カナダのトルドー首相は6日、首都オタワで記者会見を開き「最善を尽くしてきたが、議会は数か月間、機能停止状態が続いている」と述べたうえで、首相を辞任する意向を表明しました。
あわせて、少数与党・自由党の党首も辞任する考えを示し、自由党は近く党首選挙を行って後継を選ぶことになります。
父親も首相を務めたトルドー氏は、2015年の総選挙で勝利してカナダ史上2番目の若さとなる43歳で首相に就任しました。
在任期間は9年を超え、G7・主要7か国の現職の首脳としては最長です。
しかし、住宅価格の高騰など物価高への対応で批判を受け、野党側が今月にも不信任案を提出する構えを見せ少数与党の中、可決される公算が高まっていました。
また、アメリカのトランプ次期大統領がカナダからの輸入製品に25%の関税を課す意向を示したことへの対応をめぐって副首相兼財務相が反発して辞任するなど与党内からの圧力も強まっていました。
カナダで先月末に行われた世論調査では、トルドー氏の支持率は就任以来、最低となる22%まで低下していたほか、自由党の支持率も16%と、最大野党・保守党の45%から大きく引き離されていました。
トランプ氏「カナダの人の多くは51番目の州になることを歓迎」
カナダのトルドー首相が辞任する意向を表明したことを受け、アメリカのトランプ次期大統領は6日、SNSに「カナダの人の多くは51番目の州になることを大いに歓迎している。アメリカはもはやカナダを維持させるために必要な巨額の貿易赤字と補助金に苦しむことはできない。トルドー氏はそれを理解しているから、辞任するのだ」と投稿しました。
そして「もしカナダがアメリカと合併すれば、関税はなくなり、税金は大幅に下がり、カナダを取り囲むロシアや中国の船舶の脅威から完全に守られることになるだろう。一緒になれば、どんなにすばらしい国になることか」として、みずからの主張を改めて強調しました。
トランプ氏はカナダからの輸入製品に対して関税を課す方針に対抗する姿勢を示したトルドー首相について「知事」と呼んでやゆするなど、カナダをけん制していました。
ホワイトハウス報道官「アメリカの頼りになる友人」
アメリカ、ホワイトハウスのジャンピエール報道官は6日、記者団に対し「トルドー首相はアメリカの頼りになる友人だった。彼がカナダ政府を率いたおよそ10年間、われわれは緊密な同盟国であり、隣国として、あらゆる問題で緊密に協力してきた。バイデン大統領は、トルドー首相の協力に感謝している」と述べました。
そして「われわれは同じ民主主義国家として、自由党の新たな党首を選び、新政権を発足させるカナダ国民とともにある」と述べてカナダとの連帯を強調しました。