面にかけて写真を掲載しました。
写真の数は、合わせて65枚に上り、1面には、両国の国旗を背景にキム委員長と習近平国家主席が握手を交わしている写真が載せられているほか、2人が笑顔で写るツーショットの写真も数多くあります。
また、キム委員長と習主席がそれぞれの夫人とともに、4人でお茶を飲んだり、食事が並んだテーブルを囲んで、談笑したりする様子も写されていて、「両国の最高指導者たちは温かい家庭的な雰囲気で言葉を交わし、友情を深めた」と伝え、友好関係を強調しています。
中国「平和と安定のため新たな貢献」
中国外務省の陸慷報道官は28日の記者会見で、習主席の発言を紹介する形で、「われわれは北朝鮮とともに中朝関係の長期的で安定的な発展を推し進めて両国や国民に利益をもたらし、地域の平和と安定のために新たな貢献をしていきたい」と述べて、中国として朝鮮半島の問題に積極的な役割を果たしていく考えを強調しました。
一方で、北朝鮮に対する制裁を緩和するのかという質問に対し、陸報道官は「国連安全保障理事会の常任理事国として中国が国際的な義務を果たす意思を疑う必要はない」と述べて、国連安保理の制裁決議を順守する意向を強調しました。
ロシア「会談を歓迎」
ロシア外務省は28日、声明を発表し、「歓迎する。朝鮮半島情勢をめぐる最近の肯定的な動きを強める重要な一歩だ」と高く評価しました。
そのうえで、「ロシアは今後も中国と緊密に連携し、すべての関係国の直接対話を通じた、平和的かつ、政治・外交的な手段による問題の解決に向けて力を尽くす」として、中国と足並みをそろえ北朝鮮をめぐる問題に対応していく姿勢を強調しました。