トランプ前米大統領が創設したSNS「トゥルース・ソーシャル」を運営する「トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ」の株価下落が止まらない。先週には今春の株式公開以来の最低水準まで落ち込んだ。
9日に7%の反発があったものの、トランプ・メディアは3月27日の最高値66.22ドルからほぼ4分の3(72%)の価値を失った。
この売りにより、投資家の資産からは相当な額が消えている。トランプ氏もその一人だ。
トランプ氏が保有する1億1475万株の価値は5月9日時点で62億ドル(約8900億円)だった。現在の価値は約21億ドル。この急落によりトランプ氏は世界の富豪500人を示すブルームバーグ・ビリオネアズ・インデックスから脱落した。
この大幅下落は、トランプ・メディアの数十億ドルという時価総額が理にかなっていないと繰り返し警告してきた専門家らの懸念を強めるものだ。同社は赤字で収益はほとんどなく、トゥルース・ソーシャルはSNS界で比較的小さな存在のままだからだ。
タトル・キャピタル・マネジメントのマシュー・タトル最高経営責任者(CEO)はCNNに対し「トランプ氏でなければ、この株は1ドルで取引されていただろう」と語った。
アナリストらは、同社の株価下落の背後にはトランプ・メディアの脆弱(ぜいじゃく)な経済基盤以外にもおそらく他の要因があるとみている。
タトル氏は、一部の世論調査でハリス副大統領とトランプ氏の支持率が拮抗(きっこう)していることが大きな要因だと主張する。
実際、トランプ・メディアはバイデン大統領が7月21日に撤退しハリス氏を支持して以来、時価総額の約半分を失った。
タトル氏は同社の株は完全にトランプ氏が当選することを前提としたものだとし、「トランプ氏が勝てばこの会社は存続できるかもしれない。しかし負ければどうやって存続しうるのか私にはわからない」と述べた。
ただしトランプ・メディアは依然として3億ドル以上の現金などを保有しており、買収や事業資金に充てる資金力がある。