プロ野球やきゅう選手せんしゅの代理人だいりにん 弁護士べんごし限定げんていは独禁法どっきんほう違反いはんのおそれ 公取委こうとりい

公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいによりますと、プロ野球やきゅう12球団きゅうだんなどで構成こうせいされる「日本にっぽんプロフェッショナル野球やきゅう組織そしき」は球団きゅうだんに対にたいし、選手せんしゅの契約けいやく交渉こうしょうの代理人だいりにんについて弁護士べんごしに限定げんていしたうえで、すでにほかの選手せんしゅの代理人だいりにんになっている人物じんぶつを選えらべないようにさせていたということです。

このルールは2000年ねんに代理人だいりにん制度せいどが導入どうにゅうされた際さいに、プロ野球やきゅう組織そしき側がわが球団きゅうだんと選手せんしゅ会かいに求もとめた条件じょうけんで、公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいは球団きゅうだんの活動かつどうを不当ふとうに制限せいげんし、独占どくせん禁止きんし法ほうに違反いはんするおそれがあるとして19日にち、プロ野球やきゅう組織そしきに警告けいこくし再発さいはつ防止ぼうしを求もとめました。

ルールによって、選手せんしゅは日本にっぽんの弁護士べんごし資格しかくを持もたない海外かいがいの代理人だいりにんとの契約けいやくができないなどのケースがあったとみられるということです。

公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいがプロ野球やきゅう組織そしきに対にたいし、警告けいこくを出だすのは初はじめてです。

プロ野球やきゅう組織そしきは今月こんげつ2日にち、このルールを早期そうきに取とりやめることを決定けっていし、今こんシーズンオフ以降いこうの契約けいやく交渉こうしょうから見直みなおす方向ほうこうだということです。

公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいは、スポーツ選手せんしゅの契約けいやくなどをめぐり独占どくせん禁止きんし法ほう違反いはんの状況じょうきょうにないか幅広はばひろい競技きょうぎで実態じったいの把握はあくを行おこなっていて、19日にちの会見かいけんで「今後こんごも独占どくせん禁止きんし法ほうに違反いはんするような疑うたがいのある行為こういに接せっした場合ばあいは厳正げんせいに対処たいしょする」と述のべました。

プロ野球やきゅうの代理人だいりにん交渉こうしょうとは

プロ野球やきゅうの選手せんしゅの契約けいやく更改こうかいで導入どうにゅうされている代理人だいりにん交渉こうしょうとは、選手せんしゅが弁護士べんごし資格しかくを持もった専門せんもん家かに年俸ねんぽうの交渉こうしょうなどを委託いたくするものです。

プロ野球やきゅうでは、契約けいやく更改こうかいの交渉こうしょうは選手せんしゅ本人ほんにんが行おこなうことが慣例かんれいとなっていましたが、日本にっぽんプロ野球やきゅう選手せんしゅ会かいが代理人だいりにんによる交渉こうしょうを認みとめるよう長年ながねんにわたって球団きゅうだん経営けいえい側がわに求もとめてきて、2000年ねんのシーズンオフの契約けいやく更改こうかいから導入どうにゅうされました。

その年としのオフに当時とうじ、日本ハムにほんはむに所属しょぞくしていた下柳しもやなぎ剛つよしさんが初はじめて代理人だいりにん交渉こうしょうを行おこなうと、当時とうじの選手せんしゅ会かいで会長かいちょうを務つとめた古田ふるた敦あつし也さんなどもその制度せいどを利用りようしました。

一方いっぽうで日本にっぽんプロ野球やきゅう選手せんしゅ会かいによりますと、代理人だいりにん交渉こうしょうについては球団きゅうだん側がわが1人にんの代理人だいりにんが複数ふくすうの選手せんしゅと契約けいやくすることを認みとめず、日弁連にちべんれん＝日本にっぽん弁護士べんごし連合れんごう会かい所属しょぞくの日本人にっぽんじん弁護士べんごしに限かぎるなどの条件じょうけんをつけているということです。

これらについて選手せんしゅ会かいでは、以前いぜんから変更へんこうや改善かいぜんを求もとめていました。

まず、1人にんの代理人だいりにんが複数ふくすうの選手せんしゅと契約けいやくできないことについては、日本にっぽんでは代理人だいりにん交渉こうしょうの経験けいけんや実績じっせきを持もつ弁護士べんごしが少すくないことから、1人にんが選手せんしゅ1人にんしか担当たんとうできないと多おおくの選手せんしゅの代理人だいりにん選択せんたくの自由じゆうが限かぎられてしまうとして、制度せいどを導入どうにゅうした意義いぎが失うしなわれかねないと指摘してきしています。

