ギリシャで行方不明者続出ゆくえふめいしゃぞくしゅつ、酷暑こくしょが脳のうに影響えいきょうか

気温きおんが４０度どを超こえるギリシャで観光客かんこうきゃくの死亡しぼうや行方不明ゆくえふめいが相次あいついでいる。英国えいこくのテレビで活躍かつやくしたマイケル・モズリーさんも猛暑もうしょの中散歩ちゅうさんぽに出でかけ、遺体いたいで発見はっけんされた。

サモス島とうでは１５日にち、オランダ人観光客じんかんこうきゃくが死亡しぼうしているのが見みつかった。翌日よくじつにはコルフ島西側とうにしがわのマトラキ島とうで米国人観光客べいこくじんかんこうきゃくの遺体いたいを発見はっけん。別べつの米国人観光客べいこくじんかんこうきゃくも１１日にちにアモルゴス島とうで行方不明ゆくえふめいとなっている。シキノス島とうではフランス人女性じんじょせい２人ふたりが散歩さんぽに出でかけた後消息あとしょうそくを絶たった。

当局とうきょくは正確せいかくな死因しいんの特定とくていには遺体いたいの検査けんさが必要ひつようだとしながらも、行方不明ゆくえふめいになった人ひとたち全員ぜんいんが高温こうおんの中なかハイキングに出でかけていたという共通点きょうつうてんがあることを挙あげ、熱暑ねっしょの影響えいきょうを軽視けいししないよう警告けいこくしている。

一部いちぶの科学者かがくしゃは極度きょくどの暑あつさが身体しんたい、特とくに脳のうに与あたえ、混乱こんらんを引ひき起おこし、人ひとびと々の意思決定能力いしけっていのうりょく、さらにはリスク認識にんしきに影響えいきょうを与あたえる可能性かのうせいがあると警告けいこくしている。

体温たいおんは脳のうで調節ちょうせつされている。視床下部ししょうかぶは小ちいさなダイヤモンド型がたをした構造こうぞうで、体温たいおんを３７度付近どふきんに保たもつよう自動じどうで調節ちょうせつする。暑あつくなると視床下部ししょうかぶは汗腺かんせんを活性化かっせいかし、血管けっかんを広ひろげて体からだを冷ひやす。

脳のうは狭せまい温度範囲内おんどはんいないでうまく機能きのうするが、小ちいさな変化へんかでも影響えいきょうを受うける。多おおくの人ひとは暑あつい夏なつの日ひに動うごきが緩慢かんまんになり、怠惰たいだになった経験けいけんがあるはずだ。

サウス・ウェールズ大学だいがくのダミアン・ベイリー教授きょうじゅは、気温きおんが上昇じょうしょうすると体内たいないの水分すいぶんが減少げんしょうし、脳のうへの血流ちりゅうが減少げんしょうするなど深刻しんこくな影響えいきょうが出でる可能性かのうせいがあると話はなす。脳のうが機能きのうするには膨大ぼうだいな資源しげんが必要ひつようだという。

ベイリー氏しが行おこなった実験じっけんでは、温度おんどを２１度どから４０度どまで上あげたところ、脳のうへの血流ちりゅうが約やく９～１０％低下ていかした。同氏どうしは常時じょうじフル稼働かどうしているエンジンに十分じゅうぶんな燃料ねんりょうが供給きょうきゅうされないようなもので、大おおきな問題もんだいだと説明せつめいした。

ワシントン州立大学しゅうりつだいがくのキム・マイデンバウアー氏しは、極度きょくどの暑あつさは脳のうの通常つうじょうの活動かつどうを妨さたまげる可能性かのうせいがあると話はなす。人ひとびと々が明確めいかくに思考しこう、推論すいろん、記憶きおくし、考かんがえを構築こうちくして系統立けいとうりつてて説明せつめいできるようにしている脳のうのネットワークの「調子ちょうしが悪わるくなる」可能性かのうせいがあるという。

例たとえば、ハイキングでどの道みちを選えらぶかといった複雑ふくざつな決定けっていを下くだすことが難むずかしくなる。こうした意思決定いしけっていは単純たんじゅんに聞きこえるが、複数ふくすうの異ことなる要因よういんを比較検討ひかくけんとうする必要ひつようがあるのだ。

マイデンバウアー氏しは、人ひとびと々は高温こうおんにさらされると、リスクを伴ともなう判断はんだんを下くだしたり、衝動的しょうどうてきな行動こうどうを取とったりする可能性かのうせいが高たかくなることを示唆しさする証拠しょうこもあると語かたった。