Japanese News: 米大統領選両陣営が相手を批判する声明あすテレビ討論会

11月つきのアメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょに向むけたハリス副ふく大統領だいとうりょうとトランプ前ぜん大統領だいとうりょうによる初はじめてのテレビ討論とうろん会かいが、日本にっぽん時間じかんの11日にちに行おこなわれます。討論とうろん会かいを前まえに両りょう陣営じんえいがそれぞれ相手あいてを批判ひはんする声明せいめいを発表はっぴょうするなど、対決たいけつムードが高たかまっています。

テレビ討論とうろん会かいは日本にっぽん時間じかんの11日にち午前ごぜん10時じ（現地げんち時間じかんの10日にち午後ごご9時じ）から、東部とうぶペンシルベニア州しゅう最大さいだいの都市としフィラデルフィアで行おこなわれます。

討論とうろん会かいを翌日よくじつに控ひかえ、ハリス氏しはフィラデルフィアに政府せいふ専用せんよう機きで到着とうちゃくしました。

ハリス氏しの陣営じんえいは声明せいめいを発表はっぴょうし「討論とうろん会かいに向むけて過激かげきで正気しょうきを失うしなったトランプ氏しは、復ふくしゅうと報復ほうふくの危険きけんな脅おどしを強つよめている」と指摘してきするとともに、「国民こくみんはトランプ氏しの独ひとりよがりの復ふくしゅうを拒否きょひし、前向まえむきなビジョンを持もつハリス氏しを選えらぶことになる」と強調きょうちょうしました。

一方いっぽう、トランプ氏しの陣営じんえいも声明せいめいを発表はっぴょうし、「ハリス氏しは党とうの候補こうほ者しゃに指名しめいされて以来いらい、単独たんどくでのインタビューや記者きしゃ会見かいけんを行おこなっておらず、厳きびしい質問しつもんに答こたえるのは討論とうろん会かいが初はじめてとなる。副ふく大統領だいとうりょうとして、われわれの経済けいざいに与あたえた損害そんがいを説明せつめいし、何なにも新あたらしい計画けいかくを実行じっこうしなかった理由りゆうを答こたえなければならない」として、バイデン政権せいけんの副ふく大統領だいとうりょうとしての責任せきにんなどを追及ついきゅうする構かまえを示しめしました。

投票とうひょう日びまで2か月かげつを切きる中なか、どちらの候補こうほ者しゃも、全米ぜんべいに生なま中継ちゅうけいされる討論とうろん会かいを通をつうじて流ながれを引き寄ひきよせたい考かんがえで、対決たいけつムードが高たかまっています。

討論とうろん会かい一時いちじ調整ちょうせいは難航なんこう

ハリス副ふく大統領だいとうりょうとトランプ前ぜん大統領だいとうりょうによる初はじめてのテレビ討論とうろん会かいは、予定よていされた日程にっていでの開催かいさいが一時いちじ、不透明ふとうめいになるなど、調整ちょうせいは難航なんこうしました。

9月つき10日にちの討論とうろん会かいはもともと、選挙せんきょ戦せんから撤退てったいする前まえのバイデン大統領だいとうりょうと、トランプ氏しとの間まで合意ごういしていたもので、ハリス氏しも党とうの候補こうほ者しゃに指名しめいされる見通みとおしとなって以降いこう、予定よていどおりの日程にっていで出席しゅっせきする考かんがえを示しめしました。

これに対にたいしてトランプ氏し側がわは、ハリス氏しが党とうの候補こうほ者しゃに正式せいしきに指名しめいされるまで開催かいさいを確定かくていできないと表明ひょうめいしたほか、討論とうろん会かいを主催しゅさいするABCテレビは政治せいじ的てきな立場たちばが偏かたよっているなどと主張しゅちょうし、開催かいさいが不透明ふとうめいになりました。

トランプ氏しは8月つき8日にちになって9月つき10日にちの討論とうろん会かいに応おうじる意向いこうを示しめし、開催かいさいに向むけて調整ちょうせいが進すすみ始はじめました。

