芥川あくたがわ賞しょう 市川いちかわ沙いさご央ひさしさんに単独たんどくインタビュー 受賞じゅしょう決定けってい作さくへの思おもいは

・「（記者きしゃ会見かいけんを中継ちゅうけいする動画どうがサイトを）いつも見みています。きょうも本当ほんとうは実名じつめいで書き込かきこみながら何なにて言いおうかと思おもっていました」

記者きしゃ会見かいけんではユーモアあふれる発言はつげんも印象いんしょう的てきだった市川いちかわさん。神奈川かながわ県けん在住ざいじゅうで、10歳さいのころ難病なんびょうの一ひとつ、筋すじ疾患しっかんの「先天せんてん性せいミオパチー」と診断しんだんされました。14歳さいから人工じんこう呼吸こきゅう器きを使つかい始はじめ、移動いどうには電動でんどう車くるまいすを使用しようし、タブレット端末たんまつを使つかって執筆しっぴつしています。

「健常けんじょう性せいを満みたすことを要求ようきゅうする読書どくしょ文化ぶんかのマチズモを憎にくんでいた」（ハンチバックより）

「ハンチバック」では、背骨せぼねが曲まがり医療いりょう機器ききに頼たよらざるをえない主人公しゅじんこうが、健常けんじょう者しゃの暮くらしに向むけた辛辣しんらつ(しんらつ)な皮肉ひにくなどをユーモラスに表現ひょうげんしています。

芥川あくたがわ賞しょうと直木なおき賞しょうの選考せんこう結果けっかは、午後ごご6時じから6時半じはんごろに発表はっぴょうされることが多おおいのですが、今回こんかいは午後ごご5時じ45分ふんごろでした。それだけ高たかい評価ひょうかを受うけての受賞じゅしょうだったことがうかがえます。

そして市川いちかわさんが強つよく訴うったえるのが、読書どくしょ環境かんきょうの整備せいびがまだまだ進すすんでいないということでした。

作品さくひんの中なかにも盛り込もりこまれていますが、活字かつじを読よんだり、本ほんを持もってページをめくったり、書店しょてんに買かいに行いったりするなど、障害しょうがいがある人ひとたちにとって、読書どくしょへのハードルはいまだ高たかい現状げんじょうがあるといいます。書籍しょせきの電子でんし化かなど「読書どくしょバリアフリー」に向むけた取り組とりくみを進すすめてほしいと指摘してきします。

このほかにも芥川あくたがわ賞しょうの長ながい歴史れきしの中なかで、重おもい障害しょうがいのある当事者とうじしゃの作家さっかがいなかったのではないかなど、市川いちかわさんのことばに触ふれ、ハッとさせられたことが多おおかったと感かんじます。

今後こんごの作品さくひんに注目ちゅうもくするとともに、誰だれもが読よみたい本ほんを読よめる環境かんきょうをどのように作つくっていけばよいのか、いま一いち度ど考かんがえていきたいと思おもいます。