EUの気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は10日、気候や海洋の観測状況に関する最新の分析を発表しました。
それによりますと、去年1年間の世界の平均気温は15.1度で、おととしを0.12度上回り、記録が残る1850年以降、最も高かったということです。
主な要因として、人間の活動による温室効果ガスの排出量の増加を挙げたほか、南米・ペルー沖の赤道付近の海面水温が平年より高くなる「エルニーニョ現象」が影響したとしています。
また、平均気温の高い上位10年は、いずれも去年までの10年間に集中しているということです。
さらに去年の世界の平均気温は産業革命前の水準より1.6度高く、初めて1.5度を超えたとしています。
温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」で、各国は世界の平均気温の上昇幅を産業革命前と比べて1.5度に抑えるよう努力することを目標に掲げています。
コペルニクス気候変動サービスは「パリ協定で定めた上限は少なくとも20年間の平均気温を指し、今回で上限を超えたという意味ではないが、地球の気温が現代の人々が経験したことのないほどまでに上昇していることを示している」と指摘し、警鐘を鳴らしています。
コペルニクス気候変動サービス所長「私たちへの警鐘」
コペルニクス気候変動サービスのカルロ・ブオンテンポ所長は、「近年見られるような豪雨による洪水や干ばつの長期化などの危険性が高まることが予想される。1.5度を超えたことは私たちへの警鐘だ。10年前にパリで決めたように気温の上昇を抑えることを目指すならば、私たちは可能な限り迅速に温室効果ガスの排出を抑えないといけない」と述べ、対策を加速させる必要性を指摘しています。