男性だんせいの育児いくじ休業きゅうぎょう取得しゅとく率りつ 過去かこ最大さいだいの約やく17％も目標もくひょうには大おおきな開ひらき

過去かこ最高さいこうの17％も2025年ねんの目標もくひょうは50％

この調査ちょうさは厚生こうせい労働ろうどう省しょうが毎年まいとし行おこなっているもので、去年きょねん10月つきに全国ぜんこくの3300余あまりの事業じぎょう所しょから回答かいとうを得えました。

それによりますと男性だんせいの育休いくきゅうの取得しゅとく率りつは17.13％で、前まえの年としに比くらべて3.16ポイント増ふえ、過去かこ最高さいこうとなりました。

女性じょせいの取得しゅとく率りつは80.2％と4.9ポイント低下ていかしました。

企業きぎょうなどの男性だんせいの育休いくきゅう取得しゅとく率りつは今いまの方法ほうほうで記録きろくを取とり始はじめた1996年度ねんどには0.12％でしたが、その後そのご、上昇じょうしょう傾向けいこうが続つづき、2017年度ねんどには5％を超こえました。

2019年度ねんどから2020年度ねんどにかけては7.48％から12.65％へと5ポイント余あまり増ふえて過去かこ最大さいだいの伸のび幅はばとなりました。

昨年度さくねんどは17.13％と前まえの年としのの13.97％に比くらべて3.16ポイント増ふえ、過去かこ最高さいこうとなっています。

ただ、政府せいふは男性だんせいの育休いくきゅう取得しゅとく率りつの目標もくひょうを2025年ねんまでに50％、2030年ねんまでには85％に引き上ひきあげるとしていて、まだ、目標もくひょうまでは大おおきな開ひらきがある結果けっかとなりました。

取得しゅとく率りつ「金融きんゆう業ぎょう・保険ほけん業ぎょう」が最高さいこう 「卸売おろしうり業ぎょう・小売こうり業ぎょう」が最低さいてい

男性だんせいの取得しゅとく率りつを産業さんぎょう別べつに見みると「金融きんゆう業ぎょう・保険ほけん業ぎょう」が最もっとも高たかく37.28％、次ついで「医療いりょう・福祉ふくし」は25.99％、「生活せいかつ関連かんれんサービス・娯楽ごらく業ぎょう」は25.53％となりました。

取得しゅとく率りつが最もっとも低ひくかったのは「卸売おろしうり業ぎょう・小売こうり業ぎょう」で8.42％、次ついで、「宿泊しゅくはく業ぎょう・飲食いんしょくサービス業ぎょう」で9.06％となりました。

企業きぎょう規模きぼ大おおきいほど取得しゅとく率りつ高たかい傾向けいこう

また、今年度こんねんどから年とし1回かいの公表こうひょうが義務ぎむづけられた従業じゅうぎょう員いん1000人にんを超こえる企業きぎょうなどのうち、調査ちょうさに答こたえた1400社しゃ余あまりの取得しゅとく率りつは46.2％となり、企業きぎょうの規模きぼが大おおきいほど取得しゅとく率りつが高たかい傾向けいこうがあることがわかりました。

対象たいしょうの企業きぎょうの男性だんせいの育休いくきゅう取得しゅとく日数にっすうの平均へいきんは46.5日にちでした。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは「男性だんせいの育休いくきゅう取得しゅとくの機運きうんは一定いってい程度ていど、醸成じょうせいされてきたが、女性じょせいに比くらべると低ひくい水準すいじゅんだ。あらゆる政策せいさくを動員どういんして、男性だんせいが希望きぼうどおり育休いくきゅうを取得しゅとくできるよう進すすめ、男女だんじょともに仕事しごとと育児いくじを両立りょうりつできる環境かんきょうづくりを進すすめていきたい」としています。

男性だんせい従業じゅうぎょう員いん147人にん中ちゅう122人にんが育休いくきゅう取得しゅとくの企業きぎょうも

東京とうきょう・品川しながわ区くのITサービス会社かいしゃでは、男性だんせい従業じゅうぎょう員いんの育休いくきゅう取得しゅとく率りつが80％台だいにまで上昇じょうしょうしたということです。

この会社かいしゃでは2018年度ねんどに実施じっししたアンケート調査ちょうさで男性だんせい従業じゅうぎょう員いんの80％以上いじょうが「育休いくきゅうを取得しゅとくしたい」と回答かいとうしたものの、このうちのおよそ70％が「実際じっさいに取得しゅとくする自信じしんはない」と回答かいとうしていたということです。