また、日弁連にちべんれん所属しょぞくの日本人にっぽんじん弁護士べんごしに限かぎられていることについては、外国がいこく人じん選手せんしゅの場合ばあいは弁護士べんごし以外いがいの代理人だいりにんが日本にっぽんの球団きゅうだんと交渉こうしょうするケースもあることや、日本にっぽん選手せんしゅが大リーグだいり-ぐからプロ野球やきゅうに復帰ふっきする場合ばあいも、大リーグだいり-ぐの選手せんしゅ会かい公認こうにんの代理人だいりにんが交渉こうしょうしている実情じつじょうがあることから、日本にっぽんの選手せんしゅ会かいが公認こうにんしている代理人だいりにんなら球団きゅうだんとの交渉こうしょうが行おこなえるよう求もとめています。

今季こんきオフから代理人だいりにんの制限せいげんに関にかんする申し合もうしあわせ撤廃てっぱいへ

公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいから警告けいこくを受うけたことについて、日本にっぽんプロフェッショナル野球やきゅう組織そしきの井原いはら敦あつしコミッショナー事務じむ局長きょくちょうは今こんシーズンのオフから代理人だいりにんの制限せいげんに関にかんする12球団きゅうだんの申し合もうしあわせを撤廃てっぱいし「各かく球団きゅうだんごとに適切てきせつに判断はんだんして契約けいやく交渉こうしょうに臨のぞむことになる」と明あきらかにしました。

井原いはらコミッショナー事務じむ局長きょくちょうによりますと、代理人だいりにんの制限せいげんは2000年ねんに代理人だいりにん交渉こうしょうが導入どうにゅうされた際さいに12球団きゅうだんの間まで申し合もうしあわせたということですが、先月せんげつ8日にちに公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいから調査ちょうさを受うけ、今月こんげつ2日にちに行おこなわれた12球団きゅうだんの代表だいひょう者しゃが集あつまる実行じっこう委員いいん会かいで話し合はなしあった結果けっか、この申し合もうしあわせを撤廃てっぱいすることを決きめたということです。

その上うえで「申し合もうしあわせができてから20年ねん以上いじょうたち、スポーツ競技きょうぎの社会しゃかい情勢じょうせいの変化へんかも踏ふまえて、今回こんかいの調査ちょうさをきっかけに撤廃てっぱいすることを決きめた。今後こんごは法令ほうれいを順守じゅんしゅし、各かく球団きゅうだんが適切てきせつに判断はんだんして選手せんしゅ契約けいやくに臨のぞむことになる」と話はなしました。

一方いっぽうで、これまで代理だいり人じんを弁護士べんごしと限定げんていしていたことについては「契約けいやく交渉こうしょうの多おおくは法律ほうりつ事務じむにあたり弁護士べんごし以外いがいが取り扱とりあつかうと弁護士べんごし法ほうに違反いはんするおそれがあるので処分しょぶん対象たいしょうとなる選手せんしゅを守まもるために取り入とりいれた」などと説明せつめいしました。

選手せんしゅ会かい「公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいによる処分しょぶんを歓迎かんげい」

日本にっぽんプロ野球やきゅう選手せんしゅ会かいの森もり忠仁ただひと事務じむ局長きょくちょうは、公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいが警告けいこくを出だしたことについて「選手せんしゅ会かいとしては選手せんしゅが代理人だいりにんを自由じゆうに選択せんたくしやすくするため、規制きせいの見直みなおしを求もとめてきたところであり、公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいによる今回こんかいの処分しょぶんを歓迎かんげいしています」と評価ひょうかするコメントを出だしました。

また、代理人だいりにん制度せいどの導入どうにゅうから20年ねん以上いじょうたった中なかでも制度せいど自体じたいが広ひろまっていないなどと指摘してきした上うえで「選手せんしゅが代理人だいりにんを使つかいやすくなるような取り組とりくみを進すすめていくとともに健全けんぜんな代理人だいりにん制度せいどのあり方ありかたについて協議きょうぎを行おこなっていく所存しょぞんです」としています。

そして「野球やきゅう界かいには代理人だいりにん制度せいどのほかにも、独占どくせん禁止きんし法ほうに照てらして疑義ぎぎのある制度せいどが複数ふくすう存在そんざいしますので、球団きゅうだんと選手せんしゅは対等たいとうであるべきとの理念りねんのもと、フェアなルール作づくりに向むけて活動かつどうしていきます」との考かんがえを示しめしました。