新型しんがたコロナ 自治体じちたい独自どくじの「接触せっしょく通知つうちシステム」 多おおくは利用りよう低迷ていめい

飲食いんしょく店てんやイベント会場かいじょうなどに設置せっちされたQRコードを、利用りよう者しゃが携帯けいたい電話でんわで読み取よみとりメールアドレスやLINEを登録とうろくすると、施設しせつで感染かんせん者しゃが出でた際さいに通知つうちされる仕組しくみです。

しかし、実際じっさいに通知つうちが行おこなわれたのは「非ひ公表こうひょう」とした岩手いわて県けんを除のぞくと北海道ほっかいどう、大阪おおさか府ふ、茨城いばらき県けん、岐阜ぎふ県けん、滋賀しが県けん、広島ひろしま県けん、それに愛媛えひめ県けんの7道府県どうふけんにとどまっていることがわかりました。

通知つうち実績じっせきは茨城いばらき県けんで136施設しせつを利用りようした904人にんで最もっとも多おおいほかは大阪おおさか府ふが12のケースで人数にんずうは非ひ公表こうひょう、愛媛えひめ県けんが1ケースの110人にんなどと活用かつよう例れいが少すくないのが実情じつじょうです。

担当たんとう者しゃの多おおくが課題かだいに挙あげているのが利用りようの伸び悩のびなやみで、埼玉さいたま県けんでは店舗てんぽやイベントなど6万まん件けん近ちかくに設置せっちされているもののQRコードの読み取よみとり回数かいすうは21万まん回かい余あまりと1つの場所ばしょやイベントあたり3回かい程度ていどにとどまっているほか京都きょうと府ふでは1万まん7000余あまりの設置せっち件数けんすうに対にたいし、読み取よみとり回数かいすうは3万まん回かいほどにとどまっています。

IT政策せいさくに詳くわしい大阪おおさか大学だいがく社会しゃかい技術ぎじゅつ共ども創そう研究けんきゅうセンターの工藤くどう郁子いくこ 招しょうへい教員きょういんは「“第だい4波は”や変異へんいウイルスが懸念けねんされる今いまこそ、活用かつように向むけて課題かだいを検証けんしょうし改善かいぜんしていく必要ひつようがある。操作そうさをわかりやすくし、利用りよう者しゃにとってのメリットを増ふやすことが重要じゅうようだ」と指摘してきしています。

「いばらきアマビエちゃん」はQRコードを携帯けいたい電話でんわで読み込よみこみ、メールアドレスを登録とうろくする仕組しくみですが、手軽てがるに使つかってもらうため、スマートフォンで利用りようできるアプリも配信はいしんしています。

「アマビエちゃん」に登録とうろくしている店みせや施設しせつを地図ちず上じょうで確認かくにんすることもできます。

多おおくの自治体じちたいが店舗てんぽなどに対にたいしてQRコードの設置せっちを「要請ようせい」しているのに対にたいし茨城いばらき県けんは条例じょうれいで、飲食いんしょく店てんなどにシステムへの登録とうろくを義務ぎむづけました。

さらに、利用りよう者しゃに対にたいして県けん産品さんぴんをプレゼントするキャンペーンも先月せんげつにかけて実施じっししました。

これまでに登録とうろくしている事業じぎょう者しゃは今月こんげつ5日にち時点じてんで飲食いんしょく店てんがおよそ1万まん3500か所かしょ美容びよう室しつがおよそ5600か所かしょで、義務ぎむづけの対象たいしょうのほぼすべてが登録とうろくしているほか、オフィスビルや地域ちいきのスポーツ大会たいかいなどもあわせると合計ごうけいで6万まん件けん近ちかくになり、読み取よみとりの回数かいすうは先月せんげつ1日にちあたりの平均へいきんでおよそ1万まん9000回かいです。

通知つうち実績じっせきは136施設しせつを利用りようした904人にんで全国ぜんこくの通知つうち実績じっせきの大半たいはんを茨城いばらき県けんが占しめ、PCR検査けんさにつながった例れいもあるということです。

全国ぜんこく的てきには高たかい水準すいじゅんにあるものの、東京とうきょうや神奈川かながわなどで感染かんせん者しゃが増加ぞうかする中なか、利用りよう者しゃをさらに増ふやす必要ひつようがあるとして14日にちからは県内けんないの繁華はんか街がいにある飲食いんしょく店てんを対象たいしょうに見回みまわり活動かつどうを始はじめ、システムの活用かつようを呼よびかけています。

県けんの担当たんとう者しゃは店みせの店主てんしゅに対にたいしてシステムの利用りよう状況じょうきょうを聞きくとともに知しらない客きゃくには利用りようを直接ちょくせつ呼よびかけるよう依頼いらいしていました。

