インドのマンモハン・シン前首相が92歳で死去した。全インド医科大学(AIIMS)が声明で明らかにした。
シン氏は26日に自宅で意識を失い、ニューデリーにあるAIIMSへ搬送されたという。
AIIMSで治療を試みたものの、現地時間の午後9時51分、死亡が確認された。
モディ首相は国中がシン氏の死去を悼んでいるとし、同氏をインドで「最も卓越した指導者」の一人と称賛。X(旧ツイッター)への投稿で「我が国の首相として、国民の生活改善に向けて幅広く取り組んだ」と述べた。
シン氏は2004年から2期にわたって首相を務めた。ロイター通信によるとこの間、農村部の貧困層向けの雇用プログラムといった福祉の構想を導入した。
08年には米国との間で画期的な協定を結び、核エネルギーに関する平和的な通商を30年ぶりに実現したとされる。翌年は当時のオバマ米大統領に招待され、ホワイトハウスでの公式晩餐(ばんさん)会に出席した。
2期目の終盤には、政権による汚職が大きな注目を集めた。シン氏自身が汚職の罪を問われることはなかったが、本人のイメージにとっては打撃となった。
ロイター通信の報道によれば死去の数カ月前、シン氏は記者会見で首相として全力を尽くしたとの認識を表明。自身に対する評価は歴史が下すとし、その内容は同時代のメディアや野党の評価よりも寛大なものになるだろうと語ったという。