この中で拓也さんは、去年を振り返って「目に見える具体的進展がなく、姉のことで言えば、拉致から45年経過しても居場所さえ分からない状態が続いています。どうして、これだけ長い時間が過ぎても、なお解決できないのか疑問だし、この1年も同じことを感じました」と話しました。
そして、被害者の親世代の高齢化に触れ「私の母で言うと、ことし、父が亡くなった年齢と同じ87歳になります。実際に声は小さくなってきているし、歩くスピードも遅く、つまずいてけがをすることもあります。拉致問題の解決に時間的制約があることは厳しい現実だと感じざるをえません」と語りました。
そのうえで、家族会が4年前に初めて出したキム・ジョンウン(金正恩)総書記宛てのメッセージに言及し「家族会は拉致被害者が帰って来たときに、彼らから北朝鮮で見聞きしたことを聞き出さないし、秘密の暴露や日朝国交正常化交渉の妨げになるようなことはしないと何度も表明しています。北朝鮮当局には、そこを信じてほしいし、勇気を持って決断してほしい」と呼びかけました。
日本政府に対しては「どうしたら北朝鮮を動かせるのか、どうすればキム・ジョンウン総書記が前に出てくるのか、具体的に作戦を組んでほしい。国際社会が科している経済制裁の枠組みを逸脱しない範囲で、人道支援や医療支援の提案など、もっと北朝鮮側が前に出やすくなるような作戦を考えて解決を迫ってほしい」と求めました。