新年度予算案の採決の日程をめぐる与野党の調整が大詰めを迎える中、参議院予算委員会では、石破内閣の基本姿勢をテーマに集中審議が行われました。
冒頭、石破総理大臣は、先に、予算案の成立後に強力な物価高対策を打ち出す考えを示したことについて「私の発言により、予算委員会の審議中に心配や迷惑をかける形となり、申し訳なく思う」と陳謝しました。
その上で「私が申し上げた趣旨は、新たな予算措置を打ち出すということではなく、今年度の補正予算や新年度予算案に盛り込んでいるあらゆる政策を総動員し、物価高の克服に取り組んでいくということだ」と説明し、予算案の早期成立に理解を求めました。
質疑 医療分野での人材育成について
このあと行われた質疑で、自民党の田中昌史氏は、医療分野での人材育成について「人の高付加価値化が医療現場の技術職では非常に大事だ。医療の質を高めて、患者によりよい医療を提供するために、資格を取得したあとの人材育成を明確に位置づけ、賃上げに結びつくような体系的な支援を国の制度で構築すべきだ」と求めました。
これに対し石破総理大臣は「各職種が知識、技能を高め、よりよい医療をチームとして提供し、それによって賃金が上がっていくことが極めて重要だ。キャリアアップした人たちがふさわしい報酬を受けられるよう、政府として着実に努力していく」と述べました。
質疑 物価高対策めぐる発言について
立憲民主党の辻元代表代行は、石破総理大臣の物価高対策をめぐる発言について「今審議している予算案は『強力』ではなく『無力』なのか、それなら修正すればいい。生活を相当切り詰めている国民に対し、強力な物価対策があるかもしれないとミスリードしてしまった。むしろ景気の足を引っ張ることになり、国民におわびしてほしい」と迫りました。
これに対し石破総理大臣は「この予算案が最善のものであると思うからこそ、審議をお願いしている。ただ、食料品や燃料費の高騰などには予算とは関係ない分野でもいろんな対応は可能だ。申し上げた趣旨はそういうことで、国民に混乱を招いたのであれば、申し訳ない」と述べました。
質疑 企業・団体献金の扱いについて
一方、石破総理大臣は、与野党が今月末までに結論を出すことを申し合わせている企業・団体献金の扱いについて「結論を得るべく最大限の努力がなされていると承知している。最後の最後に議論がまとまるケースも多くあるので、今の時点で私が言及することは差し控えたい」と述べました。
その上で、公明党と国民民主党がまとめた、禁止ではなく規制を強化する案に、自民党として賛同する可能性はないのか問われたのに対し「今現場で真摯(しんし)に議論をしている時に、総裁として乗れるだの乗れないだのと断定することはしない」と述べました。
質疑 戦後80年 新たな総理大臣談話について
このほか、石破総理大臣は、戦後80年にあたり、新たな総理大臣談話を出すのか問われたのに対し「まだ何ら決まっていない」と述べました。
立民 選択的夫婦別姓制度導入に向け 来月中にも法案提出へ
また、委員会で、立憲民主党は、選択的夫婦別姓制度の導入に向けて、与野党の意見も聴きながら、来月中にも必要な法案を国会に提出する意向を示しました。