ボクシングのヘビー級世界王者に2度輝き、五輪では金メダルを獲得、モハメド・アリのライバルとしても語り継がれるジョージ・フォアマンさんが21日、死去した。76歳だった。本人のものと確認されたインスタグラムのアカウントから明らかになった。投稿には、愛する人々に囲まれて安らかに息を引き取ったとある。死因についての言及はない。ボクシング史上最も強力なパンチを放つ選手の一人として知られたフォアマンさんは、アマチュア時代のわずか25試合目で五輪金メダルを獲得。史上最高のボクサーの一人だったジョー・フレージャーを下して手にしたヘビー級のタイトルを2度防衛した。その後1974年にアリと対戦して敗れたが、旧ザイール・キンシャサで行われたこの試合は今もフォアマンさんのキャリアを象徴する試合として記憶されている。試合中、アリは後にロープ際の消耗戦術として知られることになる戦い方を駆使。背中をロープに預ける形でフォアマンさんのパンチに耐えると、第8ラウンドで反撃に転じKO勝ちを収めた。プロボクサーとしての28年のキャリアで、フォアマンさんがKOで敗れたのはこの試合のみだった。77年にプロとして2度目の敗北を喫すると、一時ボクサーを引退。しかし10年後、39歳で現役に復帰する。91年に行われた当時28歳のイベンダー・ホリフィールドとの試合には判定で敗れたが、 94年にはWBA・IBF統一タイトル戦でマイケル・モーラーに勝利。アリに敗れてから20年後、再び世界王者の座に就きボクシング界を驚かせた。「ボクシング・ニュース」との2023年のインタビューでは、上記の勝利の方がフレージャーを破って初めてタイトルを獲得した試合よりも特別に感じたと振り返った。「世界ヘビー級王座を懸けて戦うときは信じられない気持ちになる。その場にいる実感がなく、夢ではないかと思える。『すぐに目が覚めて、リングも周りの人々も消えてしまうのではないか』と」(フォアマンさん)フォアマンさんは最終的に1997年に引退した。キャリアの通算成績は、76勝5敗68KOだった。