このため、取得しゅとく率りつ100％を目指めざすと社長しゃちょうが宣言せんげんしたうえで、対象たいしょうとなる従業じゅうぎょう員いんや上司じょうしに対にたいして、個別こべつに育休いくきゅうの取得しゅとくをすすめるほか、不安ふあんを解消かいしょうするためのセミナーを開催かいさいするなどして、サポートを強化きょうかしたということです。

この結果けっか、昨年度さくねんどに子こどもが生うまれた男性だんせい従業じゅうぎょう員いんの147人にんのうち83％にあたる122人にんが育児いくじ休業きゅうぎょうを取得しゅとくしたということです。

また、男性だんせいの育休いくきゅうの平均へいきん取得しゅとく日数にっすうも2020年度ねんどは17日にちでしたが、昨年度さくねんどは37日にちだったということです。

ことし、1か月かげつの育休いくきゅうを取得しゅとくした松本まつもと直ただしさんは「社長しゃちょうが宣言せんげんをしたことで、みんなが育休いくきゅうを取とるものなのだと感かんじられて後押あとおしされました。会社かいしゃのことが好すきになったきっかけにもなりました」と話はなしていました。

日立ひたちシステムズの人事じんじ総務そうむ本部ほんぶダイバーシティ＆エンゲージメント推進すいしん室しつの藤澤ふじさわ国彦くにひこ部長ぶちょう代理だいりは「育休いくきゅうを取とる社員しゃいんの仕事しごとをみんなでシェアして替かえが効きくようにしていくことが大切たいせつで、育休いくきゅうをとることに後うしろめたさを感かんじないよう引き続ひきつづき従業じゅうぎょう員いんのサポートをしていきたい」と話はなしていました。

男性だんせいの育休いくきゅうを後押あとおしするために

政府せいふは少子しょうし化か対策たいさくとして男性だんせい、女性じょせいとも仕事しごとと家事かじ育児いくじを行おこなう「共働ともばたらき・共きょう育そだて」を定着ていちゃくさせるために、男性だんせいの育休いくきゅう取得しゅとくを後押あとおしする政策せいさくを強化きょうかしています。

去年きょねん10月つきには「産後さんごパパ育休いくきゅう」制度せいどが創設そうせつされて、男性だんせいは子こどもが産うまれたあと8週間しゅうかん以内いないに4週間しゅうかんまで休やすみを取得しゅとくすることができ、2回かいに分わけて取とることも可能かのうになりました。

給付きゅうふの面めんでは両親りょうしんともに育休いくきゅうが取得しゅとくできるよう、現在げんざい67％となっている育児いくじ休業きゅうぎょう給付きゅうふの給付きゅうふ率りつを2025年度ねんどから8割わり程度ていどに引き上ひきあげ、手取てどり収入しゅうにゅうが変かわらないようにするとしています。

給付きゅうふ率りつの引き上ひきあげは両親りょうしんともに出産しゅっさん後ごの一定いってい期間きかん、育休いくきゅうを取得しゅとくした場合ばあいで、最長さいちょう4週間しゅうかんを限度げんどとして検討けんとうが進すすめられることになっています。

また、中小ちゅうしょう企業きぎょうが育休いくきゅう取得しゅとくの体制たいせいを整備せいびする際さいや業務ぎょうむを代替だいたいする社員しゃいんに応援おうえん手当てあてなどを支給しきゅうする場合ばあいの助成じょせいの拡充かくじゅうなどを検討けんとうするとしています。

現在げんざい、従業じゅうぎょう員数いんずうが1000人にんを超こえる企業きぎょうに義務ぎむづけられている、男性だんせいの育児いくじ休業きゅうぎょうの取得しゅとく率りつの公表こうひょうを従業じゅうぎょう員数いんずうが300人にんを超こえる企業きぎょうまで拡大かくだいする方向ほうこうで検討けんとうが進すすめられています。

育休いくきゅうを取得しゅとくしない理由りゆうは

厚生こうせい労働ろうどう省しょうがことし3月つきに公表こうひょうした調査ちょうさでは男性だんせいの正せい社員しゃいんが育休いくきゅうを取得しゅとくしない理由りゆうを複数ふくすう回答かいとうで聞きいたところ、最もっとも多おおかったのは、「収入しゅうにゅうを減へらしたくなかったから」で39.9％でした。

「職場しょくばが育休いくきゅうを取得しゅとくしづらい雰囲気ふんいきだった」または「会社かいしゃや上司じょうし、職場しょくばの育児いくじ休業きゅうぎょう取得しゅとくへの理解りかいがなかったから」が22.5％、「自分じぶんにしかできない仕事しごとや担当たんとうしている仕事しごとがある」が22％、「残業ざんぎょうが多おおいなど業務ぎょうむが繁忙はんぼうであった」が21.9％などとなっています。