討論とうろん会かいのルールは？

今回こんかいの討論とうろん会かいは、6月つきにCNNテレビが主催しゅさいしたバイデン氏しとトランプ氏しによる討論とうろん会かいと同様どうように、観客かんきゃくを入いれずに行おこなわれることになりましたが、ルールを定さだめる過程かていで、発言はつげんが求もとめられていない側がわの候補こうほ者しゃのマイクの音おとを切きるかどうかで両りょう陣営じんえいが対立たいりつし、注目ちゅうもくされました。

6月つきの討論とうろん会かいでは、前回ぜんかい2020年ねんの選挙せんきょ戦せんでの討論とうろん会かいで、トランプ氏しとバイデン氏しが互たがいに相手あいての発言はつげんを遮さえぎるなどして非難ひなんの応酬おうしゅうになったことを念頭ねんとうに、候補こうほ者しゃが質問しつもんに答こたえている間ま、もう一方いっぽうの候補こうほ者しゃのマイクを切きる措置そちがとられました。

ところが今回こんかい、ハリス陣営じんえいが、マイクは常つねにオンのままにするべきだと主張しゅちょうしたのです。

背景はいけいには、6月つきの討論とうろん会かいで一方いっぽうの候補こうほ者しゃのマイクを切きるルールが取り入とりいれられたことで、トランプ氏しがバイデン氏しの発言はつげんを遮さえぎろうとしても音おとが拾ひろわれず、結果けっか的てきとしてトランプ氏しを利りする形かたちになったとハリス陣営じんえいが判断はんだんしていると見みられることがあります。

トランプ氏し自身じしんは今回こんかい、「マイクを切きってもかまわない」と発言はつげんしたものの、トランプ氏しの陣営じんえいは当初とうしょの案あんどおり、一方いっぽうの候補こうほ者しゃのマイクを切きるべきだと主張しゅちょうし、結局けっきょくハリス陣営じんえいが主張しゅちょうを取り下とりさげる形かたちになりました。

ABCテレビによりますと、討論とうろん会かいは1時間じかん半はんにわたって行おこなわれ、2回かいのテレビCMの休憩きゅうけいを挟はさみます。

会場かいじょうとなるのは、東部とうぶペンシルベニア州しゅうフィラデルフィアにあるアメリカ憲法けんぽうの歴史れきしなどを学まなべる施設しせつで、司会しかい2人にんと候補こうほ者しゃだけで討論とうろんを進すすめることになっています。

候補こうほ者しゃが1つの質問しつもんに答こたえる時間じかんは2分間ふんかんです。候補こうほ者しゃにはペンとメモ用紙めもようし、それに水みずが用意よういされますが、事前じぜんに準備じゅんびしたメモ書がきを持ち込もちこむことはできず、テレビCMの際さいの休憩きゅうけい時じに陣営じんえいのスタッフと接触せっしょくすることもできません。

討論とうろん会かいはABCテレビのネットワークを通をつうじて、全米ぜんべいに生なま中継ちゅうけいされることになっています。

専門せんもん家か「ハリス氏しリーダーの資質ししつ示しめせるかがポイント」

今回こんかいのテレビ討論とうろん会かいについて、アメリカ政治せいじに詳くわしいジョージタウン大学だいがくのハンス・ノール准じゅん教授きょうじゅは「ハリス氏しが実際じっさいはどのような候補こうほなのか、トランプ氏しがこれまでと違ちがう新あらたな候補こうほに対にたいしてどう対応たいおうするのか、よりリアルな形かたちで明あきらかになるだろう」と分析ぶんせきしています。

ハリス氏しについてはこのところ民主党みんしゅとうの全国ぜんこく党とう大会たいかいなどで注目ちゅうもくされ、望のぞましい流ながれとなっているとしながらも、「ハリス陣営じんえいとしてはトランプ氏しと戦たたかえることを示しめさなければならない」と述のべ、若わかさをアピールするとともに、リーダーにふさわしい資質ししつを示しめせるかどうかがポイントだと指摘してきしました。

