【全文ぜんぶん掲載けいさい】愛子あいこさま 日赤にっせきへの就職しゅうしょくを選えらばれた理由りゆうなど回答かいとう

問とい1　卒業そつぎょう後ごの進路しんろとして、進学しんがくなどではなく就職しゅうしょくを選えらばれました。社会しゃかいへ出でることを選択せんたくし、その上うえで日本にっぽん赤十字せきじゅうじ社しゃを選えらばれた理由りゆうとともに、両りょう陛下へいかからそれぞれかけられたお言葉ことばがあればご紹介しょうかいください。日赤にっせきでは、どのような活動かつどうに携たずさわりたいとお考かんがえでしょうか。

私わたしは、天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかや上皇じょうこう上じょう皇后こうごう両りょう陛下へいかを始はじめ、皇室こうしつの皆様みなさまが、国民こくみんに寄り添よりそわれながら御ご公務こうむに取り組とりくんでいらっしゃるお姿すがたをこれまでおそばで拝見はいけんしながら、皇室こうしつの役目やくめの基本きほんは「国民こくみんと苦楽くらくを共ともにしながら務つとめを果はたす」ことであり、それはすなわち「困難こんなんな道みちを歩あゆまれている方々かたがたに心こころを寄よせる」ことでもあると認識にんしきするに至いたりました。

そのような中なかで、ボランティア活動かつどうを始はじめ、福祉ふくし活動かつどう全般ぜんぱんに徐々じょじょに興味きょうみを抱いだくようになりました。特とくにボランティア活動かつどうに関心かんしんを持もつようになったのは、一昨年いっさくねんの成年せいねんを迎むかえての会見かいけんでも述のべましたように、災害さいがいの被災ひさい地ちに赴おもむき、厳きびしい環境かんきょうの中なかでも懸命けんめいに活動かつどうを続つづけるボランティアの方々かたがたの姿すがたをニュースなどで目めにして胸むねを打うたれたことや、中学ちゅうがく・高校こうこう時代じだいからの親したしい友人ゆうじんが、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの復興ふっこう支援しえんにボランティアとして携たずさわってきており、その友人ゆうじんから活動かつどうの様子ようすを聞きいたことなどが大おおきなきっかけとなったように思おもいます。

大学だいがくでは福祉ふくしに関にかんする授業じゅぎょうを履修りしゅうし、福祉ふくし活動かつどうへの関心かんしんが増ます中なかで、公務こうむ以外いがいでも、様々さまざまな困難こんなんを抱かかえている方ほうの力ちからになれる仕事しごとができればと考かんがえるようになり、大学だいがく卒業そつぎょう後ごは社会しゃかいに出でて、福祉ふくし関係かんけいの仕事しごとに就つきたいという思おもいを抱いだくようになりました。

そのような時期じきに、両りょう陛下へいかと御ご一緒いっしょに、日本にっぽん赤十字せきじゅうじ社しゃからの御ご進講しんこうを受うける機会きかいを頂いただき、また、関東かんとう大震災だいしんさいから100年ねんの節目ふしめに日赤にっせき本社ほんしゃにて開催かいさいされた企画きかく展てんを見みに伺うかがうこともできました。展示てんじや説明せつめいを通をとおして、国内外こくないがいの災害さいがい救護きゅうご活動かつどうや人道じんどう危機ききに対にたいする救援きゅうえん活動かつどう、社会しゃかい福祉ふくし事業じぎょうを始はじめ、多種たしゅ多様たような日赤にっせきの活動かつどうについて理解りかいを深ふかめると同時どうじに、同社どうしゃの社会しゃかいにおける役割やくわりの大おおきさを実感じっかんいたしました。そのことから、社会しゃかいに直接ちょくせつ的てきに貢献こうけんできる日赤にっせきの活動かつどうに魅力みりょくを感かんじ、両親りょうしんに相談そうだんいたしましたところ、社会しゃかいのお役やくに立たてるとても良よいお仕事しごとなのではないかと背中せなかを押おしていただき、日赤にっせきでお勤おつとめすることを希望きぼういたしました。有り難ありがたいことに、日赤にっせき側がわにも御ご快諾かいだくいただき、本年ほんねん4月つきより勤務きんむさせていただく運はこびとなりました。

日赤にっせきでは嘱託しょくたく職員しょくいんとして勤務きんむすることになりますが、元々もともと関心かんしんのあったボランティアに関にかんする業務ぎょうむを始はじめ、赤十字せきじゅうじの活動かつどうに幅広はばひろく触ふれ、新あらたなことにも挑戦ちょうせんしつつ、様々さまざまな経験けいけんができれば嬉うれし（うれ）しく思おもいます。

初はじめて取り組とりくむことも多おおいと思おもいますが、職場しょくばの方々かたがたに御ご指導しどうを頂いただきながら、社会しゃかい人じんとしての責任せきにん感かんを持もって、様々さまざまなことを身みに付つけ、なるべく早はやくお役やくに立たてるようになるよう精進しょうじんしたいと考かんがえております。

問とい2　卒業そつぎょう後ごは皇族こうぞくとしての活動かつどうに臨のぞまれる機会きかいも増ふえるかと思おもいます。成年せいねん皇族こうぞくとしてこれまでに、新年しんねん行事ぎょうじや外国がいこく賓客ひんきゃくの接せっ遇ぐうなどに臨のぞまれた感想かんそうや、お仕事しごとと両立りょうりつしながら取り組とりくまれることになる今後こんごの活動かつどうへの抱負ほうふをお聞きかせください。

これまでは学業がくぎょうの状況じょうきょうを見みながら、皇族こうぞくとして幾いくつかの行事ぎょうじに出席しゅっせきさせていただきました。その際さいには、天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかや上皇じょうこう上じょう皇后こうごう両りょう陛下へいかを始はじめ、皇室こうしつの皆様みなさまのなさりようをお手本おてほんとさせていただき、所作しょさなどで分わからない点てんがあれば、事前じぜんに両りょう陛下へいかや他たの皇族こうぞく方かたに伺うかがい、アドバイスを頂いただきながら取り組とりくんでまいりました。

新年しんねん行事ぎょうじや宮中きゅうちゅう午餐ごさん（さん）など、以前いぜんは両親りょうしんから話はなしを伺うかがったり、ニュースで間接かんせつ的てきに拝見はいけんしたりするだけであった行事ぎょうじに自分じぶんが参加さんかしているということに、成年せいねん皇族こうぞくとしての実感じっかんが湧わくと同時どうじに、誠意せいいを持もって臨のぞまなければならないという気持きもちを持もつようになりました。

2月つきには、初はじめて宮中きゅうちゅう午餐ごさん（さん）に出席しゅっせきさせていただきました。外国がいこくの賓客ひんきゃくの方ほうとお食事しょくじの席せきを御ご一緒いっしょすることには、始はじまる前まえは緊張きんちょうもありましたが、お客様おきゃくさまが気きさくに話し掛はなしかけてくださり、和なごやかな雰囲気ふんいきの中なかで、お互おたがいの国くにの気候きこうや食しょく文化ぶんかなどについてお話おはなしできたことが心こころに残のこりました。そして、このような場ばは、相手あいての方ほうの国くにの風土ふうどや文化ぶんかについて理解りかいを深ふかめることができる貴重きちょうな機会きかいであるとともに、日本にっぽんの魅力みりょくを外国がいこくに発信はっしんできる、両国りょうこくにとって意義いぎ深ふかい時間じかんであると身みをもって感かんじました。

また、先日せんじつは、大学だいがく卒業そつぎょうに伴ともなって、神宮じんぐうと神武じんむ天皇てんのう山陵さんりょうを参拝さんぱいいたしました。初はじめての一いち人にんでの地方ちほう訪問ほうもんでしたので、無事ぶじに参拝さんぱいを終おえることができたことに安堵あんど（ど）いたしました。それと同時どうじに、行おこなった先々さきざきで多おおくの方々かたがたに温あたたかく迎むかえていただいたことに感激かんげきし、非常ひじょうに印象深いんしょうぶかい訪問ほうもんとなったことを心こころから有り難ありがたく思おもいました。

今後こんごは、公的こうてきな活動かつどうに出席しゅっせきする機会きかいが今いままでよりも増ふえることになるかと思おもいます。公務こうむと仕事しごとの両立りょうりつには大変たいへんな面めんもあるかもしれませんが、これまで18年間ねんかんという長ながい年月としつきを学習がくしゅう院いんの温あたたかい環境かんきょうで過すごさせていただいたことに感謝かんしゃし、その中なかで得えた学まなびも活いかしつつ、多様たような活動かつどうに携たずさわることができれば有り難ありがたく思おもいます。これからも周囲しゅういの方々かたがたの理解りかいと助たすけを頂いただきながら、それぞれのお務つとめに誠心せいしん誠意せいい取り組とりくんでいきたいと考かんがえております。

問とい3　ご成年せいねんの記者きしゃ会見かいけんではご自身じしんの結婚けっこんについて「まだ先さきのこと」と述のべられていましたが、理想りそうとする時期じきやパートナー像ぞう、結婚けっこん観かんについて現在げんざいのお考かんがえとともに、両りょう陛下へいかからのご助言じょげんがあればお聞きかせください。これまでに心こころを動うごかされる出会であいはありましたか。

成年せいねんの会見かいけんから2年ねんが経過けいかいたしましたが、結婚けっこんへの意識いしきはその頃ころと変かわっておりません。一緒いっしょにいてお互おたがいが笑顔えがおになれるような関係かんけいが理想りそう的てきではないかと考かんがえております。

両親りょうしんから具体ぐたい的てきなアドバイスを頂いただいたことは特とくにございませんが、両親りょうしんのようにお互おたがいを思おもいやれる関係かんけい性せいは素敵すてきだなと感かんじます。

心こころを動うごかされる出会であいというと大袈裟おおげさ（げさ）に聞きこえるかもしれませんが、私わたしにとっては、これまでの出会であい全すべてが心こころを豊ゆたかにしてくれたかけがえのない宝物ほうもつであり、深ふかく感謝かんしゃしております。これからも様々さまざまな出会であいに喜よろこびを感かんじつつ、一ひとつ一ひとつの出会であいを大切たいせつにしていきたいと思おもいます。

問とい4　天皇てんのう陛下へいかのご即位そくいから間まもなく5年ねんとなりますが、安定あんてい的てきな皇位こうい継承けいしょうを巡めぐる議論ぎろんは進すすんでいません。皇族こうぞく数すうが減へり、公務こうむの担い手にないてが先細さきほそることについて、内親王ないしんのうとしてどのように受け止うけとめ、皇室こうしつの将来しょうらいやご自身じしんの役割やくわりをどのようにお考かんがえでしょうか。

公務こうむに携たずさわることのできる皇族こうぞくの数かずは、以前いぜんに比くらべて少すくなくなってきていると承知しょうちしておりますが、制度せいどに関かかわる事柄ことがらにつきましては、私わたしから発言はつげんすることは控ひかえさせていただければと思おもいます。私わたし自身じしんは、そのような中なかで、一ひとつ一ひとつのお務つとめに丁寧ていねいに向き合むきあい、天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかや他たの皇族こうぞく方かたをお助たすけしていくことができればと考かんがえております。