トランプ大統領は26日、記者団に対し「アメリカ製ではないすべての自動車に25%の関税を課す」と述べて輸入される自動車に25%の関税を課すと正式に表明しました。
この関税措置はすべての国からの輸入車が対象となり日本車も含まれます。
4月2日に発効し、翌日3日から関税を徴収するとしています。
トランプ大統領は「アメリカで生産された車であれば関税は一切課されない。企業は関税を支払わなくても済むようにアメリカに戻ってくる」と述べたほか、恒久的な措置になるという認識を示しました。
これまでトランプ大統領は外国から価格の安い輸入車が大量に輸入されることでアメリカ国内の工場や雇用が海外に流出しているとして輸入車に関税を課す方針を繰り返し強調してきました。
アメリカに多くの車を輸出する日本の自動車メーカーの経営に打撃が及ぶ懸念が高まっています。
【動画で】記者が解説
日本への影響は?
トランプ政権が打ち出すさまざまな関税措置の中でも日本への影響が最も大きいと見られるのがアメリカに輸出する自動車への関税措置です。
去年1年間に日本からアメリカに輸出した自動車の輸出額は6兆261億円と、アメリカへの輸出全体の28.3%を占め、最も多くなっています。
現在は、原則、2.5%の関税が課されていますが、大幅に引き上げられることになれば、販売価格が値上がり販売数が大きく減少しかねず、自動車メーカーだけでなく、部品や素材など幅広い産業に深刻な影響が及ぶ可能性があります。
日本政府も自動車産業は「日本経済の屋台骨」であり、関税措置の導入は打撃が大きいとしてトランプ政権側と交渉を続けてきました。
ただ、アメリカのラトニック商務長官は3月14日、FOXビジネスネットワークのインタビューで「日本や韓国、ドイツに対しても4月2日から関税が発動されるのか」と問われ「すべての国から輸入される車に関税を課すべきだ。それが重要な点だ」と述べ、自動車への関税はすべての国が対象で日本も除外されないという認識を示していました。
EU委員長「とても遺憾 交渉による解決を模索」
アメリカのトランプ大統領が輸入される自動車に関税を課すと正式に表明したことについて、EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長は26日、声明を発表し「アメリカの決定をとても遺憾に思う。今回の発表とともに、アメリカが数日以内に取ろうとしているほかの措置もあわせて影響を評価し、引き続き交渉による解決を模索していく」としています。
自動車への関税 トランプ大統領のねらいは?
トランプ大統領は、去年の大統領選挙で外国から安価な自動車が大量に輸入され、アメリカ国内の工場や雇用が海外に流出しているとして、輸入される自動車への関税措置を導入する考えを繰り返し表明してきました。
そして、各メーカーに対しては「関税をなくすための唯一の方法は、アメリカ国内に工場を作ることだ」と述べ、アメリカでの生産を強化するよう呼びかけてきました。
その呼びかけに呼応するように韓国のヒョンデ自動車グループは24日、アメリカで総額210億ドル日本円にして3兆円規模の巨額投資を行うことを明らかにしました。
この投資についてトランプ大統領は24日の記者会見で「関税が非常に効果的であることを明確に示している。アメリカで生産すれば関税はかからないからこそ、多くの人々がアメリカにやってくるのだ」と述べ、さらに多くの企業が国内で投資するという見方を示し、関税の有効性を強調しました。
自動車への関税措置をめぐって、トランプ大統領はことし2月「4月2日に伝えることになるが税率は25%前後になるだろう」と述べていましたが、専門家や日本政府の関係者の間では、根拠となる法律をどうするかなど検討すべき課題が多く準備が間に合わないのではないかとの見方も出ていました。
しかし、トランプ大統領は24日、記者団に対し、輸入される自動車への関税措置について「数日中に発表する」と明らかにし、導入に強い意欲を示していました。
アメリカメディアのブルームバーグは26日、自動車関税について貿易相手国と同じ水準にまで関税を引き上げる「相互関税」を前に、世界の貿易相手国との争いをさらに激化させる動きだと伝えています。
米報道官 “トランプ大統領 自動車関税措置を発表へ”
ホワイトハウスのレビット報道官は26日、記者会見でトランプ大統領が日本時間の27日午前5時から自動車産業に関する関税措置について発表すると明らかにしました。
アメリカのメディア、ブルームバーグは、トランプ大統領が4月2日に発動するとしている貿易相手国と同じ水準にまで関税を引き上げる「相互関税」を前に、世界の貿易相手国との争いをさらに激化させる動きだと伝えています。
トランプ大統領はこれまでアメリカに輸入される自動車に対し25%前後の関税を課す考えを表明してきましたが、自動車への関税措置の対象に日本が含まれれば、自動車メーカーの経営への影響は極めて大きく、対象となる国や製品の範囲が注目されます。