この期間に国から支給された給与は、数百万円にのぼるということで、特捜部は、秘書給与をめぐる不透明な資金の流れの実態解明を進めるものとみられます。
捜索を受けているのは、東京 千代田区にある参議院議員会館の広瀬議員の事務所と、盛岡市にある地元事務所、それに、東京 文京区にある自宅です。
このうち、議員会館の事務所には、午前10時すぎに東京地検特捜部の係官数人が入りました。
自民党所属で参議院岩手県選挙区選出の広瀬めぐみ議員(58)は、おととしから去年にかけて、公設第二秘書として公設第一秘書の妻を届け出ていましたが、関係者によりますと、公設秘書としての勤務実態はなく、広瀬議員らはこの間に国から支給された給与数百万円をだまし取っていた疑いがあるということです。
特捜部は、すでに事務所関係者などから任意で事情を聴いていて、捜索で押収した資料を分析するとともに、今後、広瀬議員本人からも事情を聴くなどして、秘書給与をめぐる不透明な資金の流れの実態解明を進めるものとみられます。
広瀬議員は、特捜部の捜索が始まったあと、参議院議員会館で報道陣の取材に応じ、「まだ事情が分かっていないので、しっかり事情が分かったうえで対応させていただきます」と述べました。
広瀬議員は、ことし3月に秘書給与をめぐる疑惑について週刊誌で報じられた際、みずからの公式ホームページで「公設第二秘書は、平日は主としてリモートワークで、土日は盛岡の事務所で働くなどしていた。目に留まりにくい活動が中心とはいえ、しっかり勤務実態があったことに間違いない」などと反論していました。
広瀬めぐみ参議院議員とは
自民党の広瀬めぐみ参議院議員は、盛岡市出身の58歳。
1999年に司法試験に合格して、2001年に弁護士登録したあと、2008年に都内に弁護士事務所を開いて、離婚や相続などの家事事件を主に担当していました。
そして、おととしの参議院選挙で、岩手県選挙区から自民党公認で立候補し、女性や子どもの権利に関する問題に取り組んできた経験をPRして、初めての当選を果たしました。
その後、自民党岩手県連の副会長を務めていましたが、週刊誌に外国人男性と不倫関係にあることや公設秘書の給与をめぐる疑惑を報じられ、不倫関係を認めて謝罪したうえで、副会長を辞任していました。
ことし3月 週刊誌報道に公式ホームページで反論
広瀬議員は、秘書給与をめぐる疑惑について週刊誌で報じられたことし3月、みずからの公式ホームページに「記事内容は事実無根であり、公設第二秘書は、しっかりとした勤務実態をもって働いていた」などとする反論のコメントを掲載していました。
この中で広瀬議員は、「令和4年12月から同5年8月まで公設第二秘書として働いて下さり、平日は主として遠野市に在住してリモートワークで支援者の方々のリスト作成・更新作業や祝文作成などをし、土日は盛岡に在住して、上記のような作業のほか、盛岡事務所で事務作業をしたり、私の駅などへの送迎をしてもらったりしました」と説明していました。
さらに、公設第一秘書である夫と連携して任務を行っていたとしたうえで、「公設第一秘書が多忙を極め、私の活動に随行できない時には、平日に随行してもらったこともあります。目に留まりにくい活動が中心とはいえ、公設第二秘書としてしっかり勤務実態があったことに間違いありません」と主張していました。
そのうえで、外部での活動の例として、宮古市内を挨拶回りした際に県議会議員事務所に随行したり、集会に参加する際の送迎をしてもらったりしたことを挙げ、「平日においてもリモートワークのみならず、広い岩手県を駆け巡る私を多彩な形で支える活動をしていただきました」と記していました。
林官房長官「コメントすることは差し控える」
林官房長官は午前の記者会見で「報道は承知しているが、捜査機関の活動内容に関わることであり、政府としてコメントすることは差し控える」と述べました。
自民党岩手県連会長 「本人からしっかり事情説明を」
広瀬議員が東京地検特捜部の強制捜査を受けたことについて、自民党岩手県連の会長を務める藤原崇 衆議院議員は「報道で知り、驚いている。本人からしっかり事情を説明してほしい」と話していました。
また、別の自民党の県議会議員は「この件については以前本人から事情を聴いたが、疑惑を否定していた。われわれもそれを信じて信頼回復を図るべくサポートし、きのうも広瀬議員とともに県内の支持者を回っておわびしたばかりなのに、がっかりだ。こうなった以上、捜査の結果を見守るしかない」と話していました。