60歳さい以上いじょうの働はたらくシニア 労災ろうさいによる死傷ししょう者しゃ3万まん9700人にん余よ 過去かこ最多さいた

一方いっぽうで、厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、仕事しごと中ちゅうの事故じこで死亡しぼうや4日にち以上いじょう休やすむけがをした60歳さい以上いじょうのシニアは、去年きょねん3万まん9702人にんと過去かこ最多さいたとなりました。

高齢こうれい者しゃ雇用こようのセミナー 多おおくの人ひとが詰つめかけ

長ながく働はたらき続つづける人ひとが増ふえるなか、東京とうきょう都とが開ひらく高齢こうれい者しゃ雇用こようのセミナーには定年ていねん後ごを見据みすえて多おおくの人ひとが詰つめかけています。

東京とうきょう・渋谷しぶや区くで開ひらかれた14日にちのセミナーでは、企業きぎょうで人事じんじなどを担当たんとうしてきた講師こうしが「これからのシニアの労働ろうどう市場しじょう」をテーマに講演こうえんしました。

このなかで、人手ひとで不足ふそくが深刻しんこく化かする中小ちゅうしょう企業きぎょうを中心ちゅうしんにシニア人材じんざいのニーズが高たかまっていることや、これまで培つちかってきた経験けいけんや能力のうりょくを生いかすため自分じぶんの強つよみをきちんと認識にんしきすることが大事だいじだと説明せつめいしていました。

今回こんかいの参加さんか者しゃは、こうした5日間にちかんのプログラムを通をとおして自己じこ分析ぶんせきの方法ほうほうや面談めんだんのコツ、中小ちゅうしょう企業きぎょうに再さい就職しゅうしょくした先輩せんぱいの体験たいけん談だんを聞きいて、セカンドキャリアの準備じゅんびをどう進すすめるか学まなびます。

対象たいしょうは55歳さい以上いじょうですが、今回こんかいの参加さんか者しゃのおよそ8割わりは定年ていねん前まえの人ひとたちで、30人にん程度ていどの定員ていいんに対にたいして85人にんの応募おうぼがあったということです。

セミナーを運営うんえいする「東京とうきょうしごと財団ざいだん」シニア雇用こよう促進そくしん担当たんとう課かの飯田いいだ哲也てつや課長かちょうは「人生じんせい100年ねん時代じだいということでこれまでの経験けいけんや専門せんもん的てきな知識ちしきを生いかしてセカンドキャリアをスタートさせたい人ひとが数多かずおおくいる。一方いっぽう、企業きぎょう側がわも人手ひとで不足ふそくで、中小ちゅうしょう企業きぎょうの中なかにはシニア人材じんざいを活用かつようしたいという会社かいしゃがある。セミナーが後押あとおしやきっかけづくりになれば」と話はなしていました。

60歳さい以上いじょうの労災ろうさいによる死傷ししょう者しゃ 過去かこ最多さいたの3万まん9702人にん

一方いっぽうで、厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、仕事しごと中ちゅうの事故じこで死亡しぼうや4日にち以上いじょう休やすむけがをした60歳さい以上いじょうのシニアは、去年きょねん3万まん9702人にんと過去かこ最多さいたとなり8年ねん連続れんぞくで前まえの年としを上回うわまわりました。

そして、労災ろうさいによる死傷ししょう者しゃに占しめる60歳さい以上いじょうの割合わりあいは年々ねんねん、増ふえていて去年きょねんは29.3％とこちらも過去かこ最高さいこうでした。

労災ろうさいは年齢ねんれいを重かさねるほど発生はっせいしやい傾向けいこうにあり、60代だい以上いじょうと30代だいを比くらべると、男性だんせいでおよそ2倍ばい、女性じょせいでおよそ4倍ばい起おきやすく、治療ちりょうのために休やすむ期間きかんも若わかい人ひとに比くらべて長ながびく傾向けいこうがあるということです。

また、60歳さい以上いじょうの労働ろうどう者しゃの労災ろうさいを種類しゅるい別べつにみると、「転倒てんとう」が最もっとも多おおい40％を占しめました。足あしのもつれや物ものにあたってつまずいたケースや、凍結とうけつした通路つうろや作業さぎょう場じょうにこぼれていた水みずや油あぶらで滑すべったケースなどが目立めだつということです。

次ついで、足場あしばや脚立きゃたつから落おちるといった「墜落ついらく・転落てんらく」が16％、重おもい物ものを持ち上もちあげる時ときに腰こしや腕うでを痛いためたなどの「動作どうさの反動はんどう・無理むりな動作どうさ」が11％となりました。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは「年としを取とるにつれて一般いっぱん的てきに身体しんたい機能きのうが低下ていかし転倒てんとうしやすくなるほか、特とくに女性じょせいは加か齢よわいとともに骨折こっせつのリスクが高たかくなる」として注意ちゅういを呼よびかけています。

