また安倍総理大臣は日米の新たな貿易交渉について、「日米がウィンウィンとなる形の早期成果達成に向けて、日米の信頼関係に基づき、議論をさらに加速させることで一致した」と述べました。
ただトランプ大統領が首脳会談で、「おそらく8月によい内容を発表できる」と述べたことについては記者団から質問されたものの言及はしませんでした。
さらに安倍総理大臣は北朝鮮への対応について、「最新の情勢を踏まえ、十分な時間をかけて方針の綿密なすりあわせを行った。日米の立場は完全に一致しており、朝鮮半島の非核化に向けて、日米韓、そして国際社会と協力しながら、米朝プロセスを支援していく」と述べました。
そのうえで北朝鮮が今月、短距離弾道ミサイルを発射したことに関し、「国連安保理決議に違反するもので極めて遺憾だが、同時にトランプ大統領がキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長との間でとってきた新しいアプローチには敬意を表したい」と述べました。
また安倍総理大臣は拉致問題について、「条件を付けずにキム委員長と会い、率直に虚心たん懐に話をしたい。現時点では会談のめどはたっていないが、日朝ピョンヤン宣言に基づき、拉致・核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、国交正常化を目指すという方針に変わりはない」と述べ、こうした考えにトランプ大統領から全面的な支持を得たことを明らかにしました。
そして安倍総理大臣は「自民党総裁としての任期がどうか、1回の会談で解決できるかどうかということに関わりなく、この問題の解決に向けて全力を尽くさなければならない責任を総理大臣として負っている。この責任を果たすために日々全力を傾けていく決意だ」と強調しました。
一方、安倍総理大臣は緊張が高まるイラン情勢について、「中東地域の平和と安定は日本・米国のみならず、国際社会にとって極めて重要であり、日本としての責任を果たし、できることはぜひ行っていきたい。日米で緊密に連携しながら、イラン情勢の緊張状態を緩和し、間違っても武力衝突に至ることがないよう、努力していきたい」と述べ、イラン訪問に意欲を示しました。
官房長官 貿易交渉「具体的時期は聞いていない」
菅官房長官は午後の記者会見で、日米の新たな貿易交渉をめぐって、トランプ大統領が27日の首脳会談で、「おそらく8月によい内容を発表できると思っている」と述べたことについて、「具体的に時期というのは聞いていない」と述べました。
そのうえで、「去年9月の日米共同声明に基づいて茂木経済再生担当大臣とライトハイザー通商代表の間で 精力的に議論が行われており、両首脳は閣僚間の議論をさらに加速させることで一致している。共同声明を大前提に、国益に沿ったウィン・ウィンの合意となるよう、引き続き議論が進められることを期待したい」と述べました。
また菅官房長官は日米首脳会談でアメリカ軍普天間基地の移設計画を含む沖縄の基地問題に関する議論はなかったとしたうえで、「沖縄の基地負担の軽減は安倍政権の最重要課題の一つであり、できることはすべて行うという方針で取り組んでいる。その方針に変わりはない」と述べました。
公明 斉藤幹事長「大変成果のある会談」
公明党の斉藤幹事長は記者団に対し、「拉致問題にアメリカも協力していくことが確認できたのは大きな一歩だ。また経済問題は日米双方にとってウィンウィンの関係を築くような方向で議論を進めることを確認でき、大変成果のある会談だった。令和の時代になって初めての国賓で、信頼関係をより一層固めていく意味で、有意義だったのではないか。日米の安定的な関係を示せたのは国益にとって大きかった」と述べました。
立民 枝野代表「大幅な譲歩としか受け止められない」
立憲民主党の枝野代表は水戸市で記者会見し、「『安倍総理大臣が農業・畜産業の分野で事実上の大幅な譲歩をした』としか受け止められないような発信がトランプ大統領の側から出ている。トランプ大統領が『TPPの水準よりもさらに1次産業で譲歩した』と受け止めているのはほぼ間違いない。それを隠してもらって、選挙を戦うのは許されず、違うならば、安倍総理大臣は明確に国民に説明するべきだ」と述べました。
また北朝鮮をめぐる問題について、「日本と北朝鮮との間で交渉しなければ、前進しないので、米朝協議を進めているアメリカの後押しがあること自体は歓迎したい。しかし、短距離弾道ミサイルについてはアメリカと日本は利害関係を異にしており、今回の発表内容では、評価しようがない」と述べました。
国民 玉木代表「交渉を明らかにする責任がある」
国民民主党の玉木代表は記者団に対し、日米の貿易交渉について、「牛肉の分野などで、どういう話し合いがあったのか、当然、参議院選挙の前に明らかにする責任がある。首脳間で密約的に約束を交わし、『国民に明らかにするのは選挙のあと』というのでは、結果として、国民や国会をだますことになる可能性があり、速やかに予算委員会を開いて、説明を求めたい」と述べました。
また北朝鮮による短距離弾道ミサイルの発射について、「トランプ大統領は『問題ない』と発言したが、短距離弾道ミサイルが届く日本としては看過できない。安全保障の確立という観点からも国会で議論してもらいたい」と述べました。
共産 小池書記局長「トランプ大統領の要求を丸飲みの疑い」
共産党の小池書記局長は記者会見で、「安倍総理大臣は記者から『TPPの線は譲れないという方針は変わらないのか』という質問を受け、答えることが出来なかった。トランプ大統領の要求を丸飲みしたのではないかという疑いが出てきている。『そうではない』と言うのであれば、安倍総理大臣は予算委員会を開いて、きちんと説明をして頂きたい。結局、『選挙が終わるまで、黙っていて下さいね』ということをお願いするために、おもてなしをしたと言われてもしかたがない」と述べました。