男性だんせいが育休いくきゅうを取得しゅとくしても短期間たんきかんにとどまり、家事かじや育児いくじに十分じゅうぶんな時間じかんをさけない、いわゆる「とるだけ育休いくきゅう」も懸念けねんされるとしています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうが行おこなった2021年度ねんどの調査ちょうさでは育児いくじ休業きゅうぎょうは女性じょせいのうち95％が6か月かげつ以上いじょう取得しゅとくしていたのに対にたいし、男性だんせいは「5日にち未満みまん」が25％、「5日にち以上いじょう2週間しゅうかん未満みまん」が26.5％で2週間しゅうかん未満みまんの取得しゅとくが半数はんすう余あまりを占しめました。

“人ひと繰くりに余裕よゆうない” 中小ちゅうしょう企業きぎょうの実情じつじょうは

中小ちゅうしょう企業きぎょうからは大だい企業きぎょうほど人ひと繰くりに余裕よゆうがないため、長期ちょうき間かんの育休いくきゅうは取得しゅとくしづらいのが実情じつじょうだとする意見いけんが聞きかれました。

日本にっぽん商工しょうこう会議かいぎ所しょなどが去年きょねん全国ぜんこくの中小ちゅうしょう企業きぎょうおよそ6000社しゃを対象たいしょうに行おこなった調査ちょうさでは、「育休いくきゅうを取とる人ひとの代かわりがいない」と回答かいとうした企業きぎょうが52.4％と半数はんすうを超こえました。

また「採用さいよう難なんや資金しきん難なんで育休いくきゅう時じの代かわりの要員よういんを外部がいぶから確保かくほできない」が35.7％、「男性だんせい社員しゃいん自身じしんが取得しゅとくを望のぞまない」は28.8％にのぼりました。

東京とうきょう・墨田すみだ区くにある金属きんぞく加工かこう会社かいしゃでは、金属きんぞくプレスやレーザー加工かこう、3Dプリンターなどさまざまな機器ききがあり、およそ50人にんいる従業じゅうぎょう員いんにはプログラミングや溶接ようせつなど専門せんもん性せいの高たかい業務ぎょうむが割り当わりあてられています。

ことし1月つきに子こどもが生うまれたという37歳さいの男性だんせい社員しゃいんは、当初とうしょは2か月かげつほどの育休いくきゅうを取とりたいと考かんがえていたものの、実際じっさいに取得しゅとくできたのは有給ゆうきゅう休暇きゅうかで13日にち、育休いくきゅうとしては1日にちにとどまったということです。

男性だんせい社員しゃいんは「出産しゅっさんを終おえた妻つまのサポートや子育こそだてのためにももう少もうすこし休暇きゅうかがほしかったが、仕事しごとのポジション上じょう、ずっと不在ふざいにはできないのでしかたがありません」と話はなしていました。

浜野はまの製作せいさく所しょの浜野はまの慶一けいいち社長しゃちょうは「会社かいしゃでも仕事しごとが属人ぞくじん化かしないようにジョブローテーションや配置はいち換かえなどを行おこなっているが、もともとの人数にんずうも少すくなく人ひと繰くりに余裕よゆうがないため、長期ちょうき間かん、休暇きゅうかを与あたえることは難むずかしい。こうした中小ちゅうしょう企業きぎょうは少すくなくないのではないか」と話はなしていました。

識者しきしゃ「当事者とうじしゃの支援しえんや保護ほごだけでなく働はたらき方かたの構造こうぞう改革かいかくを」

男性だんせいの育児いくじ休業きゅうぎょうの取得しゅとく率りつが公表こうひょうされたことを受うけて、厚生こうせい労働ろうどう省しょうの委託いたく事業じぎょう「イクメンプロジェクト」のメンバーが記者きしゃ会見かいけんを開ひらきました。

プロジェクトの委員いいんの1人にんで労働ろうどう環境かんきょうのコンサルティングにあたるワーク・ライフバランスの社長しゃちょう、小室こむろ淑恵よしえさんは「男性だんせいの家事かじ育児いくじの時間じかんが長ながくなるほど出生しゅっしょうが伸のびていて、少子しょうし化かが深刻しんこくな日本にっぽん社会しゃかいはさらに力強ちからづよく男性だんせい育休いくきゅう推進すいしんを進すすめるべきだ。同僚どうりょうや上司じょうしが普段ふだんから長時間ちょうじかん労働ろうどうで休やすめていないような中なかでは男性だんせい育休いくきゅうの取得しゅとく日数にっすうは短みじかくなったり取得しゅとくを言い出いいだせなくなったりする。育児いくじ当事とうじ者しゃに対にたいする支援しえんや保護ほごを増ふやすだけでなく働はたらき方かたの構造こうぞうを改革かいかくすることが重要じゅうようだ」と話はなしていました。