コロナ禍での航空需要の減少で航空機の地上誘導や荷物の積み降ろし、チェックインカウンター業務などを行う「グランドハンドリング」の従業員の数は、4年前と比べて全国で15%近く減少し、人手不足が深刻になっています。
一方で、最近の外国人観光客の増加などで航空需要は伸びていることから、国際線の利用客が最も多い成田空港では航空機の受け入れへの人手不足の影響を把握するため初めての調査が行われました。
その結果、海外の航空会社の新規就航や増便の希望は週152便あり、空港の発着枠には余裕があるにも関わらず、今年度中に受け入れられる見通しが立っているのは101便と、3分の2にとどまることが関係者への取材でわかりました。
人手不足を解消するため、賃金を引き上げるなど待遇の改善なども行われていますが、今回の調査で、インバウンド需要を十分には取り込めていない実態が初めて明らかになり、対策のさらなる強化が必要な状況が浮き彫りになった形です。
「スイスポートジャパン」労組 “時間外拒否 見送り”
航空機の地上誘導やチェックインカウンターでの受け付けなどを担うグランドハンドリング会社の「スイスポートジャパン」は、外国の航空会社の便を中心に羽田や成田など6つの空港で業務を行っています。
労働組合は、11月、航空の需要回復に人材確保が追いついておらず長時間労働が改善されないとして会社に対し、12月から一切の時間外労働を行わないと通告しましたが29日、この通告内容を見送ると明らかにしました。
労働組合などによりますと、業務の一部を別の会社に委託するほか、新規採用や離職防止への取り組みを強化するなど、会社側から長時間労働を是正する方針が示されたということです。
そのうえで、新たな労使協定を結んだということで、航空機の運航への影響は回避される見通しとなりました。
スイスポートジャパンの吉田一成社長は「ご心配とご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます。今後は、適切かつ厳格な労働時間管理や、長時間労働を生み出さない受注体制の構築により再発防止に取り組みます」とコメントしています。