また、ハリス氏しの検察官けんさつかんとしてのキャリアについて、トランプ氏しを責せめたてる場面ばめんにおいて「検察官けんさつかんのスキルは役に立やくにたつだろう」という見方みかたも示しめしています。

そして討論とうろん会かいに先立さきだち、ハリス陣営じんえいが相手あいて候補こうほの発言はつげん中ちゅうにマイクの音おとを切きらないよう求もとめたことについては、トランプ氏しから失言しつげんなどを引き出ひきだすねらいがあったと分析ぶんせきしています。

そのうえでハリス氏しが、女性じょせい有権者ゆうけんしゃの関心かんしんが高たかい人工じんこう妊娠にんしん中絶ちゅうぜつをめぐって権利けんり擁護ようごを訴うったえる可能かのう性せいがあるとも指摘してきしています。

一方いっぽう、トランプ氏し側がわのねらいについて「ハリス氏しについて、バイデン氏しと同様どうよう、極端きょくたんなリベラル候補こうほだと位置いちづけようとするだろう」と述のべ、ハリス氏しの大統領だいとうりょうとしての資質ししつを疑問ぎもん視しする作戦さくせんをとると分析ぶんせきしています。

また▼生活せいかつ費ひの高騰こうとうなど、国民こくみんが直面ちょくめんしているインフレの問題もんだいを取り上とりあげるほか、▼国民こくみんの関心かんしん事ごとである移民いみん問題もんだいについても、ハリス氏しが現げん政権せいけんの責任せきにん者しゃだとして、副ふく大統領だいとうりょうであるハリス氏しを含ふくむ現げん政権せいけんを批判ひはんしていくのではないかと指摘してきしました。

そのうえで、トランプ氏しがハリス氏しへの個人こじん攻撃こうげきではなく、経済けいざい問題もんだいと移民いみん問題もんだいを中心ちゅうしんにどこまで政策せいさく論争ろんそうに持ち込もちこめるかも、焦点しょうてんの1つになるという見方みかたを示しめしました。

またノール准じゅん教授きょうじゅは、ことし6月つきに行おこなわれた討論とうろん会かいで、当時とうじ民主党みんしゅとうの候補こうほ者しゃだったバイデン氏しが精彩せいさいを欠かき、その後そのご撤退てったいに追い込おいこまれたことを踏ふまえ、「今回こんかいの討論とうろん会かいもハリス氏しが苦くるしむことになれば非常ひじょうに深刻しんこくな事態じたいになると思おもうし、トランプ氏しが前回ぜんかいより失敗しっぱいし、別べつの姿すがたを見みせれば考え直かんがえなおす人ひとがでるかもしれない」と述のべた上うえで、特とくに支持しじがきっ抗きっこうする激戦げきせん州しゅうでは選挙せんきょ結果けっかに影響えいきょうを及およぼす可能かのう性せいがあると分析ぶんせきしています。

過去かこのテレビ討論とうろん会かい

アメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょの候補こうほ者しゃによるテレビ討論とうろん会かいは1960年ねんに初はじめて行おこなわれて以降いこう、毎回まいかい大おおきな関心かんしんを集あつめてきました。

有権者ゆうけんしゃの関心かんしんが高たかい問題もんだいについて意見いけんをぶつけ合あい、大統領だいとうりょうとしての資質ししつをアピールする機会きかいとなるため、有権者ゆうけんしゃの判断はんだんにも影響えいきょうを与あたえてきたとされています。

1960年ねん、共和党きょうわとうのニクソン副ふく大統領だいとうりょうと、民主党みんしゅとうのケネディ上院じょういん議員ぎいんによる史上しじょう初はじめてのテレビ討論とうろん会かいでは、表情ひょうじょうが硬かたく、疲つかれた様子ようすのニクソン氏しに対にたいし、ケネディ氏しは若々わかわかしく、はつらつとしていると好意こうい的てきに受け止うけとめられ、選挙せんきょ戦せんの流ながれをつかんで勝利しょうりを引き寄ひきよせたとされています。

