自民党は、岸田総理大臣が党総裁としてみずからが衆議院政治倫理審査会に出席する意向だと立憲民主党に伝えました。
出席することになれば、現職の総理大臣としては初めてになります。
今回の問題を受けて与野党は、自民党安倍派と二階派の事務総長を務めた5人からの申し出を受けて、衆議院政治倫理審査会を開く方向で協議を続けてきましたが、公開のあり方などをめぐって自民党内の調整がつかず、今後のメドは立っていません。
こうした中、岸田総理大臣は28日午前、総理大臣官邸で記者団の取材に応じ「審査会の開催に向けては、公開で行うのか非公開で行うのかという点で折り合いがついておらず、与野党の駆け引きの中で開催の見通しが立たないことは極めて残念なことだ」と述べました。
その上で「こういった状況のままでは、政治に対する不信がますます深刻になってしまうと強い危機感を感じており、私自身、自民党総裁として政倫審にみずから出席し、マスコミオープンのもとで説明責任を果たしていきたい」と明らかにしました。
そして「政治の信頼回復に向けてぜひ、志のある議員に審査会をはじめ、あらゆる場で説明責任を果たしてもらうことを期待している」と述べました。
こうした中、自民党の浜田国会対策委員長と立憲民主党の安住国会対策委員長が国会内で会談し、浜田氏は岸田総理大臣がみずから審査会に出席する意向だと伝えました。
これに対し安住氏は拒むものではないとした上で、岸田総理大臣が政治倫理審査会での審査を求めて行う申し出の内容などを踏まえながらほかの野党と対応を協議する考えを示しました。
岸田総理大臣が政治倫理審査会に出席することになれば、現職の総理大臣としては初めてになります。
岸田総理大臣としては、審査会の開催のメドが立たない中、率先して説明責任を尽くす姿勢を示すことで局面を打開し、国民の不信の払拭につなげたい考えです。
野党 岸田首相出席の審査会の開催 応じること確認
岸田総理大臣が衆議院政治倫理審査会に出席する意向を示したことを受けて、野党4党の国会対策委員長が会談し、岸田総理大臣が出席しての審査会の開催に応じることを確認しました。
林官房長官「適切に説明責任を果たすことが重要」
林官房長官は、午前の記者会見で「政治倫理審査会の開催のあり方は国会で決めてもらうものだ。岸田総理大臣は自民党総裁として浜田国会対策委員長に手続きを進めるように指示を出したと承知しており、今後調整が行われると考えている」と述べました。
その上で、審査を申し出ているほかの5人の対応については「それぞれの政治家が必要に応じて適切に説明責任を果たすことが重要だ」と述べました。
自民 御法川国会対委員長代理「準備している」
自民党の御法川国会対策委員長代理は記者団に対し「けさ9時ごろ、岸田総理大臣から浜田国会対策委員長に電話があり、政治倫理審査会に出席する意向が伝えられた。政治とカネの問題が大きな政治課題になっている中で、自分が党のトップとしてしっかりとやっていく必要があると感じたのではないか。審査会をできるだけ早く開催してほしいということだと思うので準備をしている」と述べました。
一方、すでに申し出ている5人の審査会ついては「どこかで開催することはもう決まっている話なので、それはそれとしてしっかりやっていく」と述べました。
立民 安住国対委員長「総理みずからが範を示したか」
立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に対し「岸田総理大臣の出席を聞いて一瞬驚いた。拒むものではないが、この事案が審査会を開く理由になるのか判断したい。昼に緊急に野党各党で集まり、対応を検討したい」と述べました。
一方、安倍派と二階派の5人の政治倫理審査会への出席について「5人は申し出をしており、形はどうであれ、出てこなければルール違反だ。5人がなかなか出席を了解せず、総理みずからが範を示したいということで審査会を使おうと思った可能性はある。こう着した事態を打開したいということで『捨て石』と言ったら怒られるが、みずからやるということだろう。ただ、5人の気持ちを変えることができるのかわからない」と指摘しました。
【解説動画】岸田首相“みずから出席 報道に公開”ねらいは