マンション修繕しゅうぜん費ひなどの積立つみたて金きん不足ふそくで専門せんもん家か検討けんとう会かい 国土こくど交通こうつう省しょう

マンションの修繕しゅうぜん積立つみたて金きんなど管理かんり計画けいかくのガイドラインの見直みなおしに向むけて、国土こくど交通こうつう省しょうは30日にち、専門せんもん家かによる検討けんとう会かいで議論ぎろんを始はじめました。

国くにの2018年度ねんどの調査ちょうさでは、修繕しゅうぜん計画けいかくに対にたいして積立つみたて金きんが不足ふそくしているマンションの割合わりあいは34.8％と5年間ねんかんで2倍ばい以上いじょうに増ふえているということです。

背景はいけいにあるのが、修繕しゅうぜん費ひの見積みつもりや徴収ちょうしゅう額がくの設定せっていが不十分ふじゅうぶんなことです。

国土こくど交通こうつう省しょうによりますと、積立つみたて金きんの徴収ちょうしゅう額がくは築ちく年数ねんすうなどに応おうじて段階だんかい的てきに引き上ひきあげていく方式ほうしきが最近さいきん多おおく、新築しんちくマンションの修繕しゅうぜん計画けいかくに関にかんする調査ちょうさでは、最終さいしゅう的てきに見込みこまれる徴収ちょうしゅう額がくは初期しょきの徴収ちょうしゅう額がくに比くらべ平均へいきんで3.6倍ばいとなり、中なかには10倍ばいを超こえるケースもあるということです。

資材しざい高騰こうとうで修繕しゅうぜん費ひが上昇じょうしょう 積立つみたて金きん徴収ちょうしゅう額がくの引き上ひきあげで滞納たいのうも

さらに、この数すう年ねんは資材しざいの高騰こうとうで修繕しゅうぜん費ひ自体じたいが上昇じょうしょうし、積立つみたて金きんの不足ふそくに拍車はくしゃがかかっていて、徴収ちょうしゅう額がくを急激きゅうげきに引き上ひきあげて滞納たいのうが相次あいつぐといった事態じたいも報告ほうこくされています。

検討けんとう会かいでは、マンションの適切てきせつな管理かんりに支障ししょうが出でる懸念けねんが高たかまっているとして、修繕しゅうぜん計画けいかくや積立つみたて金きんについて適切てきせつな目安めやすを設もうけることや、徴収ちょうしゅう額がくを当初とうしょから高たかめに設定せっていし同おなじ金額きんがくを徴収ちょうしゅうしていく方式ほうしきを導入どうにゅうすることなどについて今年度こんねんど中ちゅうに議論ぎろんを取とりまとめ、新あらたなガイドラインを示しめしたい考かんがえです。

国交こっこう省しょう2018年度ねんど調査ちょうさ「積立つみたて金きんが不足ふそく」マンション34.8％

国くにが修繕しゅうぜん積立つみたて金きんなどのガイドラインの見直みなおしに着手ちゃくしゅしたのは、積立つみたて金きん不足ふそくが顕著けんちょになっているためです。

国土こくど交通こうつう省しょうが2018年度ねんどに行いった調査ちょうさでは、長期ちょうきの修繕しゅうぜん計画けいかくに対にたいして必要ひつような積立つみたて金きんが「不足ふそくしている」というマンションの割合わりあいは34.8％で、5年ねん前まえ、2013年度ねんどの2倍ばい以上いじょうとなりました。

「不足ふそくしていない」の33.8％を上回うわまわる結果けっかとなっています。

また、「不明ふめい」が31.4％で、築ちく年数ねんすうが長ながいマンションが増ふえる中なか、適切てきせつな管理かんりや修繕しゅうぜんに懸念けねんが生しょうじる結果けっかとなっています。

国土こくど交通こうつう省しょうでは、修繕しゅうぜん費ひの見積みつもりや徴収ちょうしゅう額がくの設定せっていが不十分ふじゅうぶんであるうえに、修繕しゅうぜん費ひの徴収ちょうしゅう・積み立つみたての特有とくゆうの方式ほうしきが背景はいけいにあると見みています。

当初とうしょは低ひくく設定せってい「段階だんかい増額ぞうがく積立つみたて」と一律いちりつ徴収ちょうしゅう「均等きんとう積立つみたて」

積立つみたて金きんは、当初とうしょは低ひくく設定せっていし、段階だんかい的てきに引き上ひきあげていく「段階だんかい増額ぞうがく積立つみたて」と、原則げんそく、計画けいかく当初とうしょの設定せってい額がくで一律いちりつに徴収ちょうしゅうする「均等きんとう積立つみたて」があります。

1980年代ねんだいには均等きんとう積立つみたてのマンションが53.2％と過半数かはんすうを占しめていましたが、2010年ねん以降いこうは均等きんとう積立つみたては23.6％、段階だんかい増額ぞうがく積立つみたてが67.8％と逆転ぎゃくてんしています。

マンションを分譲ぶんじょうする際さいに、当初とうしょの徴収ちょうしゅう額がくを低ひくく抑おさえることで入居にゅうきょ者しゃを増ふやしたい業者ぎょうしゃ側がわの思惑おもわくもあるとみられます。

ただ、そこで問題もんだいとなるのが積立つみたて金きんの徴収ちょうしゅう額がくの引き上ひきあげです。

国土こくど交通こうつう省しょうの2021年度ねんどの調査ちょうさでは、マンションの修繕しゅうぜん積立つみたて金きんの徴収ちょうしゅう額がくは、1戸こ当あたりの平均へいきんで月額げつがく2万まん1420円えんと、10年ねん前まえと比くらべて7000円えん余あまり上昇じょうしょうしています。

