記事後半では▽感染者数の推移や▽「無症状のことが多い」といった専門家の指摘などについても詳しくお伝えしています。
“梅毒の正しい知識を”イベントで注意喚起
25日、東京で開かれたイベントでは助産師で性教育ユーチューバーとして活動するシオリーヌさんと、日本性感染症学会で梅毒対策の責任者を務める愛知医科大学の三鴨廣繁 主任教授が梅毒の検査や予防について話し合いました。
この中で三鴨教授は、全国で報告された感染者数は2013年と2023年を比べると、男性は10倍、女性は23倍に急増したと紹介し、三鴨教授が「梅毒は身近な病気になった。自分には関係ないと思うのはやめにしよう」と呼びかけました。
そして、梅毒に感染すると
▽発疹やかさつきといった症状が出るもののすぐに消えることや
▽何度でも感染するといった特徴を説明しました。
また、シオリーヌさんは「性感染症の検査は自分の体について考える機会になると同時にパートナーのことを思いやる愛情表現でもある」と話し、感染予防のためにコンドームを使うことや、リスクの高い性行為をした場合は検査を受けてほしいと訴えました。
中学生の娘と参加していた40代の女性は「恥ずかしがらずに、当たり前の知識と捉えることが大切だと感じました」と話していました。
トークイベントの様子は後日、ウェブでも配信されるということです。
◇ここ10年余りで感染者数が急増
性感染症の梅毒の感染者数は、ここ10年余りで急激に増加しています。国立感染症研究所のまとめによりますと、全国から報告された梅毒の感染者数は、去年、2023年の1年間で速報値で1万4906人でした。
おととし(2022年)より1940人多く、現在の方法で統計を取り始めてから、3年連続で過去最多を更新しました。
12年前には875人と1000人に満たない数でしたが、それ以降、急増しています。
国立感染症研究所によりますと、男性では性風俗産業を利用したことのある人がおよそ4割、女性では性風俗産業に従事したことのある人がおよそ4割を占めていますが、
また、東京や大阪といったあります。
性感染症に詳しい日本大学の川名敬 主任教授はと指摘しています。
◇“感染から1年以内 無症状なことも”
梅毒は、感染から1年以内の「早期梅毒」と呼ばれる時期は、原因となる細菌が入り込んだ場所を中心に、3ミリから3センチほどの腫れやしこりが現れることが多いとされます。その後、手や足など全身の赤い発疹、発熱やけん怠感など、さまざまな症状が出ることがあります。
しかし、と専門家は指摘しています。
また、があります。
梅毒に詳しい古林敬一医師によりますと、性感染症の症状のない女性を妊娠前に検査をしたところ、思いがけず梅毒が陽性となったケースもあったということで、古林医師は話しています。
梅毒の症状は、治療をせずに消えたり、薬を飲んでいる途中で消えたりすることもありますが、これは治ったわけではありません。治療をしなければ梅毒はそのまま進行していきます。
感染から1年以上たった「後期梅毒」と呼ばれる時期には、全身で炎症が起こり、骨や臓器に「ゴム腫」と呼ばれるゴムのような腫瘍ができることがあるほか、治療薬が普及していない時代は、大きなできものができたり鼻が欠けたりすることがありました。
さらに進行すると、脳や心臓、血管に症状が現れ、まひが起きたり、動脈りゅうの症状が出たりすることがあります。
古林医師はと話しています。
◇複数回感染することも
感染症の中には、一度感染すると免疫がついて、その後は感染しなかったり、感染しにくくなるとされる病気もありますが、専門家は、梅毒は、複数回感染することがあると指摘しています。
梅毒に詳しい「プライベートケアクリニック東京」の尾上泰彦 院長はと話しています。
治療を終えたからと言って、その後、性感染症への対策をしなくてよいわけではありません。
◇自分 パートナー 子どもを守るために
感染すると、自分自身に深刻な症状が出るおそれがあるだけでなく、パートナーを感染させるおそれがあるほか、妊婦に感染した場合、おなかの子どもに母子感染して「先天梅毒」になる可能性もあります。
先天梅毒として報告された子どもの数は、去年、速報値で37人と、今の方法で統計を取り始めてから最も多くなりました。
日本大学の川名主任教授はと話しています。