この中では、これまで40年以上にわたって版画の修復に携わってきたことや、さまざまな画廊とつきあいがあったことなどを説明したうえで、8年余り前に加藤容疑者から依頼を受け偽物の版画を制作していたことを認めました。
一方、版画が百貨店などで流通していたことについては「結果的に加担したことは悪いと思っているが、何に使うかは一切関知しておらず、このような形で流通するとは知らなかった」と話していました。
原画をもとに職人が制作する版画は通常、画家本人や遺族の許可を得たうえで数を制限して販売しています。 しかし、去年の春ごろ、特定の版画が百貨店などで多く流通していることに組合員が気付いて調査したところ、色合いなどがわずかに異なる偽物が含まれていたことが分かったということです。 偽物の版画は当時、確認できただけで平山郁夫、東山魁夷、それに片岡球子の合わせて10作品ありました。作品名は以下のとおりです。 <平山郁夫> ・月光ブルーモスク イスタンブール ・流沙朝陽 <東山魁夷> ・秋映 ・草青む ・風吹く浜 <片岡球子> ・富士 ・河口湖の赤富士 ・うららかな富士 ・「冬」版画集「富士四題」より ・桜咲く富士 さらに流通ルートを調べた結果、大阪市で画廊を営んでいた加藤容疑者が関わっていることが分かり、調査に対し数年前から販売していたことを認めたということで組合は去年12月、容疑者を除名処分にしました。 また、これを受けて東京の鑑定機関が所有者や百貨店から持ち込まれた版画200点余りを鑑定したところ、このうち120点が偽物と確認されました。 組合などが立ち上げた調査委員会は、持ち込まれた作品には特殊なシールを貼り付け本物か偽物かを区別できるようにしたということです。 一方、警視庁は去年12月に著作権法違反の疑いで関係先を捜索し、およそ80点の版画を押収するなどして裏付け捜査を進めてきました。
これまでの経緯