日本としては、引き続き協力の裾野を広げつつ、懸案や課題の解決を図っていきたい考えです。
岩屋外務大臣と王毅外相に加え、経済分野などを担当する日中両国の幹部らが出席し、東京で開かれた今回の経済対話では、脱炭素分野での官民連携の推進に加え、大阪・関西万博を機に、人的交流を後押ししていくことなどを確認しました。
一方、日本側は、日本産水産物の早期の輸入再開を重ねて求めたほか、中国での日本人の拘束事案がビジネス活動などを萎縮させていると指摘し、早期解放や安全確保も要求しました。
また、これに先立つ日中外相会談では、沖縄県の尖閣諸島を含めた東シナ海情勢や、中国軍の活動の活発化に対する懸念などを伝えました。
岩屋外務大臣は一連の日程を終えたあと「協力案件のみならず、課題や懸案の解決に向け率直な議論を行った。実り多い議論だったと思う」と述べました。
日本としては、地域の平和と繁栄には、建設的で安定的な日中関係の構築が欠かせないとしていて、引き続き首脳を含めたハイレベルでの意思疎通も通じて協力の裾野を広げつつ、懸案や課題の解決を図っていきたい考えです。
また、首脳どうしの相互往来の実現も模索を続ける方針です。
一方、同じく22日に開催された日中韓3か国の外相会議では、未来志向で協力を進めるとともに、首脳会議をなるべく早く日本で開けるよう、調整を加速させることで一致しました。
ことし議長国の日本としては、中国との関係の安定化を図りつつ、韓国の政治情勢なども見極めながら、年内の開催を目指すことにしています。
中国 “国際社会から歓迎される”
日中の「ハイレベル経済対話」について中国は、「自由貿易体制への支持を表明し国際社会から広く歓迎される」と強調しました。中国は、アメリカのトランプ政権との対立も抱える中、日本との対話で成果を上げていると示すねらいがあるものとみられます。
中国外務省は、22日夜、「ハイレベル経済対話」の成果などを発表し、この中で、王毅外相は「相互理解が深まり、協力に向けた信頼が強まった」と総括しました。
その上で、「一国主義や保護主義がまん延する中で、自由貿易体制を支持し、国際貿易ルールを守ることが表明され、国際社会から広く歓迎されるだろう」と強調しました。
中国としては、国内経済の減速に加え、アメリカのトランプ政権との対立も抱える中、経済協力の重要な相手である日本との対話で成果を上げていると示すねらいがあるものとみられます。
一方で、日本産水産物の輸入再開については、従来の立場を示すにとどまりました。
また、王外相は、日中外相会談などで、歴史認識に繰り返し言及し、ことし、終戦から80年となるなか、日本側に慎重な言動を求め、日中関係への影響を抑えたい思惑があるとみられます。
中国は、日本の台湾をめぐる対応や、政治状況もにらみながら、慎重に日本との間合いをはかっていくものとみられます。