ワールドシリーズ連覇を狙うドジャースは日本で行われたカブスとの開幕シリーズで2連勝し、27日はドジャースタジアムに戻ってタイガースとの本拠地開幕戦に臨みました。
1番・指名打者で先発出場した大谷選手は1回、最初の打席に向かうと地元のファンから大歓声が送られました。
その第1打席では昨シーズン、サイ・ヤング賞を獲得したタイガースの先発左腕、スクーバル投手の初球のストレートを打ち損じ、ファーストゴロに倒れました。
チームが1点リードしたあとの3回は2アウトランナーなしの場面で第2打席が回り、ここは、スクーバル投手のスライダーを引っ張ってライト前に運び開幕戦から続く連続試合ヒットを「3」に伸ばしました。
5回の第3打席はセカンドゴロに倒れましたが4対3で迎えた7回の第4打席では3人目のピッチャーの高めのツーシームを捉え、逆方向に運びレフトスタンドに飛び込む今シーズン2号のソロホームランを打ちました。
大谷選手のホームランは、公式戦では2試合連続で、地元ファンから大歓声があがりました。
大谷選手はこの試合4打数2安打1打点の活躍で試合は、ドジャースが5対4で接戦を制し開幕3連勝です。
ドジャースは28日も本拠地でタイガースと対戦し、山本由伸投手が先発登板する予定です。
大谷「連覇がいちばんの目標 いい1歩に」
大谷選手は、試合後にグラウンドでNHKの中継インタビューに応じ「ちょっと接戦ぎみだったがいいところで打てた。最後はリリーフ陣がみんないい仕事だったと思う」と話しました。
そのうえで「特別なユニフォームを着させてもらい、初戦なので勝ちたいと思っていた。きょうのセレモニーが来年もできるように、連覇がいちばんの目標だと思うので、そのいい1歩になった」と話し、開幕3連勝を喜んでいました。
大谷のHR 飛距離など判明せず
大谷選手の今シーズン2号となるソロホームランはタイガースの3人目、ハニフィー投手が投げた154キロのツーシームを捉えました。
打球は大きな放物線を描いてレフトスタンドに入りましたが、ホームランの飛距離や打球速度は明らかになりませんでした。
大リーグではすべての球場で12台のカメラが設置され、投球や打球などボールの動きが解析されます。
打球の速度や角度、飛距離などの詳細も公開され、例えば大谷選手がこの試合の第2打席で打ったヒットは打球速度が175.4キロと解析されました。
大リーグ機構によりますと解析の不具合はほとんどなく、全体の99%のボールが解析されるとしています。
開幕シリーズが行われた東京ドームにも同じシステムが導入されていましたが、大谷選手が打った今シーズンの1号ホームランも飛距離などの詳細は判明しませんでした。
この日のタイガース戦でも両チームが打ったほかの3本のホームランはすべて解析されましたが、大谷選手のホームランは2本続けて解析ができないという珍しい状況となっています。
大リーグ シーズン本格スタート
大リーグは27日、アメリカでの開幕戦を迎え、新たなシーズンが本格的にスタートしました。
ドジャースの試合前の練習では大谷翔平選手がキャッチボールをして調整したほか、翌日の先発が予定されている山本由伸投手はタイガースの前田健太投手と笑顔でことばを交わしていました。
そして、試合開始の直前には昨シーズンのワールドチャンピオンと今シーズンのスタートを祝うセレモニーが行われ、バックスクリーンの下に設置されたステージから大谷選手やベッツ選手、それにフリーマン選手などが1人ずつ姿を見せると開幕を待ち望んでいたファンから大きな歓声が送られました。
ドジャースの選手たちは昨シーズンのワールドチャンピオンのチームだけがつけられる帽子やユニフォームの文字、それに背番号などが金色であしらわれた特別なユニフォームで開幕戦に臨みました。
大リーグのレギュラーシーズンは9月28日までで、30チームが162試合を戦い、各リーグ6チームずつがポストシーズンに進出してワールドチャンピオンを争います。
本拠地でのシーズン開幕に多くのファン
ドジャースは昨シーズン、本拠地での観客動員数が大リーグの30球団のトップでおよそ394万人が訪れました。
この日は本拠地でのシーズン開幕とあってドジャースタジアムでは開門と同時に多くのファンが姿を見せ、日本からも多くのファンが訪れました。
このうち、熊本県から観戦に訪れた夫婦は「3試合見る予定で、すごく楽しみです。きょうは大谷選手のホームランが見たいですし、あす、あさっては山本投手、佐々木投手を見るのが楽しみです」と笑顔を見せました。
また、青森県から来たという女性は「いつもはテレビで見ているので、きょうは間近で迫力あるプレーを見ることができて本当にうれしいし、ワクワクします」と試合開始が待ちきれない様子でした。
一方、ドジャースタジアムでのシーズン開幕を待ちきれなかったというアメリカの男性ファンは「エンジェルス時代から大谷選手のファンです。彼は本当にすごいし、ことばで言い表すのが難しい。とにかく大好きです」と話していました。
今シーズンは山本由伸投手、佐々木朗希投手とともにチームに3人の日本選手が所属していることには「すばらしいことだ。彼らはここでプレーするのに値する選手たち。ことしも地区優勝して、チャンピオンになってくれるはずだ」と期待を込めていました。
地元紙記者「ことしのドジャース 最も連覇のチャンスがある」
ドジャースはこのオフ、ピッチャー陣の補強が課題となっていましたが、サイ・ヤング賞を2回受賞しているスネル投手や20球団の争奪戦の末、佐々木朗希投手を獲得して先発陣を固め、2019年にセーブ王を獲得したイェイツ投手など、実績のあるリリーフ陣も加え、連覇を狙うシーズンをスタートさせました。
地元紙で10年以上ドジャース担当を務めているビル・プランケット記者は、今シーズンのドジャースについて「レギュラーシーズンで105勝以上をあげ、再びワールドシリーズに進出するだろう。2001年以降、連覇を成し遂げたチームはないが、ことしのドジャースは最もチャンスがある」と予想しました。
その理由についてプランケット記者は「ドジャースはオフに残したい選手を残し、獲得したい選手を獲得した。すべてが“プランA”で、望む物をすべて手に入れた。シーズン中には必ずなにかしらの問題が起こるものだが彼らにはそういったものを乗り越えるだけの厚みがある」と選手層の厚さを高く評価しました。
その一方で、プランケット記者は、「ナショナルリーグの西部地区は最激戦区で、決して楽なシーズンにはならない」と優勝争いはしれつになると指摘しました。
その厳しい戦いを勝ち抜くためには、3人の日本選手の活躍が欠かせないとしたうえで「山本由伸投手は今シーズン、より自信に満ちている。彼がすばらしいシーズンを過ごすことに疑いの余地はない。佐々木投手は非常に才能があり、新人王の候補だ。ストレートとスプリットに新たな球種が加わればバッターにとって悪夢になるだろう」と期待を込めました。
そして、「なによりも翔平がいる。『50-50』をした次のシーズンに、バッターとして打席に立ちながら2度目のひじの手術からピッチャーとして復帰するなんてことは過去に誰もいないが、彼を過去と比べてはいけない。きっとどんなことも乗り越えるだろう」と今シーズン投打の二刀流の復帰を目指す大谷選手が再び歴史的なシーズンを送ることを期待していました。