シリア暫定ざんてい政権せいけん外相がいしょう 湾岸わんがん諸国しょこく相次あいつぎ訪問ほうもん 復興ふっこうへ支援しえん取とりつけか

先月せんげつ、シリアで独裁どくさい的てきなアサド政権せいけんが崩壊ほうかいしたことを受うけて発足ほっそくした暫定ざんてい政権せいけんのシェイバニ外相がいしょうは6日にち、UAEの首都しゅとアブダビを訪おとずれ、アブドラ外相がいしょうと会談かいだんしました。

シェイバニ外相がいしょうは今月こんげつに入はいってサウジアラビアやカタールといった湾岸わんがん諸国しょこくを相次あいついで訪問ほうもんしていて、内戦ないせんで荒廃こうはいした国くにの復興ふっこうに向むけて、支援しえんを取とりつけるねらいがあるとみられます。

一連いちれんの外遊がいゆうでシェイバニ外相がいしょうは復興ふっこうの妨さまたげになっているとして、アメリカなどがアサド政権せいけん下かのシリアに科かしてきた経済けいざい制裁せいさいの解除かいじょも訴うったえています。

これについて、アメリカの有力ゆうりょく紙し、ウォール・ストリート・ジャーナルは5日にち、当局とうきょく者しゃの話はなしとして、バイデン政権せいけんが制裁せいさい自体じたいは維持いじしながらも、援助えんじょ団体だんたいや企業きぎょうによる水みずや電力でんりょく、それに人道じんどう支援しえん物資ぶっしなどの提供ていきょうを認みとめる形かたちで、緩和かんわする方針ほうしんだと伝つたえました。

シリアでアサド政権せいけんが崩壊ほうかいしてまもなく1か月かげつとなりますが、暫定ざんてい政権せいけんを主導しゅどうする「シリア解放かいほう機構きこう」に対にたいしては国連こくれんやアメリカなどがテロ組織そしきに指定していしたままで、国くにの安定あんていとともに国際こくさい社会しゃかいが復興ふっこう支援しえんにどう関与かんよしていくかも課題かだいとなっています。

首都しゅとダマスカス 将来しょうらいへの希望きぼうの声こえある一方いっぽう不安ふあんの声こえも

シリアで独裁どくさい的てきなアサド政権せいけんが先月せんげつ8日にちに崩壊ほうかいして、まもなく1か月かげつとなります。NHKの取材しゅざい班はんは6日にち、レバノンから陸路りくろで国境こっきょうを越こえ、シリアに入はいりました。

国境こっきょうの検問けんもん所しょは、アサド政権せいけんの崩壊ほうかい以降いこう、入国にゅうこく審査しんさが行おこなわれない状況じょうきょうが続つづいていましたが、係官かかりかんによる審査しんさが再開さいかいされ、入国にゅうこくのスタンプを押おす手続てつづきが行おこなわれるようになっていました。

一方いっぽう、内戦ないせんで家いえを追おわれ、レバノンに避難ひなんしていた人ひとたちがシリアに戻もどる動うごきは続つづいていて、6日にちも家財かざい道具どうぐを積つんだトラックや家族かぞく連づれの車くるまが次々つぎつぎに国境こっきょうを越こえていました。

10年ねんぶりにシリアに戻もどってきたという38歳さいの男性だんせいは「ついに国くにに戻もどれることがとてもうれしいです。シリアは大おおきく変かわり、私わたしたちは自由じゆうになりました」と話はなしていました。

国境こっきょうから首都しゅとダマスカスへと向むかう道路どうろにはかつて通行つうこうする人ひとや車くるまを厳きびしくチェックする軍ぐんの検問けんもん所しょがありましたが、現在げんざいは廃止はいしされ、施設しせつの解体かいたいが進すすめられていました。

施設しせつのそばには旧きゅう政権せいけんの軍ぐんの戦車せんしゃがいまも放置ほうちされていました。

政権せいけん崩壊ほうかい前まえにはいたるところに掲かかげられていたアサド前ぜん大統領だいとうりょうのポスターはすべて取り外とりはずされていて、検問けんもん所しょの施設しせつではアサド氏しの顔かおの部分ぶぶんが破やぶりとられたポスターの切れ端きれはしだけが残のこされていました。

ダマスカスに入はいると、多おおくの商店しょうてんやレストランが通常つうじょうどおり営業えいぎょうしていて、通とおりは大勢たいせいの買い物かいもの客きゃくなどでにぎわい、車くるまの激はげしい渋滞じゅうたいも起おきていました。

ダマスカス市内しないではかつては多おおくの警察官けいさつかんや治安ちあん部隊ぶたいが市民しみんの動向どうこうに目めを光ひからせていましたが、いまでは警察官けいさつかんの姿すがたはほとんどなく、取材しゅざい班はんが街頭がいとうで撮影さつえいやインタビューをしていても呼び止よびとめられたり尋問じんもんされたりすることはありませんでした。

母親ははおやと買い物かいものに来きていた19歳さいの大学生だいがくせいの女性じょせいは「すべてがよい方向ほうこうに変かわっています。街まちでは検問けんもんもなくなり、大学だいがく構内こうないで当局とうきょくの監視かんしの目めを気きにする必要ひつようもなくなりました。かつては外国がいこくに逃にげることも考かんがえていましたが、いまは将来しょうらいに大おおきな希望きぼうが持もてます」と話はなしていました。

一方いっぽう、50歳さいの男性だんせいは「いまもまだ政府せいふも大統領だいとうりょうも議会ぎかいもない状況じょうきょうに不安ふあんを感かんじています。宗教しゅうきょうの違ちがいなどによる差別さべつが強つよまることも心配しんぱいですし、いま力りょくを持もっている勢力せいりょくがかつてアサド政権せいけん側がわにいた人々ひとびとに復ふくしゅうを始はじめることも恐おそれています」と述のべ、将来しょうらいへの不安ふあんものぞかせていました。

警察けいさつ学校がっこう前まえ 入隊にゅうたいを希望きぼうする人ひとたちの長蛇ちょうだの列れつ

シリアの暫定ざんてい政権せいけんがアサド政権せいけん下かで市民しみんを弾圧だんあつしてきた治安ちあん部隊ぶたいを解散かいさんさせ、新あらたな部隊ぶたいの創設そうせつを進すすめるなか、首都しゅとダマスカスにある警察けいさつ学校がっこうの前まえには、入隊にゅうたいを希望きぼうする人ひとたちの長蛇ちょうだの列れつができていました。

隊員たいいんの募集ぼしゅうは先月せんげつ12日にちから行おこなわれていますが、いまでもダマスカスやその周辺しゅうへんから1日にちに500人にんから600人にんが手続てつづきに来くるということで、一定いっていの訓練くんれんを行おこなったあと選抜せんばつが進すすめられることになっています。

応募おうぼに訪おとずれた23歳さいの男性だんせいは「正義せいぎを実行じっこうする仕事しごとにつきたいと思おもってここに来きました。かつてのような市民しみんを弾圧だんあつする治安ちあん部隊ぶたいではなく、市民しみんを守まもる治安ちあん部隊ぶたいにならなければなりません」と話はなしていました。

また30歳さいの男性だんせいは「新あらたな政権せいけんになって国くにのために働はたらきたいという気持きもちがわいてきました。かつての治安ちあん部隊ぶたいは、アサド家かという1つの家族かぞくのためだけに働はたらいていましたが、新あらたな治安ちあん部隊ぶたいは、国くに全体ぜんたいに奉仕ほうしする存在そんざいにならなければならないと思おもいます」と話はなしていました。