茨城いばらき県けん中小ちゅうしょう企業きぎょう課かの山口やまぐち雅樹まさき担当たんとう課長かちょうは「感染かんせん防止ぼうしのためには店みせを訪おとずれた人ひとにもっと“アマビエちゃん”を利用りようしてもらうことが課題かだいになっている。試行しこう錯誤さくごしながら利用りよう者しゃの読み取よみとりを習慣しゅうかん化かさせていきたい」と話はなしています。

日本にっぽんとはプライバシーに関にかんする法律ほうりつや捉とらえ方かたも異ことなるため単純たんじゅんに比較ひかくできないものの、シンガポールや台湾たいわんなどは、感染かんせん者しゃの位置いち情報じょうほうなどを追跡ついせきし、接触せっしょく者しゃに通知つうちしたり発生はっせい場所ばしょを消毒しょうどくして公表こうひょうしたりする取り組とりくみが進すすんでいるということです。

日本にっぽんでは、国くにのCOCOAに先行せんこうする形かたちで複数ふくすうの自治体じちたいによってQRコードなどを利用りようした通知つうちシステムが始はじまり、「場所ばしょ」に重点じゅうてんを置おいた通知つうちシステムと、「人ひととの接触せっしょく」に重点じゅうてんを置おくCOCOAとの併用へいようで陽性ようせい者しゃの早期そうき把握はあくや、二に次じ感染かんせんの拡大かくだいを防ふせぐ効果こうかなどが期待きたいされていました。

さらに「ITサービスのユーザーを増ふやすには、“手軽てがるさ”と“メリット”が重要じゅうようで、ユーザー目線めせんに立たち、『自分じぶんが使つかうことでどういった利益りえきを得えることが出来できるのか』をもっと考かんがえ、分わかりやすく示しめすべきだ」と述のべました。

また、自治体じちたいの担当たんとう者しゃの多おおくは利用りよう者しゃが伸び悩のびなやんでいる理由りゆうを個人こじん情報じょうほうに対にたいして懸念けねんがあるからだと考かんがえていますが、工藤くどうさんが、国くにの接触せっしょく確認かくにんアプリ「COCOA」をめぐって大学生だいがくせいなどに聞き取ききとったところ個人こじん情報じょうほうの問題もんだいより、アプリの機能きのうに対にたいする不満ふまん感かんのほうが大おおきかったと指摘してきしました。

そのうえで工藤くどうさんは「ユーザーにとってのメリットは行政ぎょうせいよりも民間みんかんのIT事業じぎょう者しゃの方ほうが詳くわしく、官民かんみんの連携れんけいをもっと進すすめるべきではないか。利用りよう者しゃを増ふやすためにやれることはまだある」と話はなしています。

特徴とくちょうは「利便りべん性せいの良よさ」と「手軽てがるさ」。

感染かんせん者しゃの情報じょうほうは通知つうちされますが機能きのうの一ひとつに過すぎず、メインの機能きのうは教室きょうしつや食堂しょくどうの混雑こんざつ状況じょうきょうをリアルタイムで見みられるサービスと、教室きょうしつや図書館としょかんの座席ざせき予約よやくサービスです。

コロナ禍かの学生がくせいが日常にちじょう的てきに求もとめる機能きのうの中なかに、通知つうちシステムを組み込くみこむ設計せっけいになっています。

利用りよう者しゃが新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしたことがわかった場合ばあいに行おこなわれる通知つうちは本人ほんにんの同意どういを条件じょうけんとしています。

さらに、情報じょうほうは個人こじんが特定とくていされない形かたちになっていることを説明せつめいし、信頼しんらい感かんを得える工夫くふうもしています。

さらに、アプリをダウンロードする際さいのタップ数すうを極力きょくりょく減へらすなど、手軽てがるに利用りよう出来できるような仕組しくみになっています。

アプリを利用りようしている学生がくせいは「学校がっこうに来きてみないと分わからなかった教室きょうしつなどの状況じょうきょうを自宅じたくでも見みることができて便利べんりです。予約よやくも簡単かんたんに出来できますし、使い勝手つかいがってがいいです」と話はなしていました。

大学だいがく側がわは対面たいめん授業じゅぎょうや実験じっけんを進すすめる上うえでMOCHAを活用かつようしたい考かんがえで、今月こんげつから工学部こうがくぶで学まなび始はじめた新しん3年生ねんせい、およそ1000人にんの大だい多数たすうが利用りようしているほか、工学部こうがくぶの教職きょうしょく員いんもおよそ8割わりが使つかっているということです。

システムを開発かいはつした東京とうきょう大学だいがく大学院だいがくいん工学こうがく系けい研究けんきゅう科かの川原かわはら圭けい博はく 教授きょうじゅは「アプリを始はじめてからも利用りようしている学生がくせいの意見いけんを聞き取ききとり、より使い勝手つかいがってがよく、メリットも感かんじられるようアップデートを続つづけている。工学部こうがくぶ以外いがいの学生がくせいの利用りようや認知にんち度どが低ひくいので、改善かいぜんしていきたい」と話はなしていました。