1980年ねん、再選さいせんを目指めざした民主党みんしゅとうの現職げんしょくカーター大統領だいとうりょうに共和党きょうわとう・レーガン氏しが挑いどんだ対決たいけつでは、細こまかい数字すうじをあげて経済けいざい問題もんだいを議論ぎろんするカーター大統領だいとうりょうに対にたいし、レーガン氏しは「またその話はなしですか」と切り返きりかえしました。

そして、レーガン氏しは討論とうろん会かいの最後さいご、有権者ゆうけんしゃに対にたいして「あなた自身じしんに尋たずねてください。4年ねん前まえと比くらべてあなたの暮くらしは良よくなりましたか？」と語かたりかけ、1週間しゅうかん後ごの選挙せんきょで勝利しょうりしました。

2000年ねん、民主党みんしゅとうのゴア副ふく大統領だいとうりょうと共和党きょうわとうのブッシュ・テキサス州しゅう知事ちじとの討論とうろん会かいでは、ブッシュ氏しの発言はつげんに何なん度どもため息ためいきをつくゴア氏しの姿すがたが「人ひとを見下みくだしている」と批判ひはんを浴あびました。

また、これまでで最もっとも多おおくの人ひとが視聴しちょうしたのが2016年ねんの共和党きょうわとうのトランプ氏しと民主党みんしゅとうのヒラリー・クリントン氏しによる1回かい目めの討論とうろん会かいで、およそ8400万まん人にんが視聴しちょうしました。

今回こんかいの大統領だいとうりょう選挙せんきょでは、ことし6月つき27日にちにバイデン大統領だいとうりょうとトランプ前ぜん大統領だいとうりょうとの1回かい目めの討論とうろん会かいが行おこなわれましたが、バイデン氏しはことばに詰つまる場面ばめんがあったほか、トランプ氏しによる批判ひはんを切きり返かえせない場面ばめんが目立めだち、精細せいさいを欠かきました。

この討論とうろん会かいがきっかけとなって民主みんしゅ党内とうないではバイデン氏しに対にたいして選挙せんきょ戦せんからの撤退てったいを求もとめる圧力あつりょくが高たかまり、7月つき、党とうの指名しめい獲得かくとくが確実かくじつ視しされていたバイデン氏しが、投票とうひょう日びまでおよそ3か月かげつ半はんという段階だんかいで撤退てったいを表明ひょうめいするという極きわめて異例いれいの事態じたいとなりました。

大統領だいとうりょう選せんまでの主おもな日程にってい

アメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょでは11月つき5日にちの投票とうひょう日びを前まえに、9月つきから全米ぜんべい各州かくしゅうで、順次じゅんじ、期日きじつ前ぜん投票とうひょうが始はじまります。

このうち激戦げきせん州しゅうの1つ、東部とうぶペンシルベニア州しゅうでは、早はやければテレビ討論とうろん会かいの6日にち後ごの9月つき16日にちから期日きじつ前ぜん投票とうひょうの申請しんせいの受け付うけつけが始はじまります。

さらに南部なんぶバージニア州しゅう、中西部ちゅうせいぶのサウスダコタ州しゅうとミネソタ州しゅうでは、9月つき20日にちから期日きじつ前ぜん投票とうひょうが始はじまります。

アメリカの選挙せんきょでは、期日きじつ前ぜん投票とうひょうが投票とうひょう全体ぜんたいに占しめる割合わりあいが年々ねんねん高たかまっていて、ハリス氏し、トランプ氏しともに期日きじつ前ぜん投票とうひょうが始はじまることも念頭ねんとうに、討論とうろん会かいを通をつうじて有権者ゆうけんしゃにアピールしたい考かんがえです。