東京 新宿のパスポートセンターでは…
新しくパスポートを取得する際の申請手続きが24日からすべての都道府県でオンライン化され、これまで混雑が目立っていた東京・新宿にある窓口では利便性の向上を歓迎する声が聞かれました。
パスポートを新規で取得する申請手続きは2年前から千葉県や埼玉県など先行する一部の自治体でオンライン化されましたが、戸籍謄本については原本を別に提出する必要がありました。
24日からは、システムが整備されて戸籍情報とも連携されたため、申請手続きについてはすべての都道府県でオンラインで行えるようになり、東京・新宿にある「新宿パスポートセンター」では都の職員がポスターを掲示して、マイナンバーカードがあれば、スマートフォンで申請できることなどを説明していました。
センターには24日も午前9時の受け付け開始前から30人以上が列を作っていて、並んだ人からは「仕事の休みをとって窓口に申請に来たので、オンライン申請ができると便利になると思う」という声や「センターはいつも混雑するので、オンラインでできるならその方がいい。仕事の忙しい息子にも教えてあげたい」などと歓迎する声が上がっていました。
発行されたパスポートを受け取るために窓口に足を運ばなければなりませんが、東京都旅券課の原田一紀 課長は「オンライン申請で窓口に来る人が25%程度減ると予想しています。混雑緩和とともに利便性の面でもメリットが大きいと考えています」と話しています。
新しいパスポートの作成は、国立印刷局が行うため、都にあった申請については交付までの期間がこれまでよりも3日間延びて9日間になるということで、都は余裕を持った申請を呼びかけています。
偽造防止対策も強化
パスポートの偽造防止対策の強化は、ICAO=国際民間航空機関からの勧告を踏まえて実施されるもので、24日の申請分から、新たなものに切り替わります。
新しいパスポートは、これまで別々だった顔写真のページとICチップが入ったページが、プラスチック製の1枚のページに一体化され、顔写真や氏名などを紙幣の技術を生かしてレーザーで印刷することで、偽造されにくくなっているということです。
これにともなって、パスポートの作成は国立印刷局が行うことになり、申請から発給までの期間が、これまでの1週間程度から延びて、国内での申請分は2週間程度に、海外では2週間から1か月ほどになるということです。
海外旅行の割引キャンペーンも
新しいパスポートの申請開始にあわせて、取得した人を対象に海外旅行の代金を割引するキャンペーンを業界団体が始めることになりました。
偽造防止対策を強化した新しいパスポートへの申請の受け付けが24日から始まり、旅行会社でつくる「日本旅行業協会」は、これにあわせて、日本からの海外旅行を後押しするキャンペーンを始めることになりました。
新しいパスポートを取得した人を対象に、キャンペーンに参加した旅行会社が提供するツアーを申し込んだ際、5000円から1万円程度のポイント還元やキャッシュバックを行う仕組みとなっています。
日本を訪れる外国人旅行者が過去最多の水準まで回復する一方、日本からの海外旅行者数は、円安などを背景に回復が遅れていて、去年はおよそ1300万人とコロナ禍前の2019年の64.8%にとどまっています。
日本旅行業協会の高橋 広行会長は会見で「海外の自然や文化、食などを五感で感じられる海外旅行はかけがえのない価値がある。ことしこそは海外旅行の完全復活を目指して取り組みたい」と述べました。