「シニアの働はたらきやすい職場しょくば環境かんきょうの整備せいび」進すすめる企業きぎょうも

働はたらく高齢こうれい者しゃが増ふえるなか、けがをせず長ながく安全あんぜんに仕事しごとができる職場しょくばづくりを進すすめる企業きぎょうがあります。

ビル設備せつびの保守ほしゅや清掃せいそうを手てがける静岡しずおか県けんの「セイセイサーバー」はおよそ370人にんいる従業じゅうぎょう員いんの平均へいきん年齢ねんれいは55歳さいです。

65歳さい以上いじょうが40％を占しめ、最さい高齢こうれいは88歳さいです。高齢こうれいの従業じゅうぎょう員いんのなかには体力たいりょく面めんで不安ふあんを感かんじる人ひとがいて、つまずいて転ころびけがをする人ひとも出でていることから、会社かいしゃでは「シニアの働はたらきやすい職場しょくば環境かんきょうの整備せいび」に力ちからを入いれています。

3年ねんほど前まえからは社長しゃちょうや労務ろうむ担当たんとう者しゃが月つきに数すう回かい、現場げんばを直接ちょくせつ、訪おとずれて従業じゅうぎょう員いんから意見いけんを聞きき、これまでに転倒てんとうしそうな危険きけんな場所ばしょには、目立めだつようテープを貼はったり段差だんさをなくす台だいを設もうけたりしました。

熱中ねっちゅう症しょう対策たいさくも

また、ことしは従業じゅうぎょう員いんからの熱中ねっちゅう症しょうを心配しんぱいする声こえを受うけ、会社かいしゃが費用ひようを負担ふたんして夏なつに入はいる前まえから扇風機せんぷうき付づけの作業さぎょう着ぎや首くび回まわりを冷ひやすネッククーラーの支給しきゅうを始はじめました。

こうしたなか、ネッククーラーをつけて建物たてものの外そと階段かいだんで清掃せいそうをしていた72歳さいの男性だんせい従業じゅうぎょう員いんが、ふくらはぎをつって動うごけなくなり、帰宅きたく後ごも体からだのだるさを感かんじるといった熱中ねっちゅう症しょうの症状しょうじょうが出でました。会社かいしゃでは従業じゅうぎょう員いんに対にたいして、こまめに水みずを飲のみ休憩きゅうけいを取とるようにするなど呼よびかけ、男性だんせいも体調たいちょうの管理かんりを徹底てっていするようにしています。

セイセイサーバー 長田ながたきみの社長しゃちょう

「年齢ねんれいごとに改善かいぜん点てんは違ちがうので現場げんばに出向でむいてひとりひとりの生なまの声こえを聞きく姿勢しせいをとても大切たいせつにしています。会社かいしゃが安全あんぜん衛生えいせいを押おしつけるだけでは改善かいぜんにつながりません。シニアに長ながく勤つとめてもらうためにもこうした取り組とりくみが必要ひつようだと思おもいます」

専門せんもん家か“シニアひとりひとりの体調たいちょう面めんへの気配きくばりが重要じゅうよう”

定年ていねん後ごの働はたらき方かたについて詳くわしい「定年ていねん後ご研究所けんきゅうじょ」の池口いけぐち武志たけし所長しょちょうは、シニアの人ひとたちについて、自身じしんの健康けんこう状態じょうたいや体力たいりょく、親おやの介護かいごや孫まごの世話せわといった家庭かていの環境かんきょうなどで個人こじん差さが大おおきいと指摘してきします。

その上うえで労災ろうさい防止ぼうしに向むけた企業きぎょう側がわの取り組とりくみについて「杓子定規しゃくしじょうぎなルール運用うんようをするのではなく、現場げんばの上司じょうしなどによるシニアひとりひとりの体調たいちょう面めんへの気配きくばりがより重要じゅうようだ。会社かいしゃをあげてシニア社員しゃいんが働はたらきやすい職場しょくば環境かんきょうの整備せいびに取り組とりくんでいくことが会社かいしゃ全体ぜんたいの生産せいさん性せい向上こうじょう、中ちゅう長期ちょうき的てきな発展はってんのためには不可欠ふかけつな要素ようそだ」と述のべました。

一方いっぽう、働はたらくシニア側がわについては、「労災ろうさい事故じこに遭あった人ひとの多おおくは『まさか自分じぶんに限かぎって、こんな場所ばしょで』という形かたちが非常ひじょうに多おおいと思おもう。昔むかしのように自分じぶんの体力たいりょくや反射はんしゃ神経しんけいを過信かしんせず、年とし相応そうおうの注意深ちゅういぶかい行動こうどうを心こころがけていく必要ひつようがある。また、40代だい50代だいからの生活せいかつ習慣しゅうかんの乱みだれが60代だいになって重じゅう篤あつしな症状しょうじょうや病気びょうきにつながり職業しょくぎょう人生じんせいを縮ちぢめていくことになるので早はやい時期じきから生活せいかつ習慣しゅうかんの改善かいぜんを図はかっていくことが重要じゅうようだ」と話はなしています。