また、国土こくど交通こうつう省しょうによりますと、新築しんちくマンションの修繕しゅうぜん計画けいかくに関にかんする調査ちょうさでは、最終さいしゅう的てきに見込みこまれる徴収ちょうしゅう額がくは初期しょきの徴収ちょうしゅう額がくに比くらべ平均へいきんで3.6倍ばいに上昇じょうしょうしていて、中なかには10倍ばいを超こえるマンションもあったということです。

特とくにこの数すう年ねんは、資材しざい価格かかくの上昇じょうしょうで急激きゅうげきに引き上ひきあげたという事例じれいもあり、相次あいつぐ積立つみたて金きんの滞納たいのうにつながっているとみられます。

また、徴収ちょうしゅう額がくを引き上ひきあげる場合ばあいには住民じゅうみんが参加さんかする総会そうかいでの議決ぎけつが必要ひつようとなりますが、負担ふたんが増加ぞうかすることから合意ごうい形成けいせいが難むずかしいこともあります。

国土こくど交通こうつう省しょうは、マンションを分譲ぶんじょうする時点じてんで徴収ちょうしゅう額がくを適切てきせつな水準すいじゅんに設定せっていすることが望のぞましいとしていて、今後こんご、有識者ゆうしきしゃによる検討けんとうが進すすむ見込みこみです。

「修繕しゅうぜん積立つみたて金きん」不足ふそくに直面ちょくめんしたマンションでは

大だい規模きぼ修繕しゅうぜん工事こうじを行おこなう際さいに「修繕しゅうぜん積立つみたて金きん」の不足ふそくに直面ちょくめんしたマンションもあります。

東京とうきょう・足立あだち区くにある28戸こを備そなえた9階かい建だてのマンションでは、築ちく15年ねん目めの去年きょねん、外壁がいへきなどを補修ほしゅうする大だい規模きぼ修繕しゅうぜん工事こうじを実施じっししました。

ただ、マンションの管理かんり組合くみあいによりますと、工事こうじの数すう年ねん前まえの時点じてんでの積立つみたて額がくは2000万まん円えんほどで、工事こうじ費ひとして見積みつもられた4600万まん円えんに対にたいし、2000万まん円えん以上いじょう、不足ふそくしていたということです。

このマンションの「修繕しゅうぜん積立つみたて金きん」は、新築しんちく時じは、ひと月ひとつき当あたり平均へいきん6000円えんほどで、3年ねんごとにおよそ3000円えんずつ引き上ひきあげられる予定よていでしたが、実際じっさいには一いち度ども実施じっしされず据え置すえおかれていたことが原因げんいんの1つでした。

工事こうじにあたっては、「修繕しゅうぜん積立つみたて金きん」をひと月ひとつき当あたり平均へいきんおよそ2万まん円えんと、それ以前いぜんの3倍ばい以上いじょうに変更へんこうしたうえで、金融きんゆう機関きかんから不足ふそく分ぶんを借り入かりいれて対応たいおうしたということです。

管理かんり組合くみあいでは、今後こんごの資金しきん不足ふそくを防ふせぐため、45年ねん先さきまでの修繕しゅうぜん計画けいかくを作り直つくりなおして必要ひつような費用ひようを算出さんしゅつしたうえで、「修繕しゅうぜん積立つみたて金きん」を段階だんかい的てきに値上ねあげする方法ほうほうから同おなじ金額きんがくを払はらい続つづける方法ほうほうに見直みなおしました。

管理かんり組合くみあいでは住民じゅうみんへの説明せつめい会かいを重かさねたほか、共用きょうよう部ぶの照明しょうめいをLEDに変更へんこうしたり、エレベーターの保守ほしゅ点検てんけん会社かいしゃを見直みなおしたりして同様どうように毎月まいつき支払しはらう「管理かんり費ひ」の負担ふたんを抑おさえる方針ほうしんを示しめし、理解りかいを得えたということです。

管理かんり組合くみあい理事りじ長ちょう「このままでは工事こうじできないとぞっとした」

管理かんり組合くみあいの理事りじ長ちょうを務つとめる後藤ごとう謙治けんじさん（45）は「自分じぶんも含ふくめ多おおくの住民じゅうみんが積立つみたて金きんや修繕しゅうぜん工事こうじへの関心かんしんが薄うすかったことが資金しきん不足ふそくの背景はいけいにありました。住民じゅうみんからすぐ集あつめられる金額きんがくではなかったので、このままでは将来しょうらい的てきに工事こうじが実施じっしできないと思おもいぞっとしました。自分じぶんも住民じゅうみんの1人にんなので値上ねあげは避さけたかったですが、マンションに住すみ続つづけ資産しさん価値かちを維持いじしていくためには不可欠ふかけつで、住民じゅうみん間かんで時間じかんをかけて問題もんだい意識いしきを共有きょうゆうしたことで理解りかいを得えられたと思おもっています」と話はなしていました。

「住民じゅうみんがマンションに関心かんしん持もち現状げんじょうを理解りかいすることが大事だいじ」

また、計画けいかく的てきな積み立つみたてを促うながすための目安めやすを国くにが設定せっていすることについて「多おおくのマンションでも積立つみたて金きんの不足ふそくはあると思おもうので見直みなおすきっかけになると思おもいます。ただ、それぞれのマンションで事情じじょうは異ことなるので、まずは住民じゅうみん側がわが自分じぶんのマンションに関心かんしんを持もち現状げんじょうをしっかり理解りかいすることが大事だいじだと思おもいます」と話はなしていました。