証言したのは、富山県高岡市にある高岡消防署で特別救助隊の隊長を務める辻拓朗さんです。
辻さんたちが救助に向かったのは氷見市北大町の建物で、酒店にもなっている2階建ての住宅は、1階部分がつぶれていました。
到着した辻さんはその時について「すごく危険だと実感し、覚悟を持ちました。救助しなければいけない人が置かれている状況も決して安全ではないので、難しい現場だと感じました」と振り返ります。
救助ではまず、崩れた建物のどこに人がいるかを確かめるため、隊員たちが「ものをたたいたりして、音を出してください」と声がけしました。
そして、崩れた土壁をバールで壊すなどして救出経路を確保しました。
余震が起きるなど危険と隣り合わせの活動でしたが、中にいる住民がたてた音や、照らしていた懐中電灯の光を頼りに中を探し、まず男性1人を発見しました。
男性は斜めに倒壊した建物のわずかなスペースに、そしてその奥には残る男女2人が閉じ込められていたということです。
救出活動の間には、津波の第1波も到達するなど、現場は緊迫した雰囲気だったといいます。
辻さんたちは到着から15分ほどで1人目を救出し、その後も2人を救出しました。
辻さんによると、3人ともほぼ無傷だったということです。
辻さんは「人命が助かったことが何よりよかった」としたうえで、今回の救助について「救助が必要な人が崩れた建物の中のどこにいるかを早く把握できたことがよかった」と振り返ります。
そのうえで、万一、倒壊した建物の中に閉じ込められた場合については「声が出せない場合でも物をたたいて音を出したり、懐中電灯や携帯電話のライトなど、光を照らせるもので居場所を知らせたりしてほしい」と話していました。
辻さんは倒壊した建物から人を救出するのは初めてだったということで、救助の知識をさらに深めるとともに、訓練を重ねて備